110 根本的にやる事は変わらない、そんな平穏を手に入れた
新世界での生活は平穏なものだった。
敵になりえる存在がいないのだ。
無理して強くなる必要がない。
迷宮の拡大拡張に邁進していた頃のような忙しさがない。
生活基盤は作らねばならないが、それも無理して拡大拡張する必要がない。
既にある施設や設備だけでも当面は生きていける。
急激な人口増加が起こらない限りは大丈夫だ。
それでも将来に備えて生活基盤を拡大していく。
いきなり人口が増える可能性があるからだ。
だとしても、それも急ぐ必要がない。
着実にやってはいくが、作業そのものはのんびりとしたものだ。
それでも世界は発展していく。
迷宮を拡大していた時と同じで、今度は世界を拡大拡張していける。
大地を拡大し、海を拡大し、宇宙を拡大していく。
太陽しか星のなかった宇宙に、新たな星を作り出していく。
そこに新たな大地を造り、人が生きていけるようにしていく。
人も増えていく。
怪物の一種の人ではなく、トモヒロの迷宮に確保した者達がだ。
これらが子供を作り、トモヒロの世界に満ちていく。
ただ、男女比率で圧倒的に男が多い。
このままでは独身者ばかりになってしまう。
そこで、配偶者として怪物の一種である人間を用意した。
分類すれば怪物だが、遺伝子や細胞レベルで人間と同じだ。
特に問題は無い。
もっとも、獣耳やモンスター娘が好みの者には趣味趣向に合わせた相手を用意した。
出来るだけ当事者に配慮していった。
そうして人が増えていく事で問題も発生する。
どうしても人に危害を加える者も生まれてくる。
前の世界における娯楽殲滅派のような者達が何故か発生する。
人間がもつ特性、遺伝子の組み合わせでどうしても発生するのだろう。
そういった者は見つけ次第に処分していく。
トモヒロの世界に不要のものだからだ。
生かしておく理由がない。
そうした問題を起こす者を次々に処分しているので治安が良い。
無駄な騒動が起こらず、余計な心配をする必要がない。
創作に限らず、普段の生活で余計な危惧が無い。
誰もが無駄に憂いを抱かずに生きていける。
そんな世界の中で、トモヒロは漫画やアニメを楽しんでいく。
ゲームに小説、演劇に音楽、絵画にその他諸々も。
あらゆる創作が、様々な娯楽が存在するのだ。
楽しまない理由は無い。
ついでに、地球から時折様々な者を呼び込んでいる。
死んだ者の霊魂や、生きてる者達など。
それらの中で見込みのある者などを選んで招き入れている。
いわゆる異世界転生や異世界転移だ。
それをトモヒロは、かつて見聞きした物語の神のように行っている。
こうする事で、地球で不遇の扱いを受けている者を可能な限り回収している。
彼等の救済のために。
自分の楽しみのために。
トモヒロが呼び込むのは、自分好みの話を、物語を作れる者だ。
そういった者達を出来るかぎり確保していく。
才能はいくらあっても良いのだから。
同時にこれは、娯楽を殲滅する世界から保護するためでもある。
トモヒロが消えた事で、地球における娯楽破壊は更に進んでいる。
そんな世界に残してしまった才能を救出していった。
もちろん、問題を起こさない人間であるのが大前提だ。
どれほど才能があっても、無駄な騒動を起こす者はいらない。
そういう人間は確実に面倒な厄介事を作り出す。
トモヒロにとってこれは最も忌むべきものだ。
招き入れるわけがない。
理想の状態である。
迷宮を作る事で始まった引きこもり生活。
身の安全を確保し、穏やかに生きていこうとしたところから始まった事だ。
ついでに娯楽も確保しようと踏ん張ってきた。
自分の楽しみのために。
その果てに、自分で新たな宇宙を作る事になった。
迷宮を作った当初は、ここまでやる事になるとは思わなかった。
だが、身を守るため、楽しく生きる為にやれる事をやってきた。
その行き着いた果てで、トモヒロは一つの宇宙を作り出す事になった。
その宇宙でトモヒロは、かつて求め、今も望むものを手に入れた。
自分が安心して生きていられる場所。
余計な邪魔が発生しない場所。
楽しみが誰に憚る事無く製作される場所。
これを成り立たせる様々な要素を含めたあらゆるものが手の中にある。
かつてのように、他の誰かに怯えて生きる事はなくなった。
犯罪を含めた悪事を平気で行える者達はもういない。
いまだに新たに生まれてくる事もあるが。
そういった者は見つけて即座に処分できる。
世の中は平和で平穏になった。
そんな世界でトモヒロは娯楽を楽しんでいく。
無限に存在する時間を使ってそれらを眺めていく。
「いいねえ……」
心から娯楽を楽しみながら、トモヒロは宇宙の中心で遊びを楽しんでいった。
これにて終了
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