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109 新世界へ

「そろそろか」

 地球から出ていくのに充分な気力・霊気が貯まる。

 その前後に迷宮周辺にいた者達を迷宮に収容する。

 地球に未練がなく、連れて行っても問題の無いものだけを回収する。



 地球に残りたい者にまで無理強いはしない。

 どんな考えがあるのかはトモヒロには分からない。

 だが、そうしたいというならそうすれば良い。

 強引に連れて行く理由もない。

 なにより、本人の意思が一番大事だ。

 それを無視したくはなかった。



 迷宮に人々を受け入れていく。

 事前に拡大した居住区に希望者が入っていく。

 漫画やアニメの最前線ともいえるその場は、同好の士にとって極楽だった。

 生活水準なども地上とさして差は無かったので問題なく溶け込んでいける。



 人の選別が終わり、迷宮の中に同調者だけが残る。

 いずれもトモヒロの考えに賛同した者ばかりだ。

 それらを迎え入れたところで、迷宮を変化させていく。



「やるぞ」

 驚くほど軽い調子で言うと同時に、トモヒロは迷宮を変化させていった。

 地球との接点を切り離し、迷宮を中心とした世界を作り出していく。

 迷宮を構成する全てが形を作り替えていく。



 空があらわれ、大地があらわれ、海があらわれる。

 空気が満ちて風が生まれる。

 動植物が大地に満ちていく。

 迷宮を形作っていた全てが新たな宇宙に変化していった。



 一瞬にも満たないほどわずかな時間でそれは終わった。

 天地創造という大業が、そうと察する事も出来ないほど瞬時に終わる。

 迷宮にいた者達はトモヒロがやると言った次の瞬間に新たな大地の上に立っていた。



 そこはトモヒロが地下最下層に作った町を中心とした世界だった。

 木々や草原に囲まれ、遠くに山が見える。

 空には太陽が輝き、風が時折人々の間を流れていく。

 ごく当たり前の自然が周囲にあった。

 迷宮最下層に作られた擬似的な自然環境と何も変わらない。



 その為、すぐに気付く事は出来なかった。

 迷宮が変化した事に。

 新たな世界を作った事に。

 しかし、周囲を探索する事で人々はここが地球とは違う別世界だと理解していく。



 それとすぐ分かるほどの変化は世界の形だった。

 地球のような球体ではない。

 大地は地球のような丸みを帯びてない。

 山や丘といった起伏はあるが、基本的に平坦な大地になっている。

 その周囲を海が囲み、海の向こうは宇宙になっている。



 それは天動説の世界そのものだった。

 宇宙の中に大地が浮かんでいる。

 大地を中心に太陽と月が巡っている。

 何もない宇宙にトモヒロの迷宮をもとにした大地があるだけ。

 今までの宇宙とは違った世界があった。



 これがトモヒロの作った世界だった。

 トモヒロが作った宇宙だった。

 何もない空間に浮かんだ大地。

 その大地を取り巻く海と、太陽と月。

 たったこれだけが存在する空間。

 たったこれだけで成り立つ世界。

 それが迷宮をもとにした宇宙だった。



「すげえな」

 トモヒロも呆気にとられた。

 新たな世界を作ることになるとは分かっていた。

 それがこのような形になるとは思わなかった。



 しかし、どんな形であれ、ここはトモヒロの世界だ。

 余計なものがいない理想的な世界だ。

 存在を脅かす敵はいない。

 楽しみの邪魔をする鬱陶しい連中もいない。

 問題はあるだろうが、現時点で邪魔をする者はいない。

 それだけでもありがたい。



「そんじゃ、やっていこう」

 あらたに作った世界で呼びかける。

 ここで生きていこうと。

 遮られる事もないこの世界で。

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