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15 怪物退治ではなく、役所からの依頼でやってきた者達

 トモヒロの迷宮にやってきた探索者たち。

 総勢8人の侵入者は、警戒しながら迷宮の中に入っていった。



「それじゃ、やるぞ」

 リーダーが気合いを入れていく。

 仲間もそれに応じていく。

 そんな彼らは慎重に迷宮に踏み込んでいった。



 彼らもこの迷宮がどういう所かは聞いている。

 面倒な仕掛けのせいでろくに探索が進んでない事を。

 まだ1階すらもまともに探索出来てない事も。

 先に何があるのか分からない事もだ。

 それでもわざわざやってきたのは、依頼を引き受けたからだ。



 その依頼は、役所からのものだった。

 役所の所有地となった場所に迷宮がある、だから調査してもらいたいというものだ。

 珍しくもない事だった。

 役所が所有する公用地に迷宮があらわれれば調査する。

 迷宮が出現してからは当たり前になった。



 攻略は無理でも、どれだけの大きさがあるのか。

 どんな怪物がいるのか。

 早急に対処した方が良いのか。

 これらを調べておかねばならない。

 何かあれば役所に責任が及ぶからだ。



 そうならないように対応はしておかねばならない。

 形だけでも迷宮の調査をし、どれだけ危険かを伝えていかねばならない。

 その為に探索者に依頼をして調査を求めた。



 なお、もともとあったボロアパートだが。

 迷宮が見つかったとたんに大家は手放した。

 床下に迷宮のあるアパートなど、好んで住み着くものはいない。

 入居していたうだつの上がらない探索者達も出て行った。

 アパートを持っていても利益にならない。

 それならばと役所に売却した。

 少しでも金にした方がマシと考えて。



 役所の方も放置は出来なかった。

 これがただのボロアパートならばわざわざ買い取りはしない。

 だが、そこに迷宮があるとなれば無視は出来なかった。

 面倒になるので引き受けたくないという本音を隠し、アパートを受け取る。

 それから建物を取り壊し、迷宮の入り口をあらわにする。



 周囲への注意も忘れない。

 これまでがそうであったように、いつ怪物が中から溢れてくるか分からない。

 そうなる前に、別の場所への引っ越しをすすめていった。

 その際に、家も買い取ると申し出て。

 周囲に住んでた者達もさすがに迷宮が近くにあるとなれば逃げていく。



 そうして開けた場所に監視装置などを設置。

 内部の調査にも踏み切ったのだ。



 役所が貧乏くじを引いたようにも見える。

 実際、周辺住人の安全に気を配る必要が出てきたので、手間は増える。

 だが、悪い事ばかりでもない。



 迷宮での利益が見込めるから、税収が向上する可能性がある。

 探索者が集まれば、それを相手にした商売もやってくる。

 それが町に賑わいをもたらしもする。

 荒くれぞろいの探索者による治安の悪化という問題もついてまわるのだが。

 それでも得られる利益もバカにならない。

 役所としては、得られる利益に期待を持っていた。



 それが最初に探索者が挑んだ頃だった。

 その時は、迷宮で得られる霊気結晶が手に入ると考えられていた。

 これで少しは財政も潤うと。

 すぐにその考えは一蹴され、役所の者達は頭を抱える事になる。

 おかげで迷宮はろくでもない不良資産となった。



 その後も、何とか打開策をと考えたのだが。

 妙案が浮かぶわけもない。

 それでも、迷宮がどんなものなのか調べる為に調査隊を送り込む事になった。

 この決定に1年もかかってしまった。

 迷宮という危険な場所の事を考えるなら、決断が遅いというべきだろう。

 だが、やる事がなかなか決まらないお役所だという事を考えると、割と早く決断が出た方かもしれない。



 今回やってきた8人は、そうした役所の依頼を受けた者達だ。

 そんな彼らは、思いつく限りの方法を試して、迷宮突破を試みていった。

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