39 幸せは分かち合うもの、みんなに届け、現実化キャラクター
最下層に住んでる創作・製作に携わってる者達。
それらの多くもオタクだ。
なので、トモヒロと似たような気質を持ち合わせてる者が多い。
そういった者達が、突然あらわれたアニメや漫画の登場人物そっくりな存在を目にする。
そうなればどうなるかは説明するまでもない。
「なんだあれ?!」
「うそだろ」
「え、本当にいるの?」
「現実か? 現実なのか?」
外見を改造された作業員達を見て、こんな声が上がっていく。
「コスプレか?」
「でも、誰がやってるんだ?」
「ここに、ああいう格好をしてくれる人はいないはず」
「そもそも、女がいないだろ」
基本的に男所帯である。
女の存在そのものが珍しい。
いるとしたら、家族持ちが伴ってきた者達くらいだ。
年頃の女となると、皆無と言ってよい。
ではいったい誰なのかと疑問が出て来る。
それらにトモヒロはすぐに答えていった。
「作業員を改造した」
説明に多くの者が唖然としていく。
地下にいる多くの者が目にする作業員は、ほぼマネキン人形のようなものだ。
それが見目麗しい作品の登場人物のようになったのだ。
驚くのも当然だ。
「これからも増やしていくつもりだ」
トモヒロは更に続けていく。
「みんなが作ってくれたもの。
それをもとに、いろんなキャラを出していく。
だから、もっと俺に色々見せてくれ」
「………… !」
誰もが息をのんだ。
それはつまり、作った作品の登場人物が現実化する事を意味する。
フィギュアやコスプレどころではない。
登場人物そのものがそこにあらわれるのだ。
思い描いた存在がこの世に登場するのだ。
「だから、もっと俺にいろんなものを見せてくれ。
もっと面白いものを見せてくれ」
その声に創作者も制作者ものっていく。
「もっと萌え萌えするキャラを俺に見せてくれ。
それを俺は実現していく!」
「…………おおおおおおおおおおおおおおお!!」
野太い雄叫びが地下に響き渡った。
多くの創作者・制作者がやる気を出したのは言うまでもない。
誰もが心の中に描いていた存在。
決して実現しない者達。
それらが現実になるのだ。
やる気を出さないわけがない。
以後、更に多くの萌えキャラが産み出されていくようになる。
漫画、アニメ、ゲーム、ラノベなどなど。
さらにはフィギュアに、パソコンで作られるポリゴン3Dモデルなど。
多くの者達が、自分達の用いる事が出来る手段で萌えキャラを表現していく。
いずれそれが実現するかもしれないと夢見て。
トモヒロもそんな創作者・制作者の思いに答えていく。
階層を増加させるのが優先だが、それによって得られた霊気で作業員を変化させていく。
様々な萌えキャラがそこかしこに出現していく。
それを見て誰もが身もだえして喜んだ。
「すげえ、すげえよ!」
拳を握って歓喜に打ち震える。
「楽園はここだったんだ!」
今、ここにいる事を喜んでいく。
トモヒロと最下層の住人達の絆はより強いものになった。
トモヒロは住人達から新作を提供され。
提供された新作が萌えキャラとして実現して住人達のもとへと向かう。
この好循環が迷宮最下層を極楽へと昇華していく。
そうして迷宮最下層はより一層の繁栄を産み出していく。
そこは確かに創作・制作に携わる者達の楽園だった。
だが、良いことばかりではない。
最下層が楽園になっている頃、地上は地上で迷宮攻略を真剣に考えるようになっていた。
3章はここまで
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以前、こちらのコメント欄で俺の書いた話を話題にしてくれてたので、覗いてみると良いかも
http://mokotyama.sblo.jp/