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テントの注文、そして躓く。

ゲルマニア辺境の町フランフールに入ったワタルは、ブリタニア出獄に何の支障もなかったことに

逆に拍子抜けしていた。

あの王城での騒ぎが一体何だったのか。

だがすぐにワタルの心は晴れやかにようやく長く厳しい魔王討伐遠征から解放され、長く忘れていた、自分で好きに決めることのできる未来の実感がわいてきて心も晴れやかになるのであった。

のんびりとキャンプしておいしいもの食べて。

とりあえず、ゲルマニアに入ってから製造の注文する予定だったテントをと。

まずはテントを製造しているお店の情報を得るために冒険者ギルドに立ち寄る。

冒険者ギルドは冒険者に国境はないの新年の下、国籍の如何にかかわらず、冒険者を一律に扱う組織であり、ゆえに冒険者カードは出入国に際して身分証として用いることができる。

どういう機能かわからないけど、発行された本人できないと使用できないため、銀行のキャッシュカードのような機能もあり、また犯罪歴の有無もなぜかカードに登録されることになっていて、顔写真もないのに入国審査は犯罪歴の有無だけでパスできるようになっている。

加えて、高い冒険者ランクは社会生活において身元保証の役割も果たしており、ワタルはAランクの冒険者であるため、どこの国に行っても邪険に扱われることはない。

冒険者ランクはFを最下層ランクとし、Sを最上級とする階級制である。なあお、魔王討伐を唯一の必須クエストとするクリスほかの勇者のパーティーはブリタニア国王によってSSランクとされたが、非公式なもので、別に能力においてSランクと間にの隔絶した実力差があるわけではなく単なる権威付けでしかない。もっともパーティーとしてのランクのほか、クリス、マリア、リディアは個人の冒険者としてもSランクである。

このSランクとは、実力においてAランク以上の能力があり、人格にも優れている人物として王室またはギルド本部の推薦を受けた者が選ばれる。

ワタルも勇者パーティーの一員としてSranku heno推薦があったのだが、固辞してAランクにとどまった経緯がある。

Sランクは信用も受任できるクエストの難易度も報酬も桁違いだが、その恩恵の対価として特別の指名依頼を断ることができないという足かせがついていた。

勇者パーティーは魔王討伐の使命があるので、討伐遠征中はこの義務を免除されてはいたが、その後にまで義務が残るのをワタルは嫌がったのである。

まあそういうところが王室に嫌われる理由なのかもpしれないが。

ワタルは冒険者ギルドでテントを製造販売している商会の所在を聞き出すと、その峰に向かった。

ギルドで教えてもらったマンモス商会で、ワタルはテントのイメージを伝え、工期と費用を尋ねる。

が、このときワタルは大切なことを忘れていたことに気づく。

「テントのポールの素材はどうされますか?」

店員のこの質問にやらかしてしまったことに気づいたワタルだった。

前世では山岳ガイドだったワタルはコンパクトで軽量のシングルウォールテントを使用していたが、こちらの世界ではバックパックの容量も重さも気にする必要がないので、ダブルウォールテントにしようと思ったのだ。

しかし、

ポールに使用される軽量でしなやかに曲がる金属、ジェラルミン合金はこの世界にない。

そもそもこちらの世界では、テントは箸を固定して真ん中につっかえ棒をいれて持ち上げるものポール氏kか、4炭にポールを垂直に立てて、梁亜美で各柱を固定するタイプのものしかない。横風には非常に弱い構造のテントしか存在しないのだ。

ポールにしようにも、ミスリルなんて曲がりやしないし、ゴールドやシルバーでは曲がりっぱなしで反発しない。

カラビナは自分の体重を支えることができればいいので、大型魔獣の骨を削りだして自作していたが、テントは耐風の衝撃を考えると体重の何倍もの力がかかるうえ、スリーブに通して曲げたポールの反発力を利用してテント室内の空間を確保すると同時に風に耐える強度を確保するため、素材に心当たりがないのだ。

くっ、こんなことでダブルウォールテントの、男のロマンをあきらめてたまるか。

とりあえず、ワタルはこの広い世界のどこかにきっと求めるポール用の素材があると信じて、テントの本体をワイバーンの皮下膜で、フライシートをワイバーンの表皮で設計図面を書いて注文し、ポールは後日何かしら素材を見つけた時に依頼すると告げて、注文した。さらに、この機会にこの世界で普及しているテントの形状で、トイレ用のテントとお風呂用のテントも併せて注文した。こちらはポールは曲がらなくてもいいので、それぞれミスリルで制作することを依頼した。

やはりトイレとお風呂に入っていると鯉はどうしても無防備になるので、いろんな意味での防御を万全としておくのが、ガイドとしての務めであると考えていたからである。

ここでも余った素材を工賃に充てたいといわれたが、ポールの素材が見つからなかった時のために素材を残しておきたかったので、工賃をそのまま請求してもらった。

工期は半年、ミスリルのポールも含めて代金は金貨140枚だった。

田舎町なら家が一軒買えそうな値段だが、冒険者の世界ではやはり安全と命は金には代えられないので、了承し、前金で半分、商品引き渡し時に半分を支払うという条件と、高額な素材であるワイバーンの皮について、加工のために店が客の所有物を預かったことを証明する預かり証の発行を受けて注文を終えた。


新しいテントに夢と期待をはせながら、ワタルには、ポールの素材をどうするかという新たな問題が残った。



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