98 平和のために
政府からの干渉はとりあえず退けた。
だが、いずれまたやってくる。
ならば先んじて滅ぼしてしまおう。
そう決意するのにさほど時間はかからなかった。
どうせ面倒になるのだ。
解決しようがないなら解消してしまうしかない。
その為の準備を進めていく事にする。
もちろん、攻め滅ぼすなどと公言する事は無い。
わざわざ犯行予告してやる理由がない。
相手の利益になるだけだ。
それでいてトモヒロに何一つ得が無い。
こういう事は黙って進めるに限る。
迷宮を深掘りしていった時のように。
気付いた時には手遅れという状態を作るのが最善である。
今回も同じようにやっていく。
準備をひたすら進めて、人類を滅ぼす。
日本だけではない、世界全てを。
そこまでやらなければ安息は得られない。
平穏は訪れない。
必ずやってくる攻撃に怯えなければならない。
やむなき事だがやるしかない。
トモヒロの迷宮にいる人類を除いて、他の全ての人々は皆殺しにする。
支配下におくわけにもいかない。
統治は面倒だし、その為の努力も必要になる。
何より、いつ反乱を起こすか分からない。
そうならないように対処するのも面倒でしかない。
結局、生きてる限り面倒を起こすのが人間だ。
だったら、そんなものはさっさと滅ぼした方が良い。
そうでない人間もいるのは分かってる。
しかし、選別するのが手間だ。
そんな労力を費やす必要性があるのかどうか。
その努力の果てにいったい何を手に入れるのか?
果たして労力に見合った対価を得られるのか?
とてもそうは思えなかった。
無駄な努力に終わりそうだった。
だからトモヒロはさっさと敵を殲滅していく事にした。
その方が手っ取り早いし手間もかからない。
一気に破壊していった方が楽である。
そう思い、活動を開始する。
とりあえずは今まで通りに迷宮の階層増加。
そして時間稼ぎで外部への様々な工作を仕掛けていく。
直接的な武力介入はしないまでも、引っかき回して混乱させる。
まともに動かない社会を作り上げ、生産性を低下させていく。
食うに事欠き、治安の悪化で人類同士で殺し合いをさせる。
迷宮攻略など考えられない状態にしていく。
今までと同じだ。
何も変わらない。
最終的な目的も変わらない。
平穏な暮らしをする。
漫画やアニメを楽しんでいく。
その為にやる事が少し追加されただけである。
人類の殲滅。
平穏に生きるためには、これしかない。
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