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42 他とは違うのだよ、我々は

 これまでの事例から危険視されていく迷宮。

 迷宮だけでなく、漏れ出す霊気によって変化する迷宮周辺。

 トモヒロの迷宮でも起こったこの現象に、日本国内の様々な者達は危機感を抱いた。

 もともと漫画・アニメなどの娯楽を糾弾してきた者達は、その急先鋒となっていく。



 その理由に、そして放置すれば危険というこれまでの事例を提示していく。

 また、表だって言いはしないが、これを殲滅する好機としいる。



 実際の理由や目的を隠す。

 よくある手段である。

 表には、耳に聞こえのよい理由をでっち上げる。

 美辞麗句の大義名分は、敵視する者を攻撃する常套手段だ。

 賛同しやすく、逆らいにくい。

 これを掲げて相手を叩き潰す。

 漫画・アニメを嫌悪する者達は、これを掲げてトモヒロの迷宮への攻撃を開始しようとしていた。



 何よりも、トモヒロの迷宮を支持する者達。

 これが国内外の様々な迷宮で起こる問題と重なっている。

 迷宮の周囲にあらわれたものを支持し守ろうとする者達。

 それらがやがて人類の敵となってきた。

 よくある前例通りの流れがトモヒロの迷宮でも起こってる。

 危険視するのも、あながち間違いとは言いにくい。



 ただ、トモヒロの迷宮周囲にあらわれた町。

 霊気によって変化した場所はこれまでと趣が違った。

 それが迷宮周囲の変化した場所に出向いた者達によってだんだんと伝わっていく。



 トモヒロの迷宮周囲にあらわれた空間。

 それは特に危険という事もなかった。

 いわゆる神話や伝承、宗教がもたらす存在。

 それらと大きく異なっていたからだ。



 まず、迷宮の周囲にあらわれた存在。

 いわゆる怪物と言うべきものなのだが、これらが人間と大差がない。

 考え方から生き方まで、ほぼ人間と同じだ。

 漫画やアニメのキャラクターがほとんどだから当然だろう。

 これらの大半が人間と同じ思考をする。

 そもそも、人間として描かれた存在だ。

 人間と違うところがほとんどない。



 喜怒哀楽といった感情はほぼ人間通り。

 食って寝るといった生活様式や生理現象も人間と同等。

 魔術や超能力を使う者もいるが、それは今の地球からすれば特に珍しいものではない。

 倫理観や道徳といったものも人間と大差はない。



 つまり、人間と対立する部分がない。

 人間とかけ離れた生態を持ってるわけでもないから当然だろう。

 人間が実行できないような教義などを持ち合わせてるわけでもない。



 そもそもとして人としての規範などを強要する存在では無い。

 宗教や道徳観などとは無縁の存在だ。

 強いていうならば、人が人として生きていくために守った方が良い事。

 喧嘩はしない、出来るだけ仲良くしよう。

 それが無理なら、互いに接触しないようにしよう。

 この程度の自制や規律がある程度だ。

 よほどの事が無い限り、そうそう逸脱する事はない。



 普通に生活してれば問題のない程度の約束事。

 それがあるだけだ。

 人が守れないような制度があるあけではない。

 これがトモヒロの迷宮周辺にあらわれた人型達の考えである。



 この程度の事が守れないなら、それは守れない方が問題があるだろう。

 無駄に騒動を起こす人間は、一般的な社会でも嫌悪される。



 トモヒロの迷宮の周囲にあらわれたのは、そういう存在だった。

 人間と問題なく共存が出来る者達である。

 分類するなら怪物となるだろうが、無理なく付き合っていける者達。

 それがトモヒロの迷宮からあらわれた。



 当然といえば当然だろう。

 もともとが、漫画やアニメの登場人物をもとにしてるのだ。

 その全ては人間に都合の良い存在として作られてる。

 人間性を損なうような要素を持ち合わせてるわけがない。



 これらを嫌悪する人間も確かにいる。

 漫画やアニメを拒むような者達だ。

 こういった者達は、実際にそこにいる者に害がなくても敵視する。

 殲滅対象としかみなさない。

 そもそもとして、すり合うわけがない者達だ。



 だが、それ以外の者達からすれば、排除する必要性が感じられない者達ではある。

 無駄な争いが起こる事がない。

 あえて殲滅してまで排除する必要性がない。



 なので、無理してこの迷宮を攻略する必要があるのか、という疑問が出てくる。

 踏み込んだ者達による現地調査の結果にもそう書かれている。

 こうした報告書の存在が、迷宮を破壊する必要性に疑問を抱かせる事にもなった。



 これは、迷宮は破壊した方が良いという者達からもあがっていく。

 トモヒロの迷宮の存続を訴えてるわけではない。

 最終的には破壊するという意見に変わりは無い。

 だが、それでも優先して破壊する必要があるのか、という考えが出てくる。



 より危険な、対立するしかない迷宮と怪物は他にもある。

 それらを放置してまで攻略する必要があるのか?

 トモヒロの迷宮周辺にいるのは、特に危険のない者達だ。

 基本的には友好的な態度すらとっている。

 ことさら危害を加えてくるような事もない。

 そんな所に兵力や物資を投入するのは無駄としか言いようがない。



 いずれ攻略・破壊するにしても、後回しで良いだろう。

 何も優先的に破壊する必要がない。

 これが迷宮破壊に賛同してる者達の中から出てくる。



 意見が割れていく。

 積極的にトモヒロの迷宮を破壊しようとする者達。

 いずれ破壊するにしても、他のより危険な迷宮を優先する者達。

 トモヒロの迷宮周辺にあらわれた者達と友好的に交流し、迷宮破壊を阻止しようとする者達。

 大雑把にこうした勢力に分かれていく。



 こうした動きはトモヒロにも伝わってくる。

 トモヒロ自身の情報収集によって。

 迷宮周辺の変化した場所に流れ込んでくる者達から伝わってくる情報で。

 様々な経路から分かってくる情勢に、トモヒロは呆れていった。



「すげえな」

 予想もしなかった状況だ。

 まさかこうなるとは思いもしなかった。

 おかげで迷宮攻略が遅れてるのだからありがたい。

 出来ればこのまま続いて欲しいところだった。



 もちろん、そんな事もなく。

 まとまらない意見に業を煮やして行動に出る者達もいる。

 そんなに熱心になるなよ、とトモヒロは思うのだが。

 そんな事おかまいなしに、迷宮に突入してくる者はいる。

「いい加減にしてくれ」

 ただ引き込もっていたいだけのトモヒロはため息を吐くしかない。

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