表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

50/110

50 嫌味の次は具体的な問題

「転移しよう」

 5階攻略方法はそう決まる。

「あの中を突破するのは手間だ。

 必要な装備を用意するのも。

 転移した方がいい」



 時間と労力と手間と資金。

 これらを考え、転移による瞬間移動が最適だと判断された。

 今ですら虫の中を突破するために装備を揃えてるのだ。

 この先、激烈な臭いの中を移動するために、更に道具を揃えるのも面倒だった。

 それならば、魔術・超能力に頼った方が早くて手軽だった。



 その為にも、透視・遠視も必要になる。

 転移先を把握するために。

 それが出来る者が選ばれていく。



 そうした者達を集め、迷宮に突入。

 まずは4階の最後の区域に転移する。

 そこから透視と遠視で5階を探る。

 構造は3階・4階と同じで、延々と長距離を歩かせるようになってるのが分かる。

 その終点、6階への階段のある部屋を見つけ、一気に転移をしていく。



 娯楽殲滅派の一行は、階段の前に転移していく。

 そのまま一気に階段へと走る。

 猛烈な臭気が襲ってくるからだ。

 一応、臭いを吸い込まないように酸素ボンベを背負っている。

 だが、小型のものなのでそれほど長時間持続しない。

 あくまで5階を一瞬だけ通り過ぎる為だけの為だからだ。

 長居する事なく、一気に6階へと駆け込んでいく。



 あっと言う間に6階にたどり着く。

 強烈な臭いも、吸い込む事が無ければさほど脅威ではない。

 それでも、臭いは染みついてる。

 前回、ほんの一瞬だけ踏み込んだだけでも強烈な異臭がついたのだ。

 今回も例外ではない。

「帰ったら洗わないとな」

 そう言い合いながら、娯楽殲滅派は進んでいく。



 6階も構造は同じだった。

 一列に長い通路が続き、奥で折り返しになっている。

 可能な限り長距離を歩かせるような構造だ。

 だが、3階と4階のようなおぞましい生き物がいるわけではない。

 5階のような異臭があるわけでもない。

 見ただけならば、単に通路が長く続いてるだけ。

 異様なところは見当たらない。



 それでも娯楽殲滅派は警戒する。

 ここまでの段階で、既にロクでもない場所だという事は分かってる。

 一見普通に見えても、何があるのか分からない。

「気をつけていくぞ」

「おう」

「うん」

「もちろん」

 声をかけあっていく。



 誰もが思っている。

 ここにも絶対に何かがあると。

 それが何なのかは分からないが。



 そうして暫く歩いていくうちに、彼等は異常に気付いた。

 歩くごとに疲労感が強くなっていく。

 迷宮を歩くのだから、大なり小なり精神的に圧迫はされるのだが。

 それとは違った憔悴感をおぼえていく。



 彼等はそれにおぼえがあった。

 あるからこそ即座に、

「まずい!」

と気付く事ができた。



「脱出だ!」

 言うやいなや、リーダーが脱出の魔術・超能力を使っていく。

 他の者もそれにならう。

 あわてて迷宮から飛び出した彼等は、地上に出てすぐにへたりこんだ。

「ちくしょう!」

 臭いをとる、防護服ごとの洗浄すら後回しにしていく。

「やってくれるよ」

「本当に最悪だ」

 誰もが愚痴った。



 迷宮6階。

 一見、何の変哲も無い空間。

 しかし、そこはやはり嫌がらせのような仕掛けがなされていた。

 歩いて行く事で感じた疲労感がそれを物語ってる。



「霊気吸収だ」

 答えを戻ってきた者達は口にする。

 迷宮6階の罠、霊気吸収。

 文字通り、霊気を吸収する罠だ。

 それが6階には施されている。



 霊気は魔術や超能力を使う為に用いるものだ。

 また、持久力・スタミナなどにも関わっている。

 身体を動かす、頭を使う、気を利かすなどの行為でも消耗していく。

 休憩したり寝たりする事で回復するが、消耗する事で倦怠感をおぼえる。

 これを吸収するのが6階だ。



「たぶん、あの通路全部がそうなんだろうな」

 今までの傾向からして、6階に何もないとは思えない。

 通路全部に霊気吸収の罠が仕掛けられてると考えられる。

「やっぱり簡単には進ませてくれないな」

 当たり前といえば当たり前だ。

 誰が自分を殺しに来る者を歓迎するのだろうか。

 迷宮の主人からすれば、探索者など邪魔でしかない。



 そこを突破して、迷宮を攻略・破壊する。

 それが探索者のやるべき事だ。

 特に娯楽殲滅派にとって、目の前の迷宮は放置できるものではない。

 放っておけば、漫画やアニメなどが拡散されてしまうのだから。



「絶対突破するぞ」

 決意が鈍ることは無い。

 疲弊する事はあっても、休めば元に戻る。

 その気力で己を奮い立たせ、娯楽殲滅派は迷宮攻略に臨んでいく。

気に入ってくれたら、ブックマークと、「いいね」を


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


_____________________

 ファンティアへのリンクはこちら↓


【よぎそーとのネグラ 】
https://fantia.jp/posts/2691457


 投げ銭・チップを弾んでくれるとありがたい。
登録が必要なので、手間だとは思うが。

これまでの活動へ。
これからの執筆のために。

お話も少しだけ置いてある。
手にとってもらえるとありがたい。


_____________________



+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ