12 人が嫌がる事をすすんでやります
迷宮の拡大拡張。
全ての原動力である霊気が貯まるたびにこれを行っていく。
まずは可能な限り深くまで作っていく。
もちろん、1階につき1区画という小さな階層を。
とにかく深くまで掘り下げて、得られる霊気を増やしていくのを優先する。
大量の霊気があれば、それだけ出来ることが増えるからだ。
とにかく、出来るだけ階層を増やす。
それだけを優先していく。
しかし、どうしても限界が出てくる。
階層を増やすにも霊気が必要。
なのだが、深くなればなるほど、必要な霊気が増えていく。
この為、どうしても限界が出てくる。
貯め込んでいた分があるからそれなりに深くはなった。
それでも地下20階が限界だった。
だが、地下20階ともなれば、更に多くの霊気を得られる。
その霊気を使って迷宮の拡大拡張を続けていく。
誰もが入ってきたくなくなる、最低最悪の構造を考えていく。
どうすれば帰りたくなるのか?
どうすれば嫌になるのか?
何がどれほど人の心を消耗させるのか?
それを形にするとどうなるのか?
これだけをただ考えていく。
攻略なんて絶対にさせない。
その為に、多くの迷宮は探索者を殺しにかかる。
生きて中枢にたどり着かないように。
だが、それだけでは駄目だというのも分かってる。
命を奪う罠。
強力な敵。
それも確かに大事だ。
侵入してきた探索者を撃破してくれるのだから。
だが、それもより強い探索者には効果がない。
そうではない。
必要なのはやる気を奪う事だ。
やる気を損なう事だ。
こんな事やって何になると思わせる事だ。
とても割に合わないと考えさせることだ。
それが探索者を遮る事になる。
探索者の足を遠のかせていく。
探索者が攻略を諦める理由になる。
それを作ってやるのだ。
もう二度と行きたくないように。
他に行こうと思わせるくらいに。
そうする事で安息を得る事が出来る。
誰もやってこない場所を作る事が出来る。
必要なのは、挑戦したくなるような場所ではない。
攻略したくなるような構造ではない。
どうにか出来ると思わせる事ではない。
忌避して二度と入りたくなくなるような。
他人に言われたからではなく、自らの意思で断るような。
思い出すと吐き気を催し、頭痛がしてくるような。
名前を呼ぶときに嫌悪感が声にまとわりつくような。
そんな場所だ。
それをただひたすら考えていく。
誰も来ない、誰もいないという場所を作るために。
それこそが楽園だから。
それをどうやって作るか。
どうやったら出来上がるのか。
ただそれだけを考えて迷宮を設計していく。
自分なら何が嫌なのか?
自分だったらどう思うのか。
自分だったらどのように考えるのか。
それだけを突き詰めていく。
自分が嫌な事は他人にもしない。
そんな人として当たり前の道徳を逆転させていく。
やられて嫌な事を全て考えて実行していく。
迷宮の形に込めていく。
そんなトモヒロの考えが、迷宮の構造として具現化していく。
思いつく限りの、実行可能な悪夢を。
ほとんど通路の地下11階から19階を、そんな場所にしていく。
落ち着けるのは居住地の20階だけ。
そこでは人が住める場所にする。
それ以外は踏み込みたくない最悪の場所にしていく。
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