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65 思いや考えが妨げになる

 障害物をどけながら進む。

 幸い、狙撃などはされてないが、いつ襲われるか分からない。

 それを警戒して、周辺の調査なども進めていく。

 廃墟や物影に怪物が潜んでないかを。



 これはこれで時間がかかる。

 だが、障害物の撤去作業の安全の為だ。

 それに、他にやる事もないのも面倒だ。

 手の空いてる者達が交代で周囲の安全を確かめていく。



 不思議な事に怪物の姿は見当たらなかった。

 狙撃の為にどこかに潜んでると思われていたのだが。

 そうした者は全く見つからない。

「どこに行ったんだ?」

 誰もが疑問に思った。



 答えが分かるわけもない。

 だが、安全なのは確かだ。

 それだけでも充分だった。

 たとえこれが罠だったしても、撤退するわけにはいかない。

 迷宮を攻略せねばならないのだから。



 とはいえ、無理してでも作戦を遂行する必要もない。

 あまりにも危険な状況ならば撤退する事も許されてる。

 無理を通して全滅したら元も子もない。

 迷宮攻略と引き換えなら、まだ分からないでもないが。

 攻略出来ませんでした、それでいて部隊も全滅ですとなったらどうしようもない。



 全滅するくらいな撤退する。

 損害に見合った成果が見込めないなら撤退する。

 部隊がまだ部隊としての形を保ってるうちに逃げる。

 これらは当然認められていた。

 むしろ推奨すらされている。



 ただ、ここにも建前と本音が存在する。

 表では全滅よりは逃げろと言っていてもだ。

 実際には、「逃げたらどうなるか分かってるな」と言われる。

 もちろん記録には残らない。

 こういう証拠にならない方法での強制は当たり前のように存在する。



 この戦闘団にも、特に軍人と娯楽殲滅派にはそうした厳命がくだされていた。

 必ずやり遂げてこいと。

 たとえ不可能でも逃げ出すなと。

 全滅による人材の潰滅をしてでも、逃げ出すという汚名を着るよりはよいと。

 指示を出す側のこうした見栄によって部隊は動かされている。



 当然、今回の戦闘団も例外では無い。

 必ず迷宮に向かえ、絶対に逃げ出すなと言われてる。

 指示書や命令書に書かれてないこうした上の都合によって彼等は動いていく。



 それだけではない。

 応じる側にも問題がある。



 参加してる者達の中にも、逃げるなど許さん、という考えの者もいる。

 そこに理由など存在しない。

 逃げるのは卑怯、人のする事ではないという考えによる。

 こうした者は逃げるべき時に逃げる事をしない。

 意地や名誉などのために無理をし続ける。

 あるいは、根性と努力で無理を押し通すのが正解だと勘違いしている。



 こういう者達によって死ぬまで戦い部隊は全滅していく。

 死ぬのが逃げずにいようという者だけならばまだ良い。

 たいていは周りにいる者も道連れにされる。

 死ぬまで作業に従事させられる、戦闘を強制される。



 この戦闘団もそうした問題を抱えていた。

 軍隊は命令書にない指示によって。

 娯楽殲滅派は自分達の主義主張に縛られて。

 見返りの少なさをものともせず参加した者達は、その意識の高さによって。

 他の誰かからによるものであるか、自分が抱く理想と騙る頑固さによるものか。

 そのどちらであろうとも、その両方であろうと違いは大してない。

 地獄に向かって進んでる事に気付かずに無駄死にしていくだけだ。



 そんな者達だからこそなのだろう。

 この先に悲惨な何かがあるとは考えない。

 ただひたすらに、ここを突破して先に進むことだけ考えている。

 最悪の事態など全く考えてもいない。



 自分達が危険地帯に踏み込んでるということ。

 敵の巣窟の中にいるということ。

 それがどれだけ危険なのか、これについて全く考えてもいない。

 進めば進むほど、敵の中に取り込まれていくということを。

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