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43/110

43 危険とみなす理由はそれぞれ、それが真っ当なものなのか、妥当なものなのか

 迷宮の影響によって周辺が変化する。

 しかし、出現するのは特に害のない者達だ。

 ならば今すぐ攻撃する必要もないだろう。

 ──世間の意見は、おおむねこんな所である。



 それでもトモヒロの迷宮に押し寄せてくる者はいる。

 面倒な手間がかかる場所だと知りながらだ。

 そういった者達は概ね二種類に分ける事ができる。



 一つは、攻略しやすい迷宮から片付けようという者達。

 まだ小さなうちに、攻略しやすいうちに破壊する。

 大きくなってからでは攻略しづらくなるので、その前に破壊しようというものだ。

 これはこれで道理に沿っている。



 また、巨大化する前なら、周囲に与える影響も小さい。

 迷宮周辺の変化がより大きなものにならないうちに解決する。

 こういった考えにのっとって迷宮に突入してくる者もいる。



 もう一つは、漫画・アニメはけしからんという者達だ。

 嫌悪感をもとに迷宮を破壊しようとする。

 害があるかどうかなど関係なく、生理的に受け付けないから潰したい。

 トモヒロの迷宮の影響が地上にあふれるようになってから、こういった者達がより多く突入してくるようになった。



 彼等からすれば容認できない理由もあった。

 トモヒロの迷宮を中心に、様々な漫画やアニメなどの娯楽作品が溢れるようになったからだ。



 トモヒロの迷宮周辺には、最深部で作られた作品が並んでいる。

 これらが商品として周辺地域にあるのだ。

 それを購入する者達が一般社会に漫画・アニメなどを浸透させていく。

 漫画・アニメを嫌悪する者達にとって見過ごせない事だった。



 娯楽にうつつを抜かしてる場合じゃ無い。

 この美辞麗句の大義名分によって葬り去ってきたもの。

 それが地下迷宮から出てくるのだから、殲滅するしかない。



 こういった理由をもった者達がトモヒロの迷宮に突入してくる。

 トモヒロからすればいい迷惑だった。



 社会の裏側で作られる地下経済。

 その首領として扱われてるのだ。

「なんでそうなる」と嘆きたくもなる。



 ただ、せっかく復活した漫画やアニメなどの娯楽を崩壊させたくはなかった。

 それが社会の裏側に根を張る地下経済として成り立ってるとしてもだ。

 そんなの、地下に追いやった世の中が悪い。

 それを再び葬ろうというなら対抗するしかない。

「やるしかないか」

 不承不承ながら迎え撃つ事にしていく。



 トモヒロとしては、迷宮最下層という地下だけで流通してれば良かった。

 底に呼び込んだ創作者や制作者の間で。

 あるいは、愛好者達だけで楽しめればよかった。

 地下の奥深くでだけ流通する、文字通りの地下経済で良かった。



 だが、外に漏れ出てしまったのなら仕方が無い。

 それを理由に攻撃してくるなら対抗するしかない。

 好きなものを何の理由もなく消滅させられたくはない。



 やってくる理由はどうあれ、敵である。

 放置すれば迷宮最下層まで攻め込んでくる。

 そうなれば、せっかく楽しめるようになったオタクライフが潰滅する。

 創作者や制作者も殺され、二度と漫画・アニメ・ゲーム・ラノベ・その他を楽しめなくなる。



 そうならないように迷宮を作ってきている。

 そうならないように防衛体制を作り上げてきた。

 話し合いなど出来ない相手なのだから、遠慮無く潰していくしかない。

 話し合いも棲み分けも出来ない連中が相手なのだ。

 生きるか死ぬかの二択しかない。



 既にそう覚悟を決めていたのだが。

 やってきた敵を迎え撃つにあたり、あらためて気持ちを引き締める。



 この時、迷宮を作ってから20年が経過している。

 階層も2000階に到達していた。

 深さだけなら、世界有数の巨大迷宮。

 その最深部でトモヒロは、やってくる探索者を迎え撃つ。

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