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51 次も次も、その次も

 迷宮6階の霊気吸収地帯。

 そこを避けるために、やはり転移を用いていく。

 その方が消費する霊気が少なくて済む。



 再度挑戦をしていく娯楽殲滅派は、そう考えて一気に6階に転移。

 その終点を透視・遠視して、更に転移。

 7階へと下りていく。



 下りた先で再び彼等はうんざりした。

 その先もまた、霊気吸収地帯だったからだ。

「またかよ」

 二度も続けて同じような罠を仕掛けられるとは思わなかった。



 当然、歩いて進むような事はしない。

 終点を透視・遠視して転移する。

 すぐに7階の終点に到達し、階段をおりていく。

 だが、8階でも彼等は唖然とする。

 そこも霊気吸収地帯だからだ。



 さすがにこれはと思い、転移で終点まで向かう。

 わざわざ通路を通る必要もない。

 しかし、転移した先の階段を下りたら、またしても霊気吸収の通路が待っていた。



「8階もか……」

 頭を抱えたくなる。

 6階・7階に続いてだ。

 構造も同じ。

 一本道をただひたすら歩き続けるだけ。

 ひねりも何もないが、その分歩く距離は長くなる。

 迷いはしないが、近道もない。



 さすがに残りの霊気に余裕がないので、この日はここで退散した。

 続きは次の日になる。



 翌日、さっそく8階に転移して、そこから終点まで更に転移をする。

 今度こそはと思い9階に入る。

 その瞬間に、娯楽殲滅派の探索者は肩を落とした。

「またか……」

 9階も霊気吸収の通路になっていた。



 さすがにここまで来るとやる気も削られる。

 同じような障害の連続。

 しかもそれが面倒で避けようがないもの。

 転移という消耗の激しい手段で超えるしかない。

 やり方が分かっていても、突破が面倒な場所だった。

 そんなのが目の前に何度もあらわれれば嫌気がさす。



 それでも彼等は、自分達の主義主張のために先へと向かう。

 道理も理屈もない。

 もはや意地だった。

 その意地で9階に向かい、終点まで転移をする。

 今度はどうなってるんだと思いながら。

 どうせ今度も同じなのだろうとも考えながら。



 そんな彼等の予想通り、10階も霊気吸収になっていた。

 突入した全員が虚脱感に襲われた。



「ここもか」

「ここもだな」

「どうなってんだ、この迷宮」

 口が増えていく。

「こうなると、次も霊気吸収なんじゃないのか?」

「言うな。

 考えたくもない」

 それでも彼等は先に進んでいく。



 幸い、11階は霊気吸収ではなかった。

 だが、下りてすぐに面食らう。

 今までもそうだったが、この11階もわけがわからなかった。

「なんだこれ」

 そう言う彼等の前には、区域を区切る壁がそびえ立っていた。



 迷宮は迷う構造をしている。

 だから迷宮という。

 そして、迷いはするが道はあるものだ。

 辿っていけば、概ね出口に通じる。

 しかし、この迷宮はどこまでも例外であった。



 目の前にそびえる壁。

 そこには通過できる要素が全くない。

 何か仕掛けがあるのかと思ったが、それもない。

 どういう事かと透視などを用いて周囲を探っていく。

 それで分かったが、この階層は縦横20区画ずつの全てが壁で仕切られていた。

 対角線上にある、反対側の角にある下り階段まで。



 また、ただの壁というわけではない。

 一方通行と呼ばれるものだ。

 片方にだけ進める壁である。

 通る時には何もない。

 しかし、通り過ぎると壁が後ろにあらわれる。

 そういう、罠と言えば罠となるものだ。

 それが下り階段までの区域の全てに設置されている。



 通るためには転移をするしかない。

 幸い、魔術や超能力を阻害するようにはなってない。

 やろうと思えば一瞬にして飛ぶことは出来る。

 だが、霊気の消耗が大きい。



「本当に、いやな迷宮だな!」

 今までもそうだが、とにかく疲労や疲弊を誘う造りになってる。

 その事にうんざりし、何回目か分からないため息を吐いていった。

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