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41 危険とみなされるだけの理由は確かにある

 世界中にあらわれた迷宮。

 その幾つかは人々に支持を得て守られている。

 そこにいるのが、基本的には人類の敵であってもだ。

 そうと知りつつ、迷宮と怪物を支持・信望・信奉する者達もいる。



 代表的なのが、神々の姿をかたどった者達の迷宮だ。

 いわゆる神・天使の姿をした怪物共。

 これらが宗教の崇拝対象と同じというだけで服従・平伏する者がいる。



 宗教が伝えてきた伝承、経典に書かれた記述。

 その通りの存在が目の前にあらわれた。

 そうであるならば、宗教に帰依してる者達が迷宮と怪物に従うのは当然の結果ではあるのだろう。

 大半の宗教団体と信者達は、出現した迷宮と怪物への帰属を当然のものとしていった。



 もちろん、迷宮と怪物は決して人類に好ましいものではない。

 それらは人類や世界への慈愛など持ち合わせていない。

 迷宮も怪物も、それらが求める通りに動いてるだけだ。

 それが人類と合うわけもない。



 たとえば、殺生の禁止。

 命を大事にというのはもっともであるが、これが行き過ぎれば何も食えなくなる。

 動物を殺して作る肉は言うまでもない。

 生き物を殺さねば肉は出来ないのだ。

 当然、肉食は禁止となる。



 さらに、野菜などの植物も食えなくなる。

 これらも生きてるのだ。

 人間が食えるものはなくなる。

 そうなれば死ぬしか無い。



 いわゆる神や天使といった存在はこれを要求する。

 出来ないものは殺していく。



 当然、人間が殺生の禁止を受け入れられるわけがない。

 みだりに殺すのは否定するにしても、自分らが生きる分はどうにかして確保せねばならない。

 それすらも禁止となれば、あとは滅亡するだけだ。

 しかし、迷宮からあらわれた怪物は当然の事として要求してくる。



 まともな人間は、これらを受け入れられずに拒否する。

 生きていくためには、どうしても殺生は免れないのだから。

 しかし、宗教に帰依してる者達は違う。



 宗教の信奉者達はすすんで怪物に従っていく。

 従って飢え死にしていく。

 それが当然のこととして。

 生きるという現実・事実より、宗教と崇拝という理想や理念、理論に服従してるのだから当然だ。

 そういった者達は命を否定する理論や理屈を尊ぶ。



 そういう人間は確かに存在する。

 理論や理屈を優先し、現実を無視する。

 本来、現実をもとに編み出されるのが理論や理屈であるはずなのだが。

 空虚・空論ともいうべき絵空事、いってしまえば妄想としか言いようのないものを事実や現実と思い込む。

 そういった者達にとって、宗教の教典に書かれてる事が全てだ。

 それに反する全てが悪になる。



 それはもう信仰ではありはしない。

 信仰とは感謝であるという。

 生きてること、生かされてること、周りにいる共に生きてる様々なものへの感謝。

 これが信仰なのだろう。



 宗教にこれはない。

 教義・教典への服従。

 ただこれだけだ。

 それは奴隷になる事と同じである。

 神や天使に似てる存在に服従してる者達は、そうとしか言いようがなかった。



 そんな者達が、自分達だけ痩せ衰え飢え死にしていくなら良い。

 しかし、迷宮と怪物に服従した者達はそうではない。

 自分達の考えや思いを他者に押しつける。

 要求などという生やさしいものではない。

 おなじようにしない者を殲滅するという残虐性を発揮する。



 相手への思いやり、自分以外の者達は違った考えや思いをもってる。

 当たり前と思えるこの事を全く理解してないのだろう。

 そもそもとして、自分と他者の違いという事が己の内に無い。

 無いから認識する事もない。

 認識出来ないから不思議にも疑問にも思わない。



 人間、自分の内にない物事を考える事は出来ない。

 想像する事は出来ない。

 空想も推測も出来ない。



 迷宮と怪物に従ってる者達はそういった者達だった。

 それらは自分達と違う思考や思いをみとめない。

 自分達と違うものを理解できない。

 理解できないものへ抱く印象はただ一つ。

「気味悪い・気持ち悪い」



 気味が悪い気持ち悪い。

 気持ち悪いから潰す。

 ただこれしかない。



 当然、他の人類に攻撃を仕掛ける。

 気持ちの悪い、おぞましい存在を許すわけがない。

 いうなれば、ゴキブリやネズミに向ける気持ちと同じだ。

 その程度にしか自分と違う考えや思いを理解しない。



 かくて人類は迷宮に服従するものと、人らしく生きていこうとする者に分かれた。



 なにに服従するかはそれぞれだ。

 それぞれの地域・民族・国が崇拝する神や天使。

 サタニストと呼ばれる悪魔崇拝者は、悪魔に服従していく。

 宗教によって伝えられる神や天使と同じ姿の怪物に服従し、それが出て来た迷宮を神の世界と考える。

 そう認知し認識してるものに服従し、人間としてあるべき生き方を否定していく。



 同じ事がトモヒロの迷宮でも起こってる。

 そう考えて危険視する者達は確かにいた。

 これらが、もとより漫画・アニメを敵視する者達と交わりあっていく。

 混ざって一つになった者達がトモヒロの迷宮への攻撃を計画していくいく。



 それは、まさに宗教に服従し、迷宮と怪物にひれ伏す者達と同じようなものだった。

 自分の理解出来ないもの、自分の中に、心のうちに無いもの。

 無いから理解も共感も出来ず、ただただおぞましく気持ち悪いと感じていく。

 気持ち悪いから殲滅していく。

 ゴキブリやネズミを退治するように。



 その矛先が、トモヒロの迷宮へと向けられていく。

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