表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/110

8 警戒しつつも平和な日々が続く、その間にやれる事をやっていく

 覚悟とは裏腹に、特に何もない日が続く。

 階層だけは重ねてる迷宮の奥で、トモヒロは惰眠を貪る事が出来た。



 幸いにも探索者には見つかってない。 

 アパートの床下に作ったおかげだろう。

 目で見える範囲にないというのは意外と大きい。



 自然と放ってしまう霊気もない。

 おかげで探知機や検知機に見つかる事もない。



 レベルの高い者がいないのもありがたい。

 なにせボロアパートである。

 住んでるのはうだつの上がらない一般人か探索者。

 探知能力の高い者がいるわけもない。



 周囲も同じようなものだ。

 築後何十年も経つようなボロ家が集まる住宅地。

 そんなところに好んで住み込む高レベルは滅多にいない。

 皆無ではないが、少なくともトモヒロが知る範囲にいるのはレベルの上がらない者達だけだ。

 見つかる事もなくトモヒロは、迷宮の拡張拡大と整備を進める事が出来た。



 階層だけを増やした迷宮。

 おかげで一度に集まる霊気が多い。

 このおかげで拡大拡張もかなり早く進められた。

 縦に細い構造だった迷宮だが、ようやく横方向にも広げる事が出来る。



 1階から広さをある程度戻し、必要な罠を設置していく。

 必要なら壁の仕切りも入れていく。

 そうやって1階から順に整備をしていく。



 そのほとんどに罠を設置していく。

 やってきた探索者に不利な状況を作るために。

 まずは内部の作りによって探索者を撃退出来るようにする。



 そうしたら今度は怪物の配置となる…………のだろう。

 だが、トモヒロはそうしない。

 出来るだけ怪物を多く配置して、侵入してきた探索者を撃退する。

 基本的な迷宮はおおむねこういう体制を取っている。

 だが、どうしてもこれに疑問を抱くのだ。



 罠と怪物の組み合わせで最大の効果を発揮する。

 それは分かるのだ。

 だが、果たしてそれが正解なのかと。

 探索者として迷宮に挑んでいた経験からすると、そうとも思えないのだ。



 確かに面倒だ。

 迷宮の造りで迷い、罠で消耗し、そこに怪物が襲ってきたら辛い。

 しかし、死ぬ事はあまりない。

 実際、そういう迷宮での死亡率はさほど高くない。

 ただただ面倒なだけだ。

 面倒なだけで死ぬ事は無い。



 手間がかかるのは確かだが、攻略に支障が出るわけではない。

 時間をかければいずれ攻略出来る。

 迷宮の多くはそういう構造をしていた。



 それでは困ってしまう。

 トモヒロは攻略されたいわけではない。

 出来るだけ長生きしたい。

 その為にも探索者は全員撃退したい。

 生かして帰したくない。

 迷宮の中で朽ち果ててもらいたい。



 さもなくば、二度と来ないでほしい。

 生還しても二度と踏み込まないでもらいたい。



 そう思えるような迷宮はほとんど無かった。

 無いから探索者は何度も足を運ぶ。

 いずれ攻略するために。



 それでは困るのだ。

 トモヒロは死にたいわけではない。

 生きていたいのだ。

 だから、探索者に攻略されるわけにはいかない。



 そうならないように作るしかないのだ。

 手間と面倒が無駄にかかるような迷宮を。

 割に合わない労力を強いられる迷宮を。

 挑めば死ぬしかないような迷宮を。

 二度と踏み込みたくないと思えるような迷宮を。



「やってみるか」

 出来るかどうかは分からない。

 だが、少しでも長生きするために、ささやかな努力をしていこうと決めた。

気に入ってくれたら、ブックマークと、「いいね」を


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


_____________________

 ファンティアへのリンクはこちら↓


【よぎそーとのネグラ 】
https://fantia.jp/posts/2691457


 投げ銭・チップを弾んでくれるとありがたい。
登録が必要なので、手間だとは思うが。

これまでの活動へ。
これからの執筆のために。

お話も少しだけ置いてある。
手にとってもらえるとありがたい。


_____________________



+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ