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11 試した事がないので上手くいくかどうか分からなかったが、これで良かったようだ

 トモヒロの迷宮1階。

 そこは、回転床だけが設置されている。

 あとは、区域を分ける壁と、そこについてる扉。

 探知や探索が出来ないように、魔力・超能力の妨害もかけている。

 たったこれだけだが、思ったよりも効果をあげていた。



「これでいいんだ」

 狙った通りの結果に、喜ぶよりも驚く。

 あるいは拍子抜けと言っても良いかもしれない。



 自分が嫌だと思う事を並べてみた。

 こんな迷宮だとやる気がなくなると思える造りにした。

 それがどれだけ効果があるかは分からない。

 仕掛けそのものは子供だましと言えるものだからだ。

 なにせ回転床を並べただけである。

 それだけしか設置してない。

 こんなもので本当に撃退出来るのかと思っていた。



 しかし、延々と無駄に歩き続けた5人は、見切りを付けて帰っていった。

 時間を無駄に消費してればそうなるだろう。

 方向を見失い、延々と歩いてればそうなるだろうとは思うのだが。



 だが、これでトモヒロの予想は当たってる事が分かった。

 自身の体験や実感から得たものだ。

 侵入してきた探索者の行動を見て、自分が間違ってないとトモヒロは思えた。



「これで良かったんだな」

 自分がどこにいるのか分からなくなる。

 無駄に時間と体力を消耗する。

 それでいて、成果を得られない。

 こんな状況では誰もやる気を無くしていく。



 戦闘でもして、霊気結晶を得られれば違ったかもしれない。

 ほんの少しでも手に入れられるものはある。

 それが励みになったかもしれない。

 だが、トモヒロはそのための怪物を一切配置してなかった。



 もっとも怪物を配置しなかったのは、やってきた者に成果を与えない為ではない。

 相手に嫌気を催させるためでもない。

 そこまで考えて、怪物の配置をやめたのではない。

 理由はもっと単純で簡単。



 怪物を配置するための消費がもったいなかった事。

 回転床の影響をうけて、怪物も制御不能になる事。

 これらをおそれての事だ。

 探索者側の心理を読み切ってのものではない。

 たまたまうまく良い結果につながっただけだ。



 偶然でしかない。

 だが、この偶然がより良い結果に繋がってくれた。

 そして、退散した探索者達が更に良い結果を作ってくれる。



 退散した者達は自分達の体験を話していく。

 その全てが愚痴と不平と不満だ。

 あの迷宮は最悪だ、何も手に入らなかったと。

 成果をあげられなかった事を他の者達に伝えていく。



 そこから噂がひろまる。

 ろくに得るものもない迷宮だという事が伝わっていく。

 これが多くの者達に伝わり、挑戦者をへらしていく。

 そんな面倒なところなら、行かない方が良いなと誰もが考えたからだ。



 たまに物好きが足を向ける事はある。

 どんな所なのかと確かめにくる。

 しかし、それらも話が本当だったと分かるとすぐに退散していった。

 苦労が多い割に良いことがないと。

 それが更に評判を作っていく。

 あの迷宮はろくでもないと。



 おかげでトモヒロの迷宮にまでやってくる者はほとんどいない。

 興味本位で踏み込んでくる者はいるくらいだ。

 それも、噂に聞く酷い迷宮のありように辟易して帰っていく。



 かくてトモヒロの迷宮は、誰も攻略しない場所となっていった。

 攻略したがらないという方が正確だろうか。

 それはトモヒロの望みをかなえる事となっていく。



「誰も来ない…………いいなあ」

 世の中と縁を切って生きていきたい。

 その願いがはからずもかなってしまった。

 全ては、嫌みな仕掛けをほどこしたおかげである。



 これに気をよくしたトモヒロは、更に迷宮を拡大拡張していく。

 同じような方針で。

 ただひたすらに嫌みったらしく、成果が出ないようにしていく。

 やってきた探索者を撃退するために。

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