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61 ついに始まる地上への進軍

 地下5000階。

 そこに多くの怪物が集まっている。

 トモヒロが育て上げた軍勢だ。

 それらが地上に向けて転移を開始していく。



 最下層に作られた転移用の区域。

 繋がる先は、地下1階に新たに作った区域。

 本来の出入り口とは別に、この区域専用の出口がついている。

 そこに作り出した怪物が向かっていく。



 迷宮の影響範囲に、この専用出口が10個作られている。

 そこから怪物が次々に外に出ていく。

 まずは巨大で強力なものから。

 それらに地上の制圧をさせていく。



 最初に出たのは、巨大なトカゲとも言うべき怪物。

 全長20メートル近くの巨体を持つそれは、四つ足を踏みならしながら外へと向かう。

 それらが出ると、第二陣の巨大トカゲが。

 更に第三陣、第四陣と続く。

 数十匹に及ぶ巨大トカゲは、その巨体で周囲を破壊していった。



「なんだと!」

 慌てたのは、その場に屯していた娯楽殲滅派である。

 突如出現した地下への出入り口。

 そこから巨大トカゲが多数出てきたのだ。



 たかがトカゲと侮る事は出来ない。

 尻尾も含めてだが、全長20メートル近くの巨体だ。

 その巨体が持つ重さを止める事は難しい。

 しかも、見た目に反して意外と素早く動く。

 それこそ一般人が走る速度を凌駕する。

 重さにこの速度が加わり、とてつもない衝突力が発生する。



 加えて頑強な身体に硬い鱗を備える。

 巨体を支える筋肉は、それだけで分厚い鎧のようなものだ。

 加えて、体を多う鱗は下手な鉄板以上の強度を持つ。

 並大抵の兵器では撃破するのも難しい。



 とはいえ、その脅威は単純に肉体的な部分によって発生している。

 他に特殊能力があるわけではない。

 傷を瞬時に回復する再生力とか。

 人睨みで生物を石にする眼力だとか。

 口から炎を吐くとか。

 人間並みの知性を持ってるとか。

 こういった怪物故の能力を持ってるわけではない。

 ただただ、頑丈な肉体と、強力な体力があるだけだ。

 単純と言えばその通りで、単純極まりない脅威だ。



 しかし、特殊な能力などなくても充分に脅威である。

 巨体と体力と頑丈さがもたらす破壊力。

 それだけで大きな破壊をまき散らす。

 それが何十匹と出て来て暴れ回るのだ。

 並のレベルの者では対処しようがない。



 これだけの脅威なので、この巨大トカゲは探索者にこう呼ばれる。

 下位ドラゴンと。



 本来のドラゴンは、知性を持つ種族だ。

 人間との会話も出来て、彼等独自の文化を持つ。

 魔術や超能力も使いこなす。

 けっして獣同然の存在ではない。

 そんなドラゴンと一緒にするのは、ドラゴンに対して失礼極まる。



 だが、見た目がいくらか近いのと、ほぼ同等の巨体。

 更に、単純な体力だけで見れば、ほぼ同等の強さを持つ。

 そんな巨大トカゲは、下等ながらもドラゴンと見まごうものがあった。

 だから探索者はこの巨大トカゲを下位ドラゴンと呼ぶ。

 本物のドラゴンからはこうした呼び方に大きな不満を抱いてるが。



 これらが迷宮の影響範囲の中で暴れていく。

 そこで暴れ回っていた娯楽殲滅派は次々と粉砕されていく。

 突進で蹴散らされ、足で踏み潰され、尻尾で吹き飛ばされる。

 並のレベルの探索者の能力では凌ぎきれない攻撃だ。

 文字通りに粉砕されていく。



 そうして地ならしが進む中で、次の兵力が投入される。

 全長10メートル程度の巨大な鳥である。

 それが一つの出口から3羽から4羽ほど転移してきて、外に出る。

 巨大トカゲによって広げられた土地の上に躍り出て、翼を広げていく。

 30メートルにも及ぼうかというそれを羽ばたかせ、空へと飛んでいく。

 空から侵入するものを撃退する為に。



 地上と空の制圧が終わると、今度は幾分小柄な兵団があらわれる。

 背丈は120センチほどの人型怪物だ。

 一般的にはゴブリンと呼ばれる者達である。

 その体格の通り、体力などはそれなりだ。

 人間の成人には及ばない。

 知力などもおおむね人間の子供と大差がない。

 だが、それだけの体力と知恵があれば、充分に活動出来る。



 子供といえども、小学校の高学年にもなれば様々な智慧を働かせる。

 大人と同じとはいえなくても、ある程度の作業は出来る。

 なにより、人間と似たような姿形をしている。

 つまり、人間の装備をそのまま使う事が出来る。



 そのゴブリン達は、手に銃器を持ち、身体に防弾着を身にまとっている。

 最下層に設置した兵器工場で作ったものだ。

 それらを装備したゴブリンは、充分に兵士としての戦闘力を持っている。

 少なくとも装備の優劣はない。



 また、数が多い。

 一回の転移で1区域ごとに300人から400人があらわれる。

 それが何十回と続く。

 戦闘力では先に外に出た巨大トカゲや巨大鳥には劣る。

 しかし、面の制圧範囲と占領能力は充分に持っている。

 何より、人間と似た姿形という事は、人間の作った町の中に浸透する事が出来る。



 巨大な怪物に出来ない占領。

 それをゴブリン達は行っていく。

 迷宮の影響範囲にあった娯楽殲滅派の拠点は、このゴブリンによって少しずつ着実に攻略されていく。



 娯楽殲滅派は迷宮の影響範囲を制圧するために、あちこちに駐留場所を作ってる。

 それは砦や要塞のようになってる所もある。

 目立たないように隠されてるものもある。

 それらを内部に侵入して攻略する為に。

 探して破壊するにはゴブリンのような者が必要だった。



 そうした要望と期待にこたえ、ゴブリンは生き残ってる娯楽殲滅派の居場所を探り当てていく。

 見つけて攻撃を開始していく。

 生き残っていた娯楽殲滅派は、こうして次々に撃破されていく。



 数日もするうちに、トモヒロの迷宮の影響範囲から娯楽殲滅派は消えた。

 10年ほど好き勝手に荒らされていたが、ようやくそうした暴挙を止める事が出来た。

 迷宮の奥でトモヒロは胸をなで下ろした。

 これで当面の問題は解決出来たと。



 同時に、とてつもなく危険視される事も。

 迷宮の中から怪物が出て来たのだ。

 これを黙ってみてるわけがない。

 制圧に乗り出してくるのは確実だ。



「まあ、がんばらないと」

 やってくるだろう敵に向けて、トモヒロは決意をあらたにする。

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