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93 我が儘な連中

 対地ミサイルによる核攻撃。

 それは仇敵の居住地を消滅させた。

 その場にいた者は残らず消滅していく。



 ただ、その中に狙っていた者がいないのは分かっていた。

 それは既に動き出している。

 トモヒロの迷宮に向かって攻め込んできている。

 攻撃しても目標の存在を殺す事は出来ない。

 それは分かっていた。

 分かって攻撃したのだ。



 帰る場所を無くす。

 生きて作り上げてきた成果を消滅させる。

 人生の意味や意義を消滅させる。

 まず、これが理由になる。



 もう一つは、他への見せしめだ。

 敵となった者達をかばうなら、匿うならこうなると。

 素直に引き渡すか、自分達の手で処分するか。

 それが出来ないなら容赦なく消滅させるというトモヒロの意思表示になる。



 これらについては政府も一般人もたいていは理解していた。

 納得はしてないにしても、やむなしと受け入れている。

 なのでトモヒロの要望を断る事はほとんど無くなっている。



 今回、最後に残った仇敵だけがそれを拒んだ。

 なので容赦なく攻撃をした。

 回りにいる者達も被害を受けるが、それは当然のこと。

 知らぬ存ぜぬなどという戯言は一切聞かない。

 そんな言い分けは通じない。

 これをあらためて示していった。



 周辺にいた者達からすれば理不尽としか言いようがないだろう。

 だが、トモヒロからすれば当たり前の結果だ。

 先に仇敵を処分してればこうはならなかったのだ。

 周辺にいながらそれを放置していたのだ。

 吹き飛ばされて当然である。



 しかも仇敵は仲間と共にトモヒロの迷宮に攻め込んできている。

 それを止める事も阻む事もしてないのが政府と他の者達だ。

 軍や探索者を動かして止めるべきなのに。



 ことごとくトモヒロの意向を無視している。

 許せるわけがなかった。

 許す理由もなかった。

 ここまで意思や要望を無視するなら、相応の対応をとるしかない。

 これがトモヒロの考えである。



 もちろん、それは相手の自由ではある。

 何を考え、思い、どう行動するか。

 それを決める自由は誰にもある。

 少なくとも、世間的なお題目ではそうなってるはずだ。



 トモヒロもこれに異を唱えるつもりはない。

 それぞれの意思や意向、気持ちを大切にし、侵害をしないように気をつける。

 出来るなら、相手を尊重していく。

 理想的な状態だ。

 だが、トモヒロには縁の無かったものだ。



 トモヒロの意思や意向が尊重される事はなかった。

 親にも学校で虐待してきた者達も。

 およそ犯罪行為を働いてきた連中はトモヒロの事を踏みにじった。

 心身ともにだ。



 それを誰もが容認していた。

 家庭内において親の虐待は、誰にも止められる事無く行われ。

 学校における虐待・暴行は教師と生徒たちに容認されていた。

 たまに反撃すると、それを一方的な暴行として徹底的に粉砕してきた。

 その中でトモヒロは察していった。

 こいつらは暴力を容認していると。



 そんな連中である。

 暴行・暴虐を容認してきたのだ。

 トモヒロが同じように暴行・暴虐の限りを尽くしても問題はない。

 やって当然というべきだろう。



 そんなトモヒロを糾弾する声もある。

 表だって言わないが、トモヒロの耳には伝わってくる。

 それだけあちこちに工作員を送り込んでいる。

 全てが筒抜けになっている。

 そのような者達にトモヒロは、

「何言ってんだ?」

と常に疑問を抱いている。



 暴力・暴行・暴虐を容認していた奴が何を言ってるのか?

 やられたからやり返してるだけなのだ。

 何が悪いのか?



 反撃がいけないのか?

 ならばトモヒロのやってる事への反撃・反発・反論をするのがおかしいだろう。

 なぜ一方的に蹂躙されてないのか?

 本当に不思議である。



「我が儘な連中だ」

 呆れるしかない。

 自分がやるのは良いが、自分にやりかえすのは許さない。

 そんな連中の言い分なぞかまってられない。



 腹が立つので、言ってる連中のところに攻撃をしていく。

 核を使う場合もあれば、工作員による暗殺・破壊活動で済ませる場合もある。

 どちらにしろ、誰かが死ぬし、何かが壊れる。

 話し合いなどという無駄な事を省き、ただただ相手を蹂躙していく。

 この方が建設的だからだ。

 不毛な言い争いに発展せず、瞬時に相手を消す事が出来る。



 我が儘な輩に何を言っても無駄である。

 さっさと処分した方が良い。

 この方が損失や損害を抑えられる。

 無駄に消費する時間を作らずに済む。

 完遂すれば問題は消える。

 発生源が消えれば問題がこれ以上増える事もない。



 続けてるうちに、表でも裏でもケチを付けるものはいなくなった。

 それどころか、仇敵を糾弾する声が上がっていく。

 そういう声を意図的に流し、世間全体の風潮に作り上げていく。

 反発する者がいないから楽なものだ。

 簡単に仇敵を孤立させる事が出来る。



 トモヒロの迷宮に迫る仇敵は帰る場所を失っていく。

 単に住居が吹き飛んだからというだけではない。

 世間そのものが仇敵を糾弾していく。

 理由の有る無しに関わらず、仇敵を罵っていく。

 トモヒロの迷宮に向かう途中で、彼等は世間から追放される事になった。



 そんな彼等は、脇目も振らずにトモヒロの迷宮に向かう。

 もうそうするしかないのだ。

 迷宮を攻略し、容赦なく核兵器を叩き込んでくる存在を消す。

 それ以外に居場所を確保する方法は無い。

 攻撃してくる者がいるから誰もが仇敵を非難する。

 攻撃される恐怖があるから、原因となってる仇敵を排除する。

 ならば、攻撃してくる迷宮を攻略するしかない。



 この先も生きていくためにやらねばならない事。

 仇敵にとって、迷宮攻略は生死存亡をかけるものになっていた。

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