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13/110

13 より酷く、もっと最悪に

 地下20階までまずは深くする。

 そこから11階の拡大拡張と整備をはじめていく。



 貯まっていく膨大な霊気のおかげで、作業は速やかに進んでいく。

 あいかわらず、罠だらけの空間を作っていく。

 進むのに手間がかかる、次の階層に行くのに時間がかかる。

 それでいて得られるものがない。

 そんな構造を作っていく。



 狙うのは徒労。

 時間と労力だけを注ぎ込み、ひたすら無駄な努力をさせられる。

 そんな状態に陥るような構造を考えていく。



 嫌みったらしく、しつこく。

 何をしても何も得られない。

 そんな迷宮にしていく。



 挑戦してきた探索者は何も得られない。

 何かを達成するという実感すら得られない。

 自分が何をしてるのか分からない。

「俺は何をしてんだ?」

「私、ここでどうしたいんだろう?」

 そんな思いを抱かせるようにしていく。



 疲労感に似てるがそれとは違う。

 何かをなした後に感じる疲労感は心地よいものだ。

「俺は、これだけの事をやり遂げたんだ」と思わせる。

 苦労をしただけの甲斐があったと感じてしまう。

 それが人に努力をさせる。



 何かしらの成果があがると、苦労や疲労は心地よいものになる。

 これだけ努力して手に入れたんだ、という思いを強くさせる。

 それが強烈な快感になっていく。



 だから、こうして疲労感を与えない。

 達成するべき何かなど提供しない。

 無駄に時間と労力を消耗し、それでいて何も得られなくする。



 無駄な努力。

 これを強いるようにしていく。

 苦労しても何も得られない。

 ただ疲労をするだけ。



 せいぜい、下に続く階段を見つける事が出来た。

 それだけの成果しか得られない。

 それはそれで達成感はあるかもしれない。

 だが、それだけだ。



 探索者は迷宮で稼いでいる。

 報酬は迷宮で戦う怪物による。

 これを倒して霊気結晶にして、それを売りさばく。

 生活費をこうして稼いでいく。



 この生活費が手に入らないのがトモヒロの迷宮だ。

 怪物を一切配置してないからだ。

 いるのは、最下層の居住地の前だけ。

 最後の防衛戦として怪物を配置している。

 そこに行くまで怪物は一切出てこない。



 そこに行くまで、特に何かが得られるわけではない。

 生きていくのに必要な糧を手に入れる手段がない。



 そんな迷宮に好んで挑む探索者はいない。

 実際、1階を攻略出来ずに退散していく者がほとんどだ。

 誰もそこを突破出来ない。

 しようともしない。

 そこまでして得られるものが無いからだ。

 1階の途中でそう考え、その時点で探索や攻略を諦める。



 そんな構造を更に広げていく。

 無駄な努力を強いるような迷宮を作っていく。

 地下11階から始まり、19階に至るまで、とにかく不毛な探索を強いていく。



 それが終わると、今度は階層を増やしていく。

 地下20階だった迷宮を21階に。

 更に22階、23階と増やしていく。

 得られる霊気を増やす為に。

 多くの霊気があれば、多くの事が出来るようになる。

 その霊気を求めて、階層を増やしていく。



 広大な迷宮を作りながらではない。

 最初にそうしたように、1区画だけの階層を量産する。

 それだけなら、設置する為に必要な霊気も少なくて済む。

 それでいて、得られる霊気は多くなる。



 無闇矢鱈に階層を増やし、霊気の収入を増やしていく。

 増えた収入でより深くまで階層を増やしていく。



 これをくり返し、トモヒロは地下50階層まで迷宮を深くした。

 迷宮を作ってから4年。

 階層だけならそこそこ深い迷宮が出来上がる。

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