表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

60/110

60 無駄な破壊行為にはあえて目をつむることが出来ても、放っておくわけにもいかないのも確かである

 娯楽殲滅派が達成できない迷宮破壊の代わりに、迷宮周辺の破壊に勤しんでる頃。

 地下最下層でトモヒロはそれを冷淡な目で見つめていた。

「アホか」

 怒りも憤りもなく、ただただ呆れていた。



 迷宮周辺の破壊に意味はない。

 壊しても壊しても、いずれ再生される。

 迷宮がある限り、その影響は必ず受ける。

 どうしても、迷宮に合わせた何かが発生する。



 それをどうにかしたいならば、迷宮を破壊するしかない。

 それが出来ないから、迷宮の副産物の破壊をしてる。



 強いて効果をあげるならば、迷宮で産み出される様々な娯楽。

 新作の漫画・アニメ・ゲーム・ラノベなどなど。

 これらの地上での販売拠点がなくなる事くらいだろうか。

 迷宮で出来上がった産物は、迷宮周辺にもあらわれる。

 どういう経路を通るのか分からないが、とにかくそうなってる。



 この漫画やアニメなどの拡散を防ぐという意味では効果はある。

 販売店の形をとる迷宮周辺にあらわれる店などを破壊すればよい。

 それだけで拡散する場所がなくなる。

 娯楽殲滅派としてはやらないわけにもいかないだろう。



 それでも、応急処置のようなものでしかない。

 とりあえずの問題は解決出来る。

 だが、問題の発生源を取り除いたわけではない。

 時間が経てば復活するし、そうなれば再び同じだけの労力を使わねばならない。

 やらないよりは良いのだが、終わることのない労力を求められる。



 しかも、トモヒロの迷宮は階層を次々に増やしていっている。

 これによって迷宮が得る霊気は増大するし、外に漏れ出す分も増える。

 影響を受ける迷宮周辺地域も拡大していく。

 いずれ娯楽殲滅派だけではどうにもならなくなる。



 時間の問題だ。

 放置していても、いずれ娯楽殲滅派の手に負えなくなる。

 そこまで待てば、あとは自滅していく。



 しかし、トモヒロはそこまで待つつもりはなかった。

 さすがに鬱陶しくてかなわない。

 もともと邪魔な存在ではあった。

 それが自分の家の前にいるのもわずらわしい。

 存在を感じるだけで腹が立つ。

「始末するか」

 決断は早かった。



 ただ、今すぐにというわけにはいかない。

 行動に出るにしても準備が必要になる。

 事を起こせるようになるまでは辛抱するしかない。



 幸い、時間はある。

 迷宮と一体化してるトモヒロにとって、寿命は無限にあるようなものだ。

 迷宮が存在し続けるかぎり生きていられる。

 おかげで迷宮最下層で作られ続ける新作を楽しめる。



 それらを楽しみながら準備を進めればよい。

 焦る必要は全くない。



 迷宮の階層を増やして、得られる霊気を拡大していく。

 そうして地上に居座ってる連中への対処を進めていく。

 必要な人員・設備を揃えていく。



 そうしながらも地上にいる創作者達を救出していく。

 時と共に娯楽の規制は強まっていく。

 だんだんと創作そのものが出来なくなっていく。

 その圧迫においやられてる者達を助けていく。



 迷宮最下層はその度に拡大を続け、数多くの人間が住むようになった。

 それらはようやく得ることが出来た安息地で新作を作っていく。



 そうした者達と、迷宮の住人との交際や結婚も増えていく。

 作品の登場人物のような姿の者達だ。

 最下層にやってきた人間との相性は良い。

 いずれも漫画やアニメなどの創作物を愛好する者達だ。

 創作物の登場人物にそっくりな者達を愛でる者は多い。

 そんな両者が結びついていくのは自然な成り行きだろう。



 そんな者達のためにも、トモヒロは外敵との戦いに備えねばならなかった。

 安息地を脅かす存在を放置は出来ない。

 今は何も仕掛けてこなくても、いずれ攻撃してくる。

 実際、迷宮周辺の破壊活動をしてるのだ。

 迷宮にやってこないのは、攻略する術がないからでしかない。

 それが可能ならば、とっくにやってきて、迷宮を破壊してた事だろう。



 なんにせよ、いずれまた再びやってくる。

 必ず攻撃してくる。

 相手の行動方針を考えれば当然だ。

 娯楽殲滅派は漫画やアニメなどの創作物を破壊したいのだから。

 今は手をこまねいてるだけで、創作物の破壊をやめたわけではない。

 そうなる前に決着をつけねばならない。



 階層を増やし、そして施設や設備を増やしていく。

 迷宮の増改築も進めていく。

 全ては地上に乗り出すためだ。

 時間をかけて、しかし着実に体制をととのえていく。



 迷宮を作ってから30年目。

 準備がようやく終わる。

 5000階層にまで拡大した迷宮の奥で、それは始まった。

気に入ってくれたら、ブックマークと、「いいね」を


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


_____________________

 ファンティアへのリンクはこちら↓


【よぎそーとのネグラ 】
https://fantia.jp/posts/2691457


 投げ銭・チップを弾んでくれるとありがたい。
登録が必要なので、手間だとは思うが。

これまでの活動へ。
これからの執筆のために。

お話も少しだけ置いてある。
手にとってもらえるとありがたい。


_____________________



+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ