表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

プロローグ

久々に投稿してみることにしました!不定期更新となりそうですが良ければ読んでください!

「もう姉ちゃんと同い年かぁ」

墓石の前に立った私は萎れた花を取り替える。そこに生けるのは姉が好きだったガーベラだ。姉が事故死して7年。妹である私は事あるごとにここへ来ていた。無表情で不器用な私と違い、天真爛漫だけど優秀で誰からも頼りにされていた姉は私の憧れで目標だった。

「今日からは自分で決めないといけないのかな、今日は姉ちゃんの命日だもの」

憧れの姉に追い付こうと必死で勉強し、やっとの思いで大学に入ったのが2年半前。想像以上の厳しさに心が折れかけていた。それでも頑張れたのは姉の代わりになろうという志があったからだ。道しるべを失った今、わずかに燃えていた希望が尽きてしまった。

「また来るね、多分そんなに遅くならないよ」

くじけそうになった時、悩んでいた時、ここへ来ると落ち着くことが出来た。あの抱きしめてくれる感触を思い出すからかもしれない。私は自然と流れてきた涙を拭うと、私はお墓に背を向けた。


私はお墓からまっすぐに帰らず、とある交差点に来ていた。姉が事故に遭った場所だ。ここに来たのは気まぐれだ。通学する時も避けて通っていたこの交差点を久しぶりに見れればそれで帰るつもりだった。まばらだが、そこそこに車の通る交差点。その風景は7年前と変わらなかった。

「危ないっ」

考えるより早く体が動いていた。気付くと交差点に飛び出した少女の体を私は庇っている。抱えられた少女と目が遭った瞬間、背中に強い衝撃を感じた。不思議と痛みは感じない。見知らぬ少女が姉のように死ななかったことがただただ嬉しかった。しかし、青ざめた顔で私の体を揺すっている少女に笑みを見せた私の意識はプツンと途切れた。



ハッとして目を開けると、そこは何十、いや何百ものモニターに囲まれた広間だった。柔らかな毛布に寝かされた私の横にはタブレット端末を片手に唸っている少女がいる。

「人を庇っての事故で......女子大学生......該当するのは......」

「あのー?」

少女に声をかけると、彼女はビクリと体を震わせた。その拍子に端末が手から滑り落ちる。あっと手を差し出し身構えたが、不思議と衝撃が来なかった。そっと閉じていた目を開くと、端末は角から砂のように崩れて消えている。

「......え?消えた?」

「あー、せっかく作ったのに消えちゃったじゃない。またデータ調べ直しよ、どうしてくれるの?」

腰に手を当てて怒ってくる彼女は頬を膨らませている。真っ白なロングヘアと華奢な姿も相まって可愛らしい。

「データ?そもそもあなたは誰なの?」

そう私が聞くと、赤くて大きい瞳を丸くして首をかしげた。

「あなたが次に向かう世界のデータよ。私は世界の案内者。まぁ、他の人に比べたら新人だけれどね。......あなた、そんなことも知らずにここへ来たの?意識がない時点でおかしいとは思ってたんだけど......っと定時ね、帰る。あとは遅番に聞いて頂戴」

話の途中だというのにスタスタと去ってしまう彼女は随分と時間にこだわるタイプなようだ。

「説明くらい終わらせてくれても良いのに......」




これは姉が大好きなとある妹の物語。彼女はまだこの先に起こる波乱万丈な展開を知るよしもありません。

お読みくださりありがとうございます!評価やコメントくださると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ