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2 死亡フラグの所以

 迷宮の主人。

 文字通り自分の迷宮を持つ事が出来るようになる。

 選んだ瞬間に迷宮があらわれ、その主になれる。

 当初はこれが凄いものだと思われていた。

 しかし、程なく使えないものだと考えられていった。

 それどころか、危険極まりない選択だと。



 確かに迷宮の主人になれる。

 それは事実だ。

 しかし、それは攻略対象になるという事でもある。

 迷宮の奥にある中枢。

 そこに設置される迷宮の核玉。

 迷宮を支えるエネルギーを生み出すこの核玉が狙われるようになる。



 迷宮の核玉はそれだけで凄まじいエネルギーを持つ。

 分かりやすく言えば、発電所のようなものだ。

 取り出せるエネルギーはかなり大きい。

 迷宮が巨大で強力なほど大きくなる。

 それを手に入れれば、既存の発電所の代わりになる。



 迷宮の主人になって迷宮が出現すると、この核玉も当然あらわれる。

 迷宮の奥にある中枢に設置される。

 これが狙われるようになる。



 また、迷宮の主人になると、この核玉と命が直結する。

 迷宮の主人の命、霊魂が核玉になる。

 この核玉が奪われると、迷宮の主人も死ぬのだ。



 その為、迷宮の主人になるというのは危険な事になる。

 奪いにくる者が後を絶たない。

 もとは人間だという話も通じない。

 迷宮の主人になった瞬間に人間扱いされなくなる。

「怪物の主人になったんだ」とされて。



 かくて迷宮の主人という選択肢は死亡フラグ扱いされるようになる。

 選べば容赦なく殺されるようになる。



 それはトモヒロも知っている。

 世間で迷宮の主人がどういう評価をされてるか。

 それにどういう言いがかりが付けられてるかを。

 その全てを承知で迷宮の主人を選んだ。



「やるぞ、やるぞ……」

 そう呟きながら階段をおりるトモヒロの顔は、疲れの色が濃い。

 肉体・精神とともに疲弊している。

 加えて、人生そのものにも。



 決して安穏としたものではなかった人生。

 毒親による虐待・家庭崩壊。

 学校におけるイジメ犯罪。

 まともな就職先もなく、仕方なくやってた迷宮探索者。

 そんな探索者という名のゴロツキ連中に絡まれる日々。

 それらに抗い、堪えてきた人生。



 その全てにうんざりした。

 そんな世の中に決別するつもりで迷宮の主人を選んだ。

 これから誰かが殺しに来るのを承知の上で。

 どのみち、生きていても社会に殺される。



 だったら迷宮の主人になった方がマシだった。

 社会から隔離された空間にいられる。

 いずれ死ぬにしても、死ぬまでは安穏と生きていられる。

 それで良かった。

 社会という地獄の中で生きてるよりは。

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