101 加速させる潰し合い
探索者に依頼を出すようになって色々変わっていく。
たいした負担もなく他の迷宮への圧迫が出来るようになった。
怪物や高レベルの探索者を作る必要がない。
トモヒロの方で武器や兵器を用意する必要もない。
ただ報酬を用意するだけで良い。
これは大きかった。
これまでは迷宮の生産力をある程度使わねばならなかった。
気力や霊気を用いて様々なものを用意せねばならなかった。
最低限の戦力は必要だし、工作活動もしなければならない。
その為の費えなので、これはこれでやむをえなかった。
高レベルの人間や核兵器などがこの代表だ。
回りを牽制するために、こういったものを用意しなければならなかった。
最低限の武力・軍事力は必要なので、これらを揃えたのは無駄では無い。
だが、探索者を使う為の出費は自前で兵力を揃えるより安く済む。
わずかばかりの報酬を用意すれば良いのだ。
それでそこそこの成果が得られる。
問題もある。
細かな指示が出せない事や、依頼が必ず受注されるわけではない。
全てが思い通りにいくわけではない。
命令する事が出来る配下とは違う。
しかし、それなりの人数の探索者を動かすことが出来る。
大まかな方向性を出すことは出来る。
それで得られるものも確かにあった。
今のところ、それなりの人数の探索者が他の迷宮に向かってる。
トモヒロの脅威になりそうな巨大な迷宮にだ。
その中に入って敵を蹴散らしてくれている。
それだけでもありがたい。
トモヒロの迷宮に振り向けられる脅威が減るからだ。
低レベルの探索者といえども、それなりの数が動けばそこそこの戦力になる。
それが迷宮の怪物をある程度潰してくれる。
それが迷宮の戦力低下につながる。
迷宮の影響範囲の外ではレベルが下がる。
高レベルの怪物ほどこの影響が大きい。
そういった所では、低レベルでも数が多い方が有利だ。
低レベルの怪物は数を揃えやすいので貴重な戦力になりえる。
それを探索者が潰すのだ。
迷宮からすれば大きな痛手になる。
迷宮攻略は無理だが、活動を抑え込む事が出来る。
それだけでもトモヒロの利益になる。
いつ敵になるか分からない他の迷宮。
それらを牽制出来るのは大きい。
活動が停滞すれば、それだけトモヒロに余裕が生まれる。
他の迷宮も人間社会に様々な工作を行ってる。
その余裕がなくなれば、付けいる隙も生まれてくる。
そこにトモヒロは可能な限りの工作を仕掛けていく。
自分が有利になるように。
少なくとも不利にならないように。
特に大きいのが娯楽殲滅派を抑え込めた事だ。
これらもとある迷宮の影響下にあった。
迷宮の意向が動いていた。
その動きを阻害出来てるのは、トモヒロにとって大きな成果だった。
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