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ダイバージェンス・フィーネ  作者: 黒陽 光
Chapter-03『DANCE WITH CRISIS』
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第六章:絡みつく疑念の糸/02

 それから、少し後のこと。

「ふぅー……っ」

〈お疲れさまでした、ウェイン〉

「お前もな、相棒」

 地下複合フィールドの廊下で、ウェインは壁にもたれ掛かりながら一息ついているところだった。

 あれだけの激戦の直後だ、疲れるのも無理はない。

 ウェインは横顔に疲労感を滲ませながら、壁にもたれつつ左手の白い短剣と――ファルシオンと互いの労をねぎらい合う。

「――――――ん」

 そんな時、頬にひんやりとした感触。

 見ると、いつの間にか来ていたフィーネが冷えた水のペットボトルをウェインの頬に押し当てていた。

「おう、あんがとよ」

 ウェインはそれを受け取って、すぐに飲み始める。

 カチッと封を切ったボトルを一気に煽って流し込めば、ひんやりとしたミネラルウォーターの冷たさが疲れた身体に沁みる。

「その様子、随分と疲れたみたいだな」

「まあな」

〈しかし……本当に強敵でした〉

「一歩間違えりゃ、負けてるのは俺の方だった」

 ファルシオンの言葉にウェインがそう頷く中、フィーネもうむと相槌を打つ。

 ――――と、そんな矢先。コツコツとした足音が二人の方に近づいてくる。

 誰もいない廊下に反響する足音、それが聞こえてきた方を見てみると……その主は、ミシェル・ヴィンセントだった。

「いやあ、お見事お見事」

 パチパチとわざとらしく手を叩きながら、近づいてくるミシェル。

「あの局面でああ動くたぁ、流石のおいらも度肝を抜かれたぜ。おめえさん、おいらの見立て通り……いんや、それ以上の腕前だねぇ。感服したぜ、中々やるじゃねえか」

 彼の言葉は、表面上はウェインを称賛しているようにも聞こえる。

 だが――二人には彼が言葉の裏に潜ませた真意が分かる。

 ――――やっぱりおめえさん、かなり実戦慣れしてるようだねぇ。

 ミシェルの言葉の裏には、そんな意味が込められているようにも思えた。

「まぐれだよ、まぐれ。俺の搦め手がたまたま上手くハマっただけだ。ま……てめえほどの使い手が相手なら、二度目はないだろうがよ」

 それに対し、ウェインも含みを持たせた言葉で返してやる。

 ――――野郎、そりゃあこっちの台詞だぜ。

 そんな意味を込めた返事を返してやると、ミシェルはケタケタと引き笑いをしつつ。

「ま、とにかく頑張んなよ……色々と、な」

 ニヤリとしながら、最後にそんな言葉を残して……二人の前から去っていく。

 廊下の向こうに消えていく、ミシェルの背中。

「……ウェイン」

 そんな彼の後ろ姿を見送りながら、フィーネが声をかける。

「やはり、奴からはあの時の邪悪な風は感じなかった。だが……油断ならない相手だ。何を隠しているか、分かったものじゃないな」

 するとウェインは「ああ」と目を細めつつ、

「あの野郎……やっぱり、どうにもキナくせえぜ」

 シリアスな表情でそう、警戒心を露わに呟くのだった。

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