ベヒーモスの牛タンとミノとセンマイとシロコロホルモン
ベヒーモスはフランフールと隣国ブリタニアの国境野町リバープルを結ぶ街道に出て、人を襲うとのことだった。
ゲルマニアとブリタニアの大都市を結ぶ国交上も貿易上も重要な地点であると同時に、国防上も重要な場所であるため、ゲルマニア議会は問題を重視し、等倍報酬として破格の金貨3000枚を用意した。
このため、数多くの冒険者が名誉と金を求めてフランフールの街に殺到し、ベヒーモスの討伐に挑戦したが、返り討ちに遭い、かえってベヒーモスの餌となってしまっていた。
燐光にいる勇者クリス達への依頼も試みたのだが、なぜかブリタニアにある冒険者ギルドから先のコンタクトが取れないらしく、ゲルマニアは途方に暮れていたのである。
そんな折、ワタルがひょっこり最寄りギルドのフランフールに顔を出したとなれば千載一遇のチャンスとばかりに、ワタルを引き留め、なんとしても依頼を受けてもらおうと考える冒険者ギルドだったのである。
そんなこととはつゆ知らずのワタルではあったが、ベヒーモスの肉が牛肉として最上級と言われているのは知っていても、ダンジョンのラスボスが運良くドロップしなかったことで、その味は知らないままであった。
ドラゴンの肉となら交換してもいい、そうまでして食べてみたいベヒーモスが目の前に居るなら、食べに行く、もとい狩りに行くのもためらう理由がなかった。
情報では、明け方から昼に掛けて出没する可能性が一番高いらしいのだが、夜に出てきたという話は聞かないものの、大体時間帯の区別なしに出てくるらしい。
商隊などの往来は盗賊や狼その他の魔物が活発になる夜間の移動を避けるので、結局街道の交通が麻痺してしまったのである。
ワタルは、念のため、体力回復用のポーションと傷薬、そして思うところがあるのか普段使うこともない魔力回復ポーションを買い込み、街道の国境とフランフールの街の距離にして中間くらいのところに野営地を決める。
ワタルは、ベヒーモスの攻撃に結界が耐えるのは難しいと考え、野営地を付近の地形を頼りに、切り立った岩壁に挟まれた狭い通路の奥にある洞窟に設営した。
夜は十分な睡眠をとり、万全の状態でベヒーモスに挑まなければ、これまでの相手とは伯父通り格が違う。
ワイガーでのブランカの呪われた状態との戦いはクリス達がいたし、ベルリーの遙か南方の森での緑竜との戦いでは、ブランカと銀狼王が居た。
今回もブランカは戦闘に参加させるが、ベヒーモスの外皮が炎属性の攻撃を無効化するため、ドラゴンはベヒーモスとの相性が悪いことが一般に知られている。
魔法攻撃に強いからといって、物理的な打撃に弱い訳ではなく、その鋭く長い角で、敵を突き刺し、振り上げる破壊力はドラゴンに匹敵し、人間など通常であればひとたまりもない。
ワタルが前回ベヒーモスを単独で討伐したときは、運も味方していたし、ダンジョンの地形を利用し、ベヒーモスの攻撃を避けることが出来た。
今回も、この狭くてベヒーモスが通れない地形に主戦場をおくことが出来れば、あっさり討伐出来ることもあるかもしれないが、情報からすればベヒーモスは、自身の得意な戦場で、つまり周囲に隠れるところのない平坦な街道上で、往来する人を襲うらしく、誘い込むこともあまり期待出来ない。
ワタルはブレスが余り有効と思えないベヒーモスとの戦闘でのブランカとの役割配分をどうするかで悩みながら、その日は一晩テントの中で過ごすことにした。
翌朝、ワタルはベヒーモスによる被害が多い、街道の地点に何かベヒーモス出没の原因あるいは地形上の特徴がないかを確認するために向かった。
しかし、どうやら特徴がないのが特徴というくらい平坦な場所で、だからこそ主要街道が敷設されるのだが、むしろ物陰から不意討ちも出来ないような場所であった。
これほど遠くまで見通すことが出来るとなると、もっと早くにベヒーモスを見つけて逃げることが出来ないのだろうか。
そんなことを考えながら街道をフランフールの方角からリバープルつまりブリタニアにムカって歩いて行く。
今日は出ないか。
そんなことを考えながら歩いていたワタルは、ブリタニアの方角から4人の冒険者が歩いてくるのを見つけた。
冒険者達はそのままワタルのところまで歩いてくると、一見冒険者風に見えないワタルの前で立ち止まる。
「ここは恐ろしい魔物が出るということで、一般市民は通行制限されている。早く街に帰ったほうがいい。」
先頭を歩いていた男が、ワタルに無愛想にそう話しかけた。
「忠告ありがとう。実はこの辺りに出るというベヒーモスの討伐依頼を受けて、探しているところだ。」ワタルが一応街道にいる理由を説明する。
すると、男だけでなく一行の全員がワタルを馬鹿にしたように笑い、「テイマーなんかに討伐出来る魔物じゃねえよ。死ぬ前に立ち去った方が身のためだぞ。ベヒーモス討伐は俺たちに任せて生きているうちに帰れ。」
怒ったように男はワタルに告げる。親切で教えてやったのに、目の前の大して強そうでもない男はしかも一人で自分たち4人が全員で掛かっても倒せるかどうか分からないベヒーモスを討伐しに来たなどと話すことが許せなかった。しかも目の前の男の肩に居るのはスライムであり、その事実から、おそらく目の前の男はテイマーなのだろう。
テイマーの攻撃力は従魔である魔物の強さに依存する。スライムしかテイムできないような三流テイマーがベヒーモスを討伐するとか冗談にしても許されるものではなかった。
「二度と言わないからよく聞け。今自分で口にしたベヒーモスはソロの冒険者がなんとか出来るようなものじゃない。俺たちの邪魔にしかならないのだから、消えろ。ベヒーモスが出てきても、お前を庇うだけの余裕は俺たちにはない。」
ワタルは、自分がテイマーだと思われたこと、しかもスライムを連れて歩くだけの弱い冒険者だと思われたことに内心苦笑しながらも、無駄な争いをするつもりはないので、「ご忠告ありがとう。あんたらの邪魔はしないし、別に俺がベヒーモスに襲われていたとしても、助けてくれなくていい。誰が討伐するにしても、ベヒーモスの討伐が完了することは望ましいことだしな。」
ワタルはそういって、冒険者らが通り過ぎるために道を譲った。別にすれ違うことが出来ないほど狭い道でもないのだが、どうぞお好きにというメッセージを込めて、道を譲ってみせるフリをしたのである。
「分かればいいんだ。早く帰れよ。」
最後まで傲慢な冒険者達であった。
ワタルは、ため息をつきながら、あの冒険者達が歩いてきた方角にはベヒーモスは居なかっただろうと推測すると、後を着いてきたと思われないように、その場で少し休憩しながら、周囲を見渡す。
とても良い天気だ。
休憩を終えて、再びフランフールの街の方角に向かって歩き出したワタルのソナーに前方で魔物に襲われている4人の反応があった。
距離と方角と一般人通行禁止の事実からして、さっきの冒険者が魔物と戦っているらしい。
ワタルは、先ほどの男の言葉もあったことから、邪魔にならないように、遠くからその様子を見ることにして、視覚でとらえることが出来る場所まで急行した。
しかしながら、ワタルが4人を見つける前に、冒険者の反応はなくなってしまっていた。
反応があってわずか数分で4人の冒険者の反応はなくなっていた。
ワタルが視覚のなかにその存在をとらえた時は、その魔物以外に周囲に何かあるというのは確認もできなかった。つまり、それほどに一つだけ残った魔物の体が大きかったのだ。
その姿は紛れもなく、ベヒーモスだった。緑竜にも劣らないその体躯は全身が炎のように真っ赤に染まり、遠くからでも角が分かる程度に大きな角をもった牛型の魔物であった。
出来るだけ皮にも身にもキズを付けずに討伐したいな、と思っていたが、そうはいってもまず討伐することが優先である。4人の冒険者は言葉遣いこそ礼節を知らない者のそれであったが、冒険者というのは大概そういう話し方をするもので、だから初心者という訳ではなく、4人ともそれなりの経験を積んでいたであろうことが、装備や雰囲気などからも伝わるほどにはランクの高い冒険者だった。
数分で全滅した理由は何だろうか。
ワタルは遠くからベヒーモスの様子を窺ったが、戦いそのものを見ることはかなわなかった。
せっかく、あそこに居るのだから、こっちに来ないかな。
ワタルは念のために大声を出してみた。
しかしながら、ベヒーモスはそのまま姿を消してしまった。
姿を消すのもあっという間だった。
ワタルは、4人の反応が最後に残って居た場所つまり、遠くからベヒーモスの存在が確認出来る場所までたどり着いた。
その場所にはぼろぼろに砕け散った、先ほどの冒険者が帯同していた武器と鎧などの装備の一部が落ちていたが、4人の姿はどこにもなかった。
おそらくベヒーモスが持ち去り、街道を離れたところで食べるのだろう。
あまり、肉食が進むと肝心の肉の風味が落ちるので、早く討伐しなければ、と不適切な考えがワタルの頭に浮かんでしまう。
先ほどの態度がもう少し丁寧であれば、少しは同情できるのに。
ワタルは、もう一度ソナーで先ほどの魔物の反応を探してみるが、索敵の範囲から魔物の反応が消えていた。
これだけの短時間に範囲外にまで移動するのか。
ワタルはダンジョンの中で戦ったため、ベヒーモスがドラゴンの天敵であるその最大の理由が、体に似つかわしくない俊敏さを持っていることの断片しか知ることが出来なかったのである。
その日は、その後どれだけ探して回っても、ベヒーモスの反応はなく、ワタルは諦めて拠点としている野営地に戻った。
冒険者4人が残した装備は、ギルドにおそらく死亡という報告を上げるために、収納に保管しておくことにした。遺体は確認出来なかったので、直前にベヒーモスと戦っていた事実と、最後にワタルが見たときにはベヒーモスしか確認できなかったことをつなぎ合わせてそのような結論に達したというに過ぎないが、まあ、状況から見ても間違いないと思われた。
ワタルはその晩テントの中で断片的な情報と過去の自身のベヒーモスとの対戦経験から、予想以上にベヒーモスの動きが早いという結論に達していた。
ベヒーモスの瞬間的な動作が早いことはダンジョンの中で戦ったときに経験として知って煎るが、瞬発力であってその動きが持続できるとは考えていなかったのである。しかしながら相当広いワタルの索敵範囲からわずかな時間で離脱出来る距離と速度から考えても少なくとも、範囲の外に出るまでの時間、その俊敏さを維持出来るのは脅威だと考えたのである。
地理的な利点を活かせるような戦いが出来るとも思えないので、ブランカとの共闘も厳しいものになることが予想できた。
ワタルは遠距離攻撃の手段を持っていないし、ブランカの遠距離攻撃の手段であるブレスはベヒーモスにはブレスはほぼ効かない。
ベヒーモスも遠距離攻撃の手段は持たないとはいえ、接近戦になれば、その防御力に加えて、破壊力のある角での攻撃を至近距離で躱さなければならない。魔王討伐の遠征で戦いに明け暮れた当時と違い、今はぬる目の冒険者生活を送っているワタルにしてみれば、不安要素も十分ある戦いだと感じざるを得なかった。
ワタルはブランカとの作戦会議で、ブランカには効き目がなくても、空中からブレスで攻撃してもらうことを指示、目的はベヒーモスの注意を引きつけることにあった。
ワタルがブランカに注意しているベヒーモスの背後に周り、接近して攻撃、それによってベヒーモスの攻撃対象がワタルに移る可能性があり、そうなった場合には、ブランカも空中からベヒーモスを襲撃し、そのまま地上戦に突入することにして、あとはブランカの高い攻撃力である噛み付きと爪による暫撃、ワタルのアイスアックスによる攻撃がどこまでベヒーモスの体力を削り切るかという戦いになるだろうと予想した。
次の日、ワタルは昨日ベヒーモスが4人の冒険者と戦っていた場所に行き、ブランカに、元の大きさに戻ってもらい、空中からベヒーモスを探してもらうこと、ただし、見つけても飛んでいって攻撃せず、ワタルを襲って来るのを待つように指示した。
またエメリーには、戦いに巻き込まれないように、近くの岩陰に居るように指示した。
そうしておいて、ワタルはソナーを発動する。微弱な魔力の波動で足りるソナーはずっと発動したままでもワタルの膨大な魔力からは全く影響なかったが、戦闘時には防御力と瞬発力を瞬時に最大限まで高める必要があり、ワタルが持つ最大回数の同時詠唱による膨大な魔力消費を考えると、索敵の範囲はぎりぎり身体強化の発動が間に合うところまでにしないといけなかった。
最悪一日中こうしないといけないとなると、途中で魔力回復をしておく必要も考えられた。戦闘時に魔力回復させている余裕はないため、ソナーで多少減るだけの魔力を回復するためにポーションを使うのはもったいないのだが、戦闘中の時間には代えられない。
ワタルの心配は集中力が持つかというところにまで及んで居たが、結局その心配もなかった。
ワタルが索敵を初めてすぐ、上空でブランカが警戒の鳴き声を上げた。ほぼ同時にワタルの探知にも反応がある。
昨晩のイメージトレーニングで、その反応がベヒーモスかどうかを確認することもなく、ワタルは多重詠唱による身体強化の重ね掛けを発動させると同時に瞬時に右へ飛び退く。
次の瞬間、ワタルが元居た場所を一迅の風が通り過ぎ、ベヒーモスによるワタルへの攻撃が空を切った事実を伝えていた。
ワタルは、飛び退いた体勢から瞬時に次の攻撃に備える体勢をとり、アイスアックスをベヒーモスに向かって構える。
ベヒーモスはワタルの方をむくと、頭を地に伏せ、前足で地面を掘り、闘牛の突進準備のようにワタルに向かって攻撃する姿勢を取る。
いくら、ワタルが身体強化で自身の防御力を最大限に高めても、膨大な質量のベヒーモスの攻撃を受ければ外傷はともかく、吹き飛ばされてしまうことは確実である。
少なくともその場にベヒーモスを縫い付けるだけの戦闘をしないと背後からブランカがブレスで攻撃するにしても、その射線上にワタルが入ってしまい、ブランカもブレスでの攻撃を躊躇せざるを得ない。かといってワタルと同じ側にブランカが回ってしまうと、ベヒーモスへの不意討ちと注意を逸らす当初の目的が果たせなくなる。
ワタルはブランカに今の場所に留まるように伝えると、ベヒーモスの突進を躱してその足を攻撃することに集中する。
ベヒーモスが一瞬頭を沈み込ませたそのとき、ワタルは左斜め前に動いて、右手のアックスを振り抜いていた。
ワタルが心配していたほど、戦闘の勘は失われていなかったらしく、ベヒーモスの突進の予兆の時点で体が動いていた。
もちろん、ベヒーモスが動き出してから行動していたのでは到底間に合わない。
過去の戦闘でベヒーモスの攻撃とその場所を予想し、身体強化でやっとついて行ける動体視力とアックスの速度をもって、ワタルはベヒーモスの右前足にキズを付けることに成功した。
この攻撃に驚きベヒーモスはワタルを警戒しだした。
目の前のちっぽけな人間など、ベヒーモスにとっては、生きた餌でしかなかったのが、餌であるはずのそのちっぽけな存在にキズをおわされたのである。ドラゴンの爪でもなければ傷つけることすら出来ないと言われるその堅い表皮を貫通する攻撃を受けると思っていなかったベヒーモスは困惑していた。
その隙をついて、ブランカが上空からブレスを吐く。
同時にワタルは素早くベヒーモスの足下に潜り込み、今度は左後ろ足を切り裂いた。
対角にキズを入れることで、ベヒーモスがバランスを取りづらくしたのである。
これにより、ベヒーモス自慢の俊敏さが失われると、ベヒーモスも戦術を変更し、その圧倒的な膂力に任せて角を突き出してきた。
バランスが悪くなったとはいえ、その攻撃力は圧倒的で、かすめただけでも致命傷となるだけの破壊力は失われていなかった。
ワタルは後方のブランカに接近はせずにその場からブレスで攻撃するように伝えるとベヒーモスの注意がブランカに移った瞬間、ワタルはドラゴン退治の切り札である重力魔法でベヒーモスの体を押さえつけた。
後はブランカが首に噛み付いて、切り落とせば討伐できるとワタルは考えていた。
そこで、ワタルがブランカにその指示を出そうとしたとき、横から何かが飛び出して来て、ベヒーモスの足の傷口に張り付いた。
それはエメリーだった。
戦いに参加出来ないことを日頃悲しく思っていたエメリーが、以前ワイガーの2合目でメガトレントにトドメを刺した方法で、今回も参加出来るのではないかと、岩陰から飛び出して、ベヒーモスの血抜きを始めたのである。
ベヒーモスは死んでおらず、ワタルの重力魔法で動けなくなっていただけなので、足の先端の傷口からも、どんどん血を抜き取ることが出来ていた。
体格差が何十倍もあるのに、エメリーの一体どこにそれだけのベヒーモスの血が入っていくのか分からないが、みるみるうちにベヒーモスの動きが弱くなり、そして最後には動かなくなった。
伝説球の魔物であるベヒーモスを最弱の魔物と言われるスライムが倒した瞬間であった。
ワタルは、驚きながらも近づいていき、エメリーを撫でながら褒める。
ただ、無茶をするなと一言お説教も付け足したが。
それでも撫でられたエメリーは「役に立てて嬉しい」と言ってプルプル震えた。
エメリーは緑竜の討伐以後、人語が話せるようになっており、エメリーは自分の考えを話せるようになっていた。
ワタルは、エメリーに引き続き血抜きを指示すると、その場でベヒーモスの解体を始めた。
今回は余すところなく、食材を確保しようと考えていた。
ベヒーモスの舌、内臓はすぐに中和させ、胃酸による消化がすすまにようにして、第1から第4までの腸もエメリーによる血抜きによって生臭さが綺麗に落とされた状態で収納した。トリッパはトマトソースで煮込み、ミノとセンマイは焼き肉用に、小腸は焼き肉ともつ鍋用にとそれぞれ綺麗に洗って部位ごとに収納に保管した。
討伐証明部位は角であり、食べられないので、ギルドに渡すことに何の抵抗もなかった。
大事なのは肉と皮である。
今回は胴体だけでなく足に居たるまでほぼキズのない状態で討伐が出来たため、焼き芋の包み紙にするための皮は十分過ぎるほど剥ぎ取ることが出来た。
もちろん、骨も良い出汁が取れるので、忘れずに確保する。
実際には、苦戦したといってよいのだが、終わってみればベヒーモスにキズを負わされることなく討伐が完了したため、傍目には楽勝に見える戦いだった。実際はほんの少しタイミングがずれるだけで地面に横たわっていたのはワタルの方かもしれない内容ではあったのだが。
ワタルは、フランフールの街にその日の夕方には戻って、討伐依頼完了の報告と証明部位である角をカウンターにおいた。
エレナの絶叫がギルド内に響いたことは言うまでもない。




