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72/110

72 時と共に更に創作環境は潰滅していく

 階層が増加していく。

 迷宮の影響範囲も広がっていく。

 地上は再びオタクの楽園の姿に変わっていく。

 避難していたオタクが戻ってくる。



 トモヒロの迷宮周辺が、再び漫画とアニメとゲームとラノベとその他諸々に溢れていく。

 地下最下層で作り続けられてる創作物が、再建された店に並んでいく。

 娯楽殲滅派が一掃され、周囲もゴブリンが防衛してるので邪魔が入る可能性は低い。

 事実上隔離されたこの空間で、平穏なオタク生活が展開されていく。



 以前と違い、迷宮で食料など必要なものも生産されている。

 それらを地上にも流通させる事で、影響範囲の町は外部との交流が無くても成り立つようになった。

 おかげで、流れ込んできた者達は完全に独自の文化圏を作り上げていっている。

 単独で成立する生存圏が出来上がってるのだ。

 外から何かを持ち込む必要は無い。

 そもそも、好きな文物は自分達で作り上げる事が出来る者が多い。

 あえて何かを外から持ち込む必要がなかった。



 何より、トモヒロの迷宮の外では、様々な文化が衰退している。

 娯楽の多くが規制され、新しい何かが生まれる事はほとんどない。

 古くからあるものすら根絶させられようとしている。

 そんな所から何かが得られるわけもない。

 せいぜい、消滅しないよう保管のために何かが流れ込んでくるくらいだ。



 それくらい外の創作状況は惨憺たるものになっている。

 トモヒロが迷宮を作って40年。

 迷宮の外と中では大きな隔たりが出来ていた。



「酷えもんだ」

 流れ込んでくる情報に顔をしかめていく。

 自分の迷宮の中ではまだ様々な漫画やアニメがある。

 それを楽しんでいられる。

 しかし、外の悲惨な状況を聞くとため息が漏れてしまう。



 確かに迷宮によって余裕は無くなった。

 生存圏を守るために戦わねばならない。

 そちらにあらゆる力を注ぎこまねばならない。

 娯楽に費やす余裕など無くなっていく。

 それはトモヒロにも分かる。



 だが、法律などを作ってまで規制する必要があるのか?

 戦争に必要な物資を政府が買って集めていく。

 個人でも必要なものを買っていく。

 そうして自然に自分が必要なものを集めていくだけでどうにでもなることではないのか。

 戦争だからと規制してしまえば、戦争が終わっても規制は残る。

 戦争終結と同時に効力を失うというようにしても、必ず規制は残る。

 その規制が今後も延々と続く。



 迷宮との争いを理由にして、創作物への規制は完全なものになっている。

 生き残るのは、規制側に都合の良い話を書く者だけだ。

 そういった者達は規制してる方も取り締まらない。

 統治者側からも規制は都合が良い。



 そんな状態から逃れてくる者が多い。

 迷宮はそういった者達の居場所になっていた。

 創作周辺の様々な事業を営む者達も流れこんでくる。

 こういった者達によって、町は更に発展していく。



 そこまでするつもりはなかったが、トモヒロは創作業界の寄る辺となっていた。

 たんに娯楽を楽しみたかったから制作者を呼び集めていただけなのに。

「なんでこうなる?」

 不思議な成り行きに驚くしかない。

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