96 やるべき事を疎かにして、するべき処分をしなかったからこうなっている
復讐を果たし、やらかした本人とその関係者を処分した。
これでトモヒロのやりたい事はほぼ終わった。
処分したい者が全て消えたのだ。
これ以上は事を起こそうにも、対象がいない。
する事がない以上、何も出来ない。
何かをする必要がない。
なのだが、そうも言ってられないのも分かってる。
やらかしてた連中とその関係者にも、親兄弟などの家族に友人知人がいる。
それらが何の行動も起こさないとはいえない。
何かしらトモヒロに仕掛けてくるかもしれない。
今すぐにやる事はなくても、時間をかけて準備してくるかもしれない。
トモヒロがそうなったように。
ここまでやるつもりは無かった。
やれると思ってもいなかった。
だが、トモヒロは力を手に入れることが出来た。
その力でやりたい事をやっていった。
同じように力をつけて、トモヒロに向けての復讐を企てる者が出て来るかもしれない。
そうならないように、関係者の全てを抹殺したかった。
だが、さすがに全部は無理である。
どこかに必ず生き残りがいる。
それらが何をしてくるか分からない。
また、各攻撃によって巻き込んだ者達もいる。
それで一族郎党が根絶やしになれば問題は無い。
しかし、どこかに親類縁者などがいる可能性がある。
血縁でなくても、友人知人などがいる可能性はある。
そういった者達が何かしてくるかもしれない。
それらがトモヒロに復讐しにくる可能性は非常に高い。
何もしないでいるとは思えない。
大半は恐れをなして何もしないだろう。
だが、ほんの一部、極めて一握りが何かするかもしれない。
それが面倒だった。
「どこまでも祟りやがる」
自分が処分した仇敵共への憎しみが高まっていく。
生きてる間も邪魔だった。
死んでも問題を残す。
素直に殺されてくれるなら、波及する面倒まで考える必要はなかったのだが。
そうさせてくれない仇敵達に怒りを新たにする。
「死んでも俺に絡んできやがって」
悪縁としか言いようがない因縁。
その存在を感じ取らずにはいられない。
やられたからやり返した。
それだけなのに、なぜか報復を恐れねばならない。
警戒をしなければならない。
それがとてつもなく面倒で鬱陶しかった。
(なんでこんな目にあわなきゃなんねえんだ)
全ては問題を放置していた方にある。
なぜ問題を起こす者どもをそのままにしておいたのか?
それらが適切に処分されていれば、トモヒロが恨みを晴らす必要もなかった。
多くを巻き添えにする必要もなかった。
悪事を放置し、被害者を泣き寝入りさせてきた。
そんな事してなければ、トモヒロがここまでの事をする事もなかった。
処分を何もせずにいたから、大規模な破壊が行われた。
原因を求めれば、それは全て加害者共に行き着く。
加害者を放置していた世の中全てに問題がある。
ただそれだけなのに、報復を気にしなければならない。
理不尽すぎるとトモヒロが嘆くのも当然だろう。
結局その対応もしていかねばならない。
いっそ、射程範囲全てに核ミサイルを撃ち込んでしまおうかとも考える。
その方が手間が省ける。
やらない理由がない。
必要な人材は迷宮に確保した。
漫画やアニメの創作・制作に問題はない。
人数が必要なら、迷宮内の設備や施設で人を生産する事も出来る。
機能・能力において人間と全く変わらない怪物を生み出せる。
種別するなら怪物になる人間と、迷宮にいる人間と娶せれば世代をつなぐ事も出来る。
社会を構成するのに必要な人員を確保出来る。
そんなトモヒロからすれば、外にいる人間など不要と言ってよい。
生かしておいても問題の発生源にしかならない。
ならば、ここで根絶した方がよい。
今後が楽になる。
トモヒロからすれば、喧嘩を売ってくるような奴らだ。
生きてるだけで必ず害を及ぼす存在だ。
「やっちまうか?」
自分に問いかける。
やらない理由はない。
利害や損得を考えれば、むしろ一掃した方がよい。
それを躊躇ってるのは、さすがに皆殺しにするのに抵抗があるからだ。
虫や雑草でも無闇矢鱈に殺すのを躊躇うように。
その程度にしか周囲の人間を評価していない。
極めて小さな躊躇いだけが、無作為な大量破壊を止めていた。
そんな時である。
政府側から申し入れがあったのは。
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