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薬草味噌ショウガ鍋

マリアの最上級解呪魔法によって光に包み込まれた黒竜、光が消えた後に残って居たのは、子犬サイズの白竜だった。

「マリアの解呪魔法って漂白効果もあるのか?」

「馬鹿なこと言ってるんじゃないの、それよりずいぶん小さくなったけどこの後どうするの?」

見たところ、最初の禍々しさは微塵も感じられない、どっちかというと可愛い。

『最初はギュアオーーーだったのに、今はキュアッとかだしな。」

とりあえず、ワタルは重力で押さえつけていた竜を解放し、近づいてみる。

白竜は、起き上がると最初に近づいたワタルに向かって歩き出し、ワタルの足元までくると見上げて「キュアッ」と鳴いた後、羽ばたいてワタルのお腹に突進した。

「ぐふっ。」

竜にしてみればじゃれついたつもりだろうが、そこは小さくても竜、不意打ちを疲れたワタルは、高エネルギー体のボディーブローを受けて体がくの字に曲がり、ちょっと涙目になった。

地面に手をついて痛みをこらえている背中に竜が飛び乗り、頭の上までよじ登る。

ワタルの背中にドラゴンの爪が食い込みちょっと痛い。

そこにクリスが近づいて来て、白竜を抱き上げる「かわいー」。

リディアもマリアも近づいて来て、竜をなで回す。

古今東西過去未来を問わず、女性の気を引くアイテムとして、小動物は最強らしい。

しばらく、交互に抱っこしながら、なで回した後、マリアが口を開く。「で、この後どうするの?」

とりあえず、ドラゴンの討伐という意味では、目の前に生きている状態でドラゴンが居るのだが、さすがにこの状態のドラゴンの命を奪うなど、誰の頭にも無かった。

「もう脅威はないと考えていいんじゃないか。幼竜をどうするかはひとまず考えないといけないが、命を奪うという選択肢はないだろう。」ワタルがそういえば、他の3人も賛同する。

「とりあえず、ダンジョンが正常化したのか、一日様子を見て、明日下山しよう。今はドラゴンとの戦いで大分消耗しているので、回復に努める必要がある。」

ワタルがもう一晩、ここで過ごすことを提案する。

「そうね。」「異論はないわ」「うん」

3人もそれぞれ言葉は違うか、納得したらしい。

「まず、やることは、」ワタルがそう言って、林の中の緊急避難用のテントに向かう。

そこにはまだ気絶したままの「賢者の剣じゃ」の4人がテントの中に横たわっていた。

「マリア、とりあえず4人を正気に戻してくれないか。」

ワタルの依頼で、マリアが回復魔法を唱える。

ほどなくして、4人の目が覚めて、起き上がる。

「ここは・・・はっドラゴンは。」

もう終わったよ。ワイズの独り言のような質問にワタルがうんざりした口調で答える。

そもそも何しに来たんだこいつら。

「落ち着いたら、今日のうちに山を下りろよ。オレらは、もう一晩様子を見てから戻るから。ギルドには、ドラゴンの脅威は無くなったと伝えておいてくれ。」

「うそだろ。」「ドラゴンにまで勝つなんて」「さすが勇者」

感嘆の言葉を継ぐものの、自分たちの股間が濡れていることに気付いて,急に黙り込む4人。まあそこまで対処しなくても、初等の浄化魔法くらい使えるだろ?帰るまでに自分でやれよ。

あわや大惨事、少なくとも足を引っ張られた立場としては、そこまで優しくはなれない。

ちょっとくらい突き放してもいいかなと思うワタルであった。

ワイズ達が下りて行くのを見守り、ワタルは緊急避難用のテントを撤去して、クリス達のところに戻った。4人が無事であること、ダンジョンが正常化する前に下山することを促したことなどを告げて、避難小屋跡にテントを張り直した。

3人は白竜に夢中で、ワタルの話など聞いていないようだった。

「で、この後だけど・・・」うん誰も反応しない。

「ダンジョンの正常化すれば、本来居た魔物も出てくるんじゃ・・・」うん、やっぱり聞いてない。

「昼ご飯にしようか。」「私、焼き肉」うぉーい!反応早ええな。

さっきから聞こえてただろ。

とりあえず、ご飯の準備を始めることにする。

クリスから焼き肉のリクエストがあったが、昨晩食べたので、今日は違うものにする。それに、白竜はどうやら何かの呪いでこのダンジョンに縛り付けられていたらしい。何を食べて今日まで生きてきたのだろう。

ワタルは、魔石コンロを取り出し、銅の打ち出し鍋をコンロにおいて、牛骨スープを張り発火用の魔石を置いて、魔力を流す。

魔石の火力は強力ですぐに鍋の出汁が沸く。

そこに、葉物の野菜、収納してあるあらゆる種類の肉を薄切りにして鍋に入れ、葉物野菜の他、山の中で手に入れた主に解毒作用のある山草を鍋に入れる。

味噌とショウガで味を調え、火を止めるとショウガ味噌鍋の完成である。

マリアの解呪魔法と共に体内からも解毒作用で浄化させようというのが、この料理のコンセプトである。

収納から4人とエメリーと白竜の分の縁高の皿を取り出し、よそって出す。

焼き肉でないことにぶすっとしていたクリスだが、一口食べると途端に表情が変わる。

「何これ、美味しい。もっと頂戴」クリスが、あっという間に皿を空にするとお替わりを要求してきた。俺はまだ自分の分に箸もつけてないんだが・・・

だべる速度も量も勇者基準らしい。

あっという間に鍋が空になったので、同じ物を再度作り、その間にワタルも自分の皿によそった分を食べる。

エメリーは自分の皿の料理を食べるより、横に居る白竜に興味津々らしく、触手を伸ばして白竜をつんつんしている。

その白竜はきょとんと、皿の前に鎮座したままなので、ワタルは仕方なく、スプーンで白竜の分の皿から料理を掬って白竜を抱きかかえて口の中に入れて見る。

「竜って調理したもの食べるのかな?肉食で野菜は食べないかな。」

竜は肉食だよな、と思いながらまずは、鍋の肉から口に入れてみたが普通に食べた。

食べないかもしれないと念のため口の中に入れて見た野菜も普通に食べた。というより、ものすごい勢いで食べたので、美味しいと思ってもらえたらしい。

小さい割に竜の食欲は目を見はるほどで。その後2階も鍋を作り直した他、〆のラーメンも2階お替わりしていた。もっともクリスも竜と張り合う食欲を見せていたが。

食事の時も白竜は大人気で、ワタルが膝に抱えて竜に食事させていたのをうらやましがり、クリスもマリアもリディアも交替で白竜を膝に抱えて食事させていた。その間も白竜はおとなしく食べていた。

食事が終わったところで、白竜の体にまだ黒い斑点が残って居たのが気になり、ワタルは、白竜をお風呂に入れてあげようと提案した。

女性三人は白竜と一緒にお風呂に入りたがったが、ワタルは、マリアにお風呂の水に聖女の加護を施すよう依頼、つまり聖水のお風呂に入れることを提案したため、白竜だけのお風呂をまずは沸かすことにした。

エメリーも白竜と一緒にお風呂に入りたい素振りを見せたので、特に害はないだろうと一緒にお風呂に入れた。全員が湯船の周りで見守る中、エメリーも白竜も気持ちよさそうにお湯につかっていたが、聖水の効果か、それともショウガ味噌鍋の効果か、白竜の黒い斑点も綺麗に消えたばかりか、その白さに輝きも出て,お風呂から出た白竜は神々しささえ感じられるほどだった。

ワタルが食事を与えたのを見て知ったのか、ご飯の後から、白竜はワタルに懐くようになっていて、他の3人からの嫉妬も買うようになっていた。

江メイア-と白竜のお風呂が済んだ後、女性3人も交互にお風呂に入った。ワタルも、3人のお風呂が済んだ後、お風呂に入ったが、エメリーと白竜がワタルと一緒にもう一度お風呂に入りたがったのを、女性3人が、遊びたがったので、エメリーと白竜を預けて戦いの疲れを癒やすようにゆっくりお風呂に入ることにした。

3人は寝るときも白竜と一緒に寝るのを希望したが、白竜がワタルのそばを離れるのを嫌がり鳴き止まないので、エメリーは3人と一緒に寝ることになり、白竜はワタルと一緒に寝ることになった。

エメリーは竜に主人を取られると考えてご機嫌斜めになったが、ワタルが必死にお願いしたので、3人と一緒に寝ることに応じた。

翌朝、マリアの結界にはじかれて魔物が近づくことさえ出来なかった中、平穏の中で起きた4人と2匹は朝ご飯にワタルがストックしたおにぎりを食べて、下山した。すでにダンジョンは正常化しているのか、帰りはブラックグリズリーもフォレストウルフも普通に襲ってきたが、リディアの中等魔法に瞬殺され、クリスの出番すらなかった。

後は下山して、ギルドにクエスト達成の報告をするだけだと思っていた、このときまでは。



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