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第二話:気持ち

――それは、俺がまだ中学生のとき。


「うぅ……、緊張する」

天の中学校には『作文コンクール』と似たようなものがあって、全クラスの代表が体育館で自分の作文を読み、代表以外の生徒がどの作文がよかったかを投票し、そして、最優秀賞となった人はもちろん表彰状がもらえ+(プラス)なんと、そのクラスは1日授業はなしで遊んでもいい、という特権が与えられる。ついでに、作文は何を書いても自由だ。

みんな目がギラギラしているが、天は違った。

このコンクールは普通、自分が立候補をしてやるものなのだが、「天は作文がうまいから」というクラスのみんなのしで無理矢理なってしまったのだった。

「しかも、中学3年生の後か………、腹痛い……」

実際、天は作文の才能があるが最優秀賞なんてどうでもよかった。

(勉強他のクラスのやつらに先に教わられてる教科ができちゃうじゃん)

マジメであった。

でも、本気で頑張らないとクラスの人たちに怨まれてしまうし……。

あー、面倒だし緊張するしなんかもういやだし。

「大丈夫か?」

「えっ……?」

声をかけてきたのは、天の前の先輩だった。

名前は河崎かわさき 大地だいち…と、名札に書いてある。

「緊張するよな」

ぜんぜん緊張してそうじゃない顔で大地は言う。

「き、緊張しますね」

だいぶ緊張している顔で天は言う。それと同時に、天はドキドキしていた。

(う……嬉しい!先輩が!3年の先輩が!)

「緊張しているなら深呼吸をしよう…、ん?どうした顔赤いぞ」

「な…なんでもないです!」

(なんなんだ、この人が気になる…。優しいし、興味を持ったというか……)

「一緒に頑張ろうな」

「―――!」

天は心臓が壊れそうなほどドキドキしていた!

「じゃあ、順番だから じゃあな」

「さようなら……」

天は人生で初めての気持ちを持った気がした。

その日以来、天は必要以上に大地先輩の事を調べ、行く高校の情報をゲットし、頑張って勉強をして今に至るわけだ。


「――ってわけ!」

「お前軽くわかりにくいな」

「説明ニガテなんだよ!」

「つーか絶対それ……、気持ちってあれじゃんか」

「尊敬じゃね?」

「いや、ドキドキって言ってんじゃ………ひでっ!」

空の頬をつねる。恋なんてあるわけないだろ?と目で訴えている。

「ついでに、コンクールどうなったんだよ!」

そういえば空とは高校で初めて会ったのか……。

「あぁ、俺緊張と意味の分からないドキドキが重なって、文章は完璧だったんだろうけど呂律が回んなくて最悪な結果になり、俺はぜんぜん無理だったんだけどよ 先輩は喋る声の大きさ・速度・文章の良さがだいぶよくてな、最優秀賞とってた」

「すげぇな…先輩、お前はドンマイだなって……ん?」

「なんだよ?空」

「お前、恋愛したことある?」

「ないな」

きっぱりと言った。

「だからなんじゃね?」

「はぁ!?そういう意味だよ!」

「だから……、恋愛小説読めよ!」

「あー、そういえば読んだことないかもな」

空の考えは当たっていた。

天は恋をしたことがない。つまり、恋愛が分からない。

ということは、恋心に気づいていない。いや、気づけないのだ。

「じゃあ、恋関係の読むか」

「ロミオとジュリエットとかか?もっと分かりやすいの読めよ、ほら、こんなのはどうだ?」

そう言って空が渡してきたのはタイトルからしてあからさまに恋愛のものだった。

「じゃあ、1時間待ってろ」

「お前読むの早いよな、それけっこう厚いぞ」

「集中するから話すな」

そういって天は早々と、そして正確に読んでいた。

(こいつ、相当好きなんだな)

空の思っていることは間違っていない。でも、空はそれがなぜか気に食わなかった。

なぜだかは、空は知らない。わからない。知りたくもないのかもしれない。

でも、気に食わない。でも、気づかせてあげたい。

協力と反発する心が空にはあった。

天が口を開いた。

「恋………」

顔が赤くなっている。やっと、理解したらしい。

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