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45 友達も仲間も選ばなければならない、仕事を共にするならなおさらだ

 迷宮攻略を優先する者達の多くは、トモヒロ迷宮の攻略から抜けていった。

 その理由は突入前に起こった問題による。

 娯楽殲滅派との衝突。

 考え方の大きな違い。

 相手の考えを聞いて、迷宮攻略を優先してる者達は危機感をおぼえた。



 迷宮攻略にあたって、仲間の連携は必要不可欠だ。

 その為にも、無駄な衝突は避けねばならない。

 少しでも歩調や波長があわなければ、それだけで様々な問題を生み出す。



 そうならない為にも、多少の譲歩は互いに必要になる。

 考えや意識、方向性が完全に一致する事はない。

 だから、お互いに無理のない範囲でゆずりあう。

 そうして出来るだけ問題を減らして作業にあたる。



 これが迷宮攻略の心得の一つだ。

 妥協点や一致点を見いだせない者とは決して組んではならないとも言う。



 だから迷宮攻略を優先してる者達はトモヒロの迷宮に挑む事を諦めた。

 自分達だけで挑むならまだ何とかなっただろうが。

 娯楽殲滅派の連中が一緒に行く予定だ。

 その連中の態度を見て、考えがまとまった。

「こいつらとは一緒に行動できない」と。



 必要な準備もせず、闇雲に突入しようとする。

 迷宮の拡大が更に進む前に、というのは分かるのだが。

 それでも、何の準備も無しに進むのは危険すぎる。

 それでも娯楽殲滅派は無茶な進軍をしようとする。

 損害の拡大を全く考慮せずに。



 その理由が、究極的には漫画やアニメといった娯楽の殲滅なのだ。

 そうしたいから、急いで迷宮を攻略しようとする。

 迷宮が害をもたらす前にというわけではない。

 現状での害など大したものではない。

 無いと言っても良い。

 他の迷宮と違い、周辺地域が破壊され、怪物によって人が殺されてるわけではない。

 少なくとも、即座に危険が増大するという事は無い。



 それでも、いずれ危険になるかもしれない。

 だから急いで攻略しておこう、まだ危険でないうちに、というのは理解出来る。

 しかし、それは準備や対策を放り出してというわけではない。

 少なくとも迷宮攻略を優先する者達にそんな考えや気持ちはない。



 あくまで攻略は確実にやっていく。

 損害も出さない。

 そのつもりで攻略優先の者達は行動している。

 それが全くかえりみられないのだ。

 やってられるわけがない。



「俺たちはおりる」

 迷宮攻略を優先する者達はそう言って撤退していった。

「やりたいならお前達だけでやれ」

 それだけ言うと、自分達の装備や道具を片付けていく。

 発注したものも含め、自分達の装備や道具をもってその場を去っていく。



「おい、どこに行く!」

 娯楽殲滅派は止めようとする。

「勝手な事をするな!」

「道義はどうした!」

 わけのわからない事を叫ぶ。

 勝手なのは、娯楽殲滅派である。

 道義もなってないのは娯楽殲滅派である。

 命がけの作業になるのに、損害を減らそうという努力もしてないのだから。



 そんな娯楽殲滅派の言動や態度は、ビデオなどにおさめられていた。

 それらを世間に公開していく。

 何があったのかという証拠として。



 音声や動画で伝えられる事実。

 そこでおこったやりとりは即座に全世界に配信されていく。

 視聴した者達はそこで何があったのかを知っていく。

「こいつらとはこれからも付き合わねえ」という迷宮攻略優先のもの達の意見も。



 それはそうだろうと多くの者達が思った。

 特に迷宮攻略を生業としてる者達のほとんどが賛同していく。

 ろくに調査も準備もせずに迷宮に突入する。

 これがどれほど危険なのかは、まともに生き残ってる多くの探索者にはすぐ分かる。

 誰もが可能な限りの調査と準備をして生き残ってきたのだ。

 それを疎かにして死んでいった者達を見てきたのだ。

 血気にはやってすぐに迷宮に向かう者達となど行動したくもない。




 おかげでトモヒロの迷宮に挑もうとした娯楽殲滅派は孤立する。

 共に迷宮攻略に挑む者は消えた。

 迷宮攻略に必要な戦力を大きく減らす事になる。



 その様子はトモヒロの所にも伝わっていく。

 あちこちに放ってる偵察用の怪物で情報は集めてる。

 迷宮の出入り口周辺にやってくる地上の人間からの情報もある。

 漫画やアニメを求める者達が、雑誌や単行本などを購入するついでに持ち込んでくれる。

 そこかしこで行われる立ち話や噂話。

 それらがトモヒロの所にも流れてくる。

 これらによって、迷宮突入前に探索者が分裂した事をしった。



「……何やってんだ?」

 あまりの事に呆れてしまう。

 トモヒロからすれば好都合ではあるのだが。

 あんまりにもあんまりな出来事に、敵ながら心配になってしまう。

「大丈夫なのか、こいつら?」

 こんなんで本当に迷宮を攻略出来るのかと心配になった。

 されたいわけではないのだが。



 それでもまだ迷宮攻略をしようという連中は残ってる。

 漫画やアニメなどの娯楽の供給源を破壊しようとする連中が。

 それらはやる気を漲らせて迷宮に突入しようとしていた。



 トモヒロもそれへの対策をしていく。

 万全とはいかないまでも、損害を少しでも減らせるようにと。

 その為に、まず地上にある迷宮周辺地域に警戒と警告をしていく。

「奴等が攻め込んできたら、真っ先に狙われる」

 わかりきった事だ。



「だから、そうなる前に手を打っておきたい」

 攻撃されるのは免れない。

 だから、事前に対策をしておきたい。

 その為に各所に様々な指示を出していく。

 迷宮周辺に出来た地上の町。

 それらに何かあっても、損害を最小に出来るように。



 そうした措置が功を奏していく。

 娯楽殲滅派は、予想通りに迷宮周辺の町を襲撃してきた。

 町並みが破壊されていく。

 しかし、そこにいた者達が傷つき死んでいく事は避ける事ができた。

 襲撃が来る前に、そこに発生していた怪物達を逃がす事によって。

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