4 他とは違う迷宮の作り方
迷宮作りとなると、まずは迷路状にしていくものと思ってしまう。
しかし、トモヒロはこの定石を無視した。
広大な空間を細かく区切って迷路を作る。
そうして侵入者を混乱させる。
それを最初の段階で排除する。
それよりも、まずはより深い階層を作る事を優先した。
理由はもちろんある。
より大きな魔力・霊力・気力を集めるためだ。
迷宮のエネルギー源であり心臓ともなる核玉。
これは最も深い階層に設置される。
そして、階層が深ければ深いほど多くのエネルギーを得る事が出来るようになる。
この理由や原理は分からない。
ただ、そういう風に出来ている。
なので、1階にあるよりは、10階に有る方がエネルギーをより多く集める事が出来る。
10階より100階の方が更に多くのエネルギーを集める事が出来る。
このエネルギーを集めるために、トモヒロはまず階層を深くする事にした。
ただ、深い階層を作ろうとしても簡単にはいかない。
迷宮の拡張拡大や開発にはエネルギーになる魔力・霊力・気力が必要になる。
出来たてほやほやの迷宮にそんな余力はほとんどない。
通路を作るために多少の壁を設置してしまうと、それだけでエネルギーを使い切ってしまう。
あとは、怪物を少々配置するだけになる。
その為、迷宮を拡大するには多大な時間がかかる…………はずだった。
だが、トモヒロはそれを覆していく。
まず、最初に一階部分を極限まで縮小。
最小の大きさにまで小さくした。
迷宮においての最小単位は縦横高さがそれぞれ20メートル。
これが一区域となる。
ここまで小さくした。
そうなると、迷宮の建設に使えるエネルギーが増える。
そのエネルギーを使って、2階部分を作っていく。
2階も同じように最小の大きさにして、今度は3階を。
そうして、出来るだけ深くまで階層を作っていく。
こうしてトモヒロは最初の段階で出来るだけ深くまで迷宮を作っていく。
おかげで階層だけはやたらと多い、だけど1階あたりの面積がとてつもなく狭い空間が出来上がる。
構造で侵入者を混乱させる迷宮とは言いがたくなる。
だが、手元に残るエネルギー量は多くなった。
本来の広さより狭くしたので、エネルギーが余ったのだ。
このエネルギー、魔力や霊力や気力といったもの。
あえて名付けるなら霊気、とでもなるだろうか。
この霊気が迷宮の中枢である核玉に大量に集まってくる。
大量に集まれば、増改築は簡単になる。
それを狙って、トモヒロは最初に階層を増やしていった。
どうせ1階程度の迷宮に工夫をこらしても、設置できる設備や罠、配置できる怪物など高がしれている。
それらを工夫して用いるより、最初に出来る限りの霊気を得る事にしたのだ。
手持ちのなかでのやりくりも必要だ。
しかし、収入そのものを増やさなければ限界が来る。
その収入を、トモヒロは最初に出来るだけ増やす事にした。
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