5 誰かに見つからないようにする為に
一気に地下10階まで階層を増やしたトモヒロの迷宮。
おかげで流れ込んでくる霊気は一気に増加。
それを用いて本格的な迷宮の増改築を進めていく。
とはいっても、そう派手に出来るわけではない。
いくら霊気の収入が増えても、一気に多くの設備投資が出来るわけではない。
まずは霊気がある程度貯まるまで待つしかない。
その間に迷宮探索者がやってくる可能性もある。
それへの備えもある程度しておく。
ただ、今の段階では見つかる可能性は低い。
霊気が外に漏れないからだ。
巨大で強力な迷宮ほど、強烈な霊気を放出する。
それは周囲にそれとなく分かるほどだ。
特に、迷宮・怪物出現後は霊気を感知する者も出てきている。
計測用の機器も開発された。
なので、迷宮の存在を隠し通すのは難しい。
なのだが、あくまで巨大な迷宮ならばだ。
地下10階程度の迷宮だと、漏れる霊気の量もそう大きくはない。
霊気の検知器などに反応する事もない。
全く気付かれないという事は無いが、漏れる霊気で感づかれる事はほぼ無い。
探知能力に優れた者がいればどうなるか分からないが。
それでも、簡単に見つかる事は無い。
それに、住んでるボロアパートの床下に作ってある。
外から見ても簡単に分からない。
それを狙ってアパートの床をはがして迷宮を作ったのだ。
同居人や大家には迷惑をかけるが、気にする事もない。
どちらもいけ好かない連中なので、かえりみるつもりは全くない。
そんな迷宮の中で、トモヒロは少しずつ迷宮を拡張していった。
生活がしやすいように。
侵入者が万が一入ってきた場合にも備える。
歩みは遅いが、少しずつ、少しずつ作業を進めていった。
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