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87 殺しに来てるのだから、殺すしかない

 迷宮を攻撃できる範囲にある軍事施設の破壊。

 また、迷宮の影響下にない周辺地域への工作。

 これらが上手くいき、トモヒロの迷宮は再び平穏を取り戻す事が出来た。

 攻め込んでくる者がいない状況だ。

 それだけでもトモヒロにはありがたい。



 敵が混乱してるのは良いことだ。

 自分に攻撃が向かわなくなる。

 混乱をおさめる事に集中しなくてはならなくなる。



 それで充分だった。

 無駄な争いを仕掛けてくる者がどうなろうとかまわない。

 むしろ、さっさと潰滅してもらいたい。

 敵対関係にあるなら当然だろう。

 なんで自分に危害を加える者の健やかさを望まねばならないのか?



 敵であるなら皆殺しにするしかない。

 いつ攻撃してくるのか分からないのだから。

 そんな敵を潰してしまえば、安全と安穏が手に入る。

 トモヒロはそれを身をもって体験していた。



 今までも直接攻め込まれる事はなかった。

 遠巻きに見られてるだけだった。

 しかし、いつかやってくる可能性がある。

 少なくとも、敵意を向けてきている。

 警戒している。

 敵対してるのは明白だ。



 そういう奴はいつか必ずやってくる。

 どういう形になるかは分からないが。

 だから確実に倒しておく必要がある。



 実際、手を出せないから踏み込めてないだけだ。

 政府や探索者に娯楽殲滅派。

 これらに余裕があれば、とっくに迷宮に攻撃してきている。

 それが出来ないから手をこまねいているしかなかっただけだ。

 もしトモヒロが強力な軍勢を作り上げてなければ、とっくに殲滅されている。

 そうなりたくないから、トモヒロは敵である政府・探索者、なにより娯楽殲滅派を叩き潰しにいく。



 トモヒロが手を引いても、相手が手を引くことはないからだ。

 むしろ、少しでも退けば確実に攻め込んでくる。

 一歩引いたら、百歩以上突撃してくる。

 そんな連中だから徹底的に攻撃する。

 相手を根絶やしにするまで。



 これまでの人生でこういった事を学んできた。

 親も、学校の犯罪者も、社会にいた全ての者がそうだった。

 大人しくしていたら、遠慮をしていたら自分のもってるものを奪われる。

 トモヒロの配慮を誰も考慮する事はなかった。

 トモヒロへの配慮など誰もしなかった。

 配慮というのは、自分から何かを強奪する手段だと察知したのは、大人になってからだいぶ経ってからだった。

 それが分かったから、誰にも気兼ねしないようにした。



 迷宮にこもってる今もそれは変わらない。

 まずは相手を殲滅する。

 少なくとも、迷宮の周りにいる脅威は消していく。

 交渉など一切しない。

 やる必要が全くない。

 時間稼ぎか、トモヒロへの譲歩を突きつけられるだけだ。

 それで得られるものは何もない。



 相手に譲り合いの精神があればこうはならなかっただろう。

 そもそも、トモヒロが迷宮にこもる事もなかっただろう。

 そんな世の中が嫌でトモヒロは自分の居場所を確保したのだ。

 そこを奪われるつもりはない。



 そんな事をする奴等からは徹底的に奪うしかない。

 物も居場所も、命も奪い、脅威を消滅させるしかない。



 嫌になるが、他に方法はない。

 今後も平穏に活きていくためだ。

 可能であるならば、敵は殲滅する。

 それだけが生き残る道だった。



「嫌な世の中だ」

 迷宮の奥深くで、トモヒロはため息を吐いた。

 やりたくてこんな事をしてるわけではないのだ。

 なんでこんな事をしなくてはならないのかと嘆くしかない。

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