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83 やはりこれが正しい手段だった

 外部と内部への対策が進んでいく。

 邪魔しに来る者と、邪魔になる者を消していく。

 強硬といえる姿勢だが、意外と反応は悪いものではない。



 迷宮の外にいる者達は、もともとトモヒロに敵対的だ。

 態度が変わるわけがない。

 良い状態とは決して言えないが、姿勢や対応は一貫して変わらない。

 変わらないから問題ではあるが、変化がないのは確かだ。



 意外なのは、内部においてもトモヒロへの非難がほとんどない事。

 あったとしても、「しょうがない」と消極的であっても了解している事。

 トモヒロが行った処分を否定してる者はいない。



 多くの者はそうなった経緯を知っている。

 知らなくてもなにかしら事情があるのだろうと察してる。

 それだけトモヒロを信じてるといえる。



 トモヒロが処分した者達が、日頃から問題を起こしてるのも大きい。

 一応、同業者ではあるが、面倒を起こしていた連中である。

 仕事を滞らせる事が多かった。

 また、どういうわけか作ってるものの品質を下げる方向に物事を進めようとする。

 邪魔でしかない存在である。



 それが、同じ仕事をしてるからと迷宮にやってくる事が出来た。

 アニメや漫画などの創作系の仕事がトモヒロの迷宮にしか残ってなかったのもある。

 この仕事・業種で食っていくなら、他に居場所はない。

 転職しようにも他の業界でやっていけるだけの知識や技術があるわけでもない。

 そういった者達にとって、トモヒロの迷宮に向かう以外に食っていく手段がない。

 仕方なく流れ着いてきた者もいる。



 コネで居座ってる者もいた。

 業界の関係者でそれなりの立場の者達の知人だから居座れた者もいる。

 何かあってもかばわれて匿われていた者だ。

 このせいで処罰も処分もされずにいた者がいる。

 今回、トモヒロによって処分されたのはこういう者だ。

 喜ぶことはあっても惜しむ者はいない。



 以前と比べて確実に良くなっている。

 不穏な事をする人間が消えて、生きやすくなっている。

 それを拒む者はいない。

 喜んで当然だ。

 いるべきでない者がいないのだから。



 住みやすくなった地下最下層。

 そこにいる者達は誰もがトモヒロを支持している。

 そうでない者が消えたためであるが。

 反発・反抗するものが消えていったためではある。

 下手な事をすれば処分されると分かってるのだ。

 ケチを付けるわけがない。

 みんな、命は惜しいのだから。



 だが、残った者達が不満を抱えてるわけではない。

 不満の原因が取り除かれたのだ。

 文句があろうはずがない。

 現状に納得し、満足している。

 だからトモヒロを支持している。



「やる事やってくれてんだ。

 文句なんかあるか」

 こう考えて思ってるものがほとんどだ。

 もっと文句を口にするもの、不満を抱えてるものがほとんどだと思っていたのだが。

 意外とそうでもない事に驚く。



 こういった粛正が既に初めてではない、というのもあるだろう。

 色々となれてきてるのかもしれない。

 強硬に思えることでも、多くの者達は受け入れる下地が出来ている。

 たいていのものは、今更という気でいる。

 それにだ。



 問題や悪事を排除している。

 それの何が悪いのか?



 多くの者達はそう思っていた。

 そう考えていた。

 むしろ、問題を放置している方がよっぽど問題だと考えていた。

 実際、そういったものを排除した今はとても快適なのだ。

 トモヒロのやり方を否定したり拒む理由は無い。



 むしろ歓迎していた。

 強硬と言われるような事を。

 それこそが正当で正道なのだと。



「もっとやってくれ」

 そう言うものがほとんどだった。

 トモヒロもそんな声を素直に受け取っていった。



 それでもと思う。

 トモヒロにも自覚はある。

 これがいわゆる独裁国家のようなものだと。

 だが、それでも構わないと思った。

 世界全てがトモヒロの下にあるわけではない。

 地下迷宮の中と、せいぜいその影響範囲の中だけ。

 そこだけの事だ。

 この中でだけは自分の思い通りにしても良いだろうと。

 自由も意思も奪われ、操り人形でいる必要はないと。

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