表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

67/110

67 軍隊がうけた損害

 迷宮の境界線から撤退していく軍隊。

 彼等は包囲するゴブリンの中を突破していく。



 危険はある。

 ゴブリンも武装している。

 歩兵銃や手榴弾、対戦車ロケットなどで。

 その威力は軍隊の武装と比べても遜色は無い。

 そんなゴブリンが何万といるのだ。

 まともに相手に出来るわけがない。



 軽装甲車で突っ切っていく。

 銃弾を弾ける装甲で攻撃を防ぎ、速度で振り切っていく。

 戦闘はできるだけ避けて、逃げることを優先する。

 立ち塞がる者は撃破しなければならないが、周りの全てを倒す必要は無い。

 今は、生き残ることが最優先なのだから。



 やるべき仕事は既にしている。

 軍隊の目的は戦う事ではなく、探索者を迷宮まで送り込む事。

 それは既に成し遂げているのだ。

 あとは無事に帰還するだけである。



 生きかえって、探索者達への支援を行わねばならない。

 長丁場になるなら、食料などを持ち込まねばならない。

 仕事が終わった時の出迎えにも行かねばならない。

 その為にも、ここで損害を出すわけにはいかなかった。

 数が減れば、支援すらもままならなくなる。



 これ以上軍隊から人を割くことはできない。

 たった200人だが、これが軍隊が引き出せた限界なのだ。

 だからこそ彼等は生きて帰らねばならなかった。



 とはいえ、それも簡単ではない。

 ゴブリンも本気で戦いにきている。

 やってきた敵を簡単に帰すつもりはない。

 この場で可能な限り殲滅しようとしている。



 その為に様々な事をしていく。

 道を塞ぐように展開し、足を止めようとする。

 強行突破するなら、対戦車ロケットなどを容赦なく使っていく。

 たとえ走行車両といえども、直撃を受けたら確実に破壊する。

 そんな武器を容赦なく使っていく。



 罠として地雷なども設置している。

 車両にも損害を与えるような威力のものを、そこかしこに置いている。

 直撃すれば頑丈な車体も破壊する。

 それができなくても、車輪を破壊して足留めを食らわせる事ができる。



 空にはドローンが飛んでいる。

 いずれもラジコン程度の小型のものだ。

 だが、それらが空から監視をしている。



 更に、幾つかのドローンは迫撃砲弾を抱えている。

 それらが空からの砲撃をしていく。

 吊り下げただけの迫撃砲弾を落下させるだけだが、威力は絶大だ。

 そんなドローンが空にいくつも浮かんでいる。

 軍隊の進む先に待ち構え、何十何百と集まって迫撃砲弾を落としていく。



 それだけの砲弾が落下するのだ。

 そのうちのどれかは当たる。

 当たらなくても、爆発の衝撃で損害を与える。



 この攻撃に軍隊の方の損害が増えていく。

 足を止めれば確実に対戦車ロケットが飛んでくる。

 車両から脱出して外に出れば、銃弾や手榴弾が飛んでくる。

 次々に死体が出来上がっていく。



 どうにかして逃げようとする軍隊だが、それも難しい。

 道が障害物で塞がれて簡単には通れない。

 来た道を戻るだけなのだが、障害物が復活していて簡単には進めない。

 一晩のうちに、可能な限りゴブリン達は復旧させていた。

 その障害物が突破を阻んでいく。



 他の道を進もうにも、それも難しい。

 同じように障害物が設置されてるからだ。

 回り道をしようにも、結局行く手を阻まれるのは目に見えている。

 作業用車両を先頭にして、障害物を除きながら進むしかなかった。



 戦場での活動を念頭において、作業用車両にも装甲が使われている。

 銃弾くらいならば防ぐ事はできる。

 だが、対戦車兵器が使われればひとたまりも無い。

 そういったものの攻撃を防ぐために、他の者は周囲にいるゴブリンに攻撃をしていく。

 それらの中に対戦車兵器を持つ者がいるかもしれないからだ。

 使われる前に倒して脅威を減らしていく。



 軍隊はどうにか包囲を抜けていく。

 損害は出したが撤退には成功する。

 30人の犠牲を出し、170人が生きて帰った。



 この損害を見て、軍隊は及び腰になった。

 確かに生還者の数はそれなりに多い。

 しかし、損害が15パーセントとなっている。

 1回の戦闘で受ける損害としてはかなり大きい。

 しかも、車両を幾つか失っている。



 これだけの損害が出ると、次の出撃にも二の足を踏む。

 人も兵器も大量に失ったのだ。

 次はもっと大量に失う可能性がある。

 もし、損害をある程度抑えるなら、より多くの戦力を投入しなくてはならない。



 兵士も車両も補充しなければ、次は低下した戦力で出撃する事になる。

 当然、戦力はその分落ちている。

 受ける損害は今回よりも大きくなるだろう。

 失う兵士は30人を超え、戦闘車両も更に多くが破壊される。

 なので、できるだけ戦力を補充しなくてはならない。

 可能なら、より多くの戦力を投入したいところだ。

 だが、そんな戦力の余裕はどこにもない。



 どうしたものかと誰もが悩む。

 迷宮に向かった探索者を回収しなくてはならない。

 その為には、再びゴブリンのはびこる地域を突破しないといけない。

 なのにそれをするだけの戦力がない。

 誰もが打開策を見いだせないでいた。



 しかし、回収の必要が消える事を、彼等は程なく知ることになる。

 迷宮に向かった者達の連絡が途絶えた事で。

 規定に従いそれは、探索者の全滅として扱われる事になった。

気に入ってくれたら、ブックマークと、「いいね」を


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


_____________________

 ファンティアへのリンクはこちら↓


【よぎそーとのネグラ 】
https://fantia.jp/posts/2691457


 投げ銭・チップを弾んでくれるとありがたい。
登録が必要なので、手間だとは思うが。

これまでの活動へ。
これからの執筆のために。

お話も少しだけ置いてある。
手にとってもらえるとありがたい。


_____________________



+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ