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秋の野山でキノコ祭り(4)

広葉樹の森に生えるキノコは予想以上に収穫が多かった。

自分の食用に採集しているだけなので、必要以上に採らない。

一部は乾燥させることで日持ちさせることあできるが、あるからという理由だけで乱獲すると、次の年以降生えなくなることもある。

自然と一緒に生きていくことが大切だという気持ちはこの世界に来ても変わらない。


それにしても、ハシラタケは生えていないのか。

あきらめきれないので、もう一度だけ、昨日探したトガリマツの林を探してみることにした。

もう一度山を登り返す。そう決めてワタルが歩き出したとき、正面から大きな魔力を持った何かが近づいてくる気配がした。

まっすぐこちらに向かってきているところを見ると、ワタルの存在を知ったうえで、襲ってきたらしい。

この気配は・・・キラーベアか。

このあたりには、キラーベアよりも大型の魔物はいないはずである。にしても、ずいぶん山里近くまで出てくるのだな。

普通はもっと山多くにいて、ハンターがわざわざ借りに行くのでもなければ、そう簡単に遭遇しないはずなのに。

と、考えているうちに、前方にその姿が見えてきた。やはりキラーベアで間違いなさそうだ。

一応補助魔法で、防御力と俊敏さをあげておく。

キラーベアの攻撃はなんといってお、圧倒的な力で凪は会う前足での一撃である。

低ランクの防具であれば、防具ごと上半身と下半身が二つに分かれることになる。たとえ、二つに分かれることがなくても、吹き飛ばされ、木に激突させられれば背骨ごと砕ける。

接近戦では、その力の前になすすべもなく蹂躙されるく。

とはいえ、それはあくまで経験に乏しいランクの冒険者であり、Cランクのパーティーに、遠距離攻撃の使い手がいれば、それほど苦労することもなく打ち取ることができる。

獣系の魔物にありがちな火属性及び雷属性の魔法が弱点だが、さすがに森の中ではそれらの魔法は火事を引き起こしかねないので、使えない。

ワタルは、まっすぐ向かってくるキラーベアに対し、俊敏性低下の魔法を放つと、ゆっくり歩いてキラーベアの前に立った。

ベアは前足での攻撃態勢に入り、後ろ足で大きく立ち上がった。

そのとこい、ワタルは突然速度を上げてベアの後ろに回り込み、後ろ足の関節部分を解体用のミスリルナイフで切り付けて、腱と膝裏の筋を切った。

ベアは突然後ろ足に力が入らなくなり、その場で崩れ落ちたが、そこは今度はワタルがスタンガンの難渋ばいもの威力の雷を両掌に集めて、クマの頭頂部と首に当てるとベアはそのまま低いうめき声とともに絶命した。

右手と左手を電極にして、高圧の電流が頭の上から首筋まで欠陥を伝わって流れることで、脳の神経が焼き切れてしまう、見た目の地味な攻撃の割には結構えげつない攻撃で、一瞬にしてキラーベアを屠ってしまった。

まあ、この方法が素材を一番傷つけないので。

ワタルは、たった今自分が奪った目の前のベアに手を合わせて冥福を祈ると、収納からクライミングロープを取り出し、ベアの足をロープに縛り付けると、近くの枝と幹の太い木を探して、その枝につるして、キラーベアの血抜きを始めた。

その間に、ワタルはもう一度解体ナイフを取り出し、手慣れた手付きで毛皮を剝いでいく。

キラーベアの毛皮は鎧の材料になるほか、傷のない部位がおおきいと敷物としても徴用される。

まして、ワタルのように首から下を無傷でキラーベアを仕留めるのはよほど腕の立つ冒険者でないと不可能であるため、ギルド買取ではなく、ギルドを通じてオークション出品となることが多かった。

せっかく、無傷で獲ったのだからと丁寧に皮を剥剥いだ後、腹を開き、水魔法で、腹の中を洗浄しながら内臓を切り出していく。キラーベアの内臓は薬の原料になるため、ギルドで買い取ってもらえるのだ。

最後に最後に大腿部、おなか、背中と部位ごとにキラーベアの肉を切り出して洗浄した後抗菌用の笹の葉でくるんで、収納にいれていく。そのままでももちろん異空間収納のなかは時間停止になっており、腐敗することもなければ収納しているほかの物に臭いが移ることもないのだが、なんとなく、気分的にそちらのほうがおいしそうに見えるという理由でそうしている。

解体がすべて済んで残骸を処分するだけになったのだが、ワタルは思いついたようにバックパックに挟まってたスライムを抱えて、ベアの市街の上に置いてみた。

「食べるかな?」

ワタルの知識によれば、スライムはなんでも食べるという話だった。とりあえず、豚汁と木のお皿は食べてしまった。豚汁はともかく木のお皿も食べるなら、魔物の死体はどうだろう?

するとワタルが置いたそばから、スライムがキラーベアの市街を体内に取り込んで消化していく。

食べるらしい。

しばらく見ていたが、まだまだ時間がかかるようなので、ワタルは再びキノコを探し始めた。

すると、倒木の影をのぞき込んだワタルの方が急に重くなった。見ればスライムが肩に乗って、ワタルの保保に摺り寄せてきた。

「もう食べ終わったのか?」とベアの市街のところに戻ったところ、まだ半分ほど残っていた。

どうやら、ベアの市街を食べている間にワタルが置き去りにしようと立ち去ったものと思いこんで、あとを追いかけてきたらしい。

「結構かわいいな」

ワタルはスライムをなでてから、もう一度ベアの市街の上において、今度は横で座って、未休憩することのした。

スライムは市街の上でしばらくプルプル震えていたが、ワタルが横に座って動かずに休憩しているところを確認すると、再びベアの市街を消化し始めた。

また置いて行かれると思ったのだろうか?

仕方がないので、食べ終わるまで休憩をすることにした。長くなりそうだったので、ワタルもちょっと早いけれど昼ご飯にすることにして、チーズと固パンをかじり始めた。

今獲ったばかりのベアの肉は熟成してからでないとおいしくない。収納の中には米以外は調味料しかなく、行動職としてもってた乾燥フルーツとナッツと硬パンくらいしか食べるものがない。

固くてぼそぼそするパンを少しずつかじって食べ終わるころ、スライムが市街を跡形もなくきれいにして、こちらにはねて戻ってきた。

もうすっかり元気なようだ。

ワタルは飛びついてきたスライムを再びバックパックの天蓋の間において上から天蓋をかぶせると、そのまま背負って目的場所のトガリマツの林に進んでいった。

森の中では魔物の残骸w処理するのに、穴を掘って埋めるしかないが、何かの拍子で、魔力が残骸に集まってしまうとアンデッドとしえさらに厄介な魔物を生み出しかねない。滅多にないことではあるが、絶対にないともいいきれないので、焼却処分が推奨されている。

残骸処理できるスライム、便利だな。

そう思うワタルであった。


トガリマツの林に戻ってきたワタルであるが、昨日と同じでやはりハシラタケは一本も見当たらない。ハシラタケは地中にその大半が埋まっており、地表には先端の突起部分しか出ていない。胞子を飛ばす直前に、地表から大きく顔をのぞかせて、胞子をあたりの事件にまき散らすが、食べておいしいのは、地中に深く待っているときなので、結局数が減っていってしまっている。

時期が合わなかったかな。

ワタルは帰るために近くのトガリマツの根本においたバックパックを取りに戻り、手をかけたそのとき、バックパックの間に挟まっていたスライムが飛び出し、林の奥に向かって飛び跳ねていった。

自分の住処に帰るのかな?そう思ってみていると、スライムは、すぐに立ち止まり、同じ場所ではねている。

帰る・・・わけでもない?

意味が分からなかったが同じところではねているので、ワタルは近づいていくjことにした。

ワタルがそばまでくると、スライ医務ははねるのをやめて、地面で動かなくなった。

よく意味がわからなかったワタルであったが、スライムを拾い上げようとして、初めて気が付いた。

スライムの下からハシラタケの地表に出ている先端部分が出てきたのである。

「これは・・・ハシラタケ」

どうやらスライムはハシラタケが生えているところを教えてくれたらしい。

ワタルがスライムを地面においてハシラタケを抜くと、再びスライムは飛び跳ねて別の方向にはねていった。

しばらくすると同じように一か所で飛び跳ねている。

どうやらこれはハシラタケのある場所をおしえてくれているらしい。

ワタルが同じように地面で動かなくなったスライムを持ち上げるとやはり下からハシラタケが出てきた。

その後も同じようにスライムは灰sら嶽の場所をおしえてくれたが、5本採集したところで、ワタルは十分と判断し、六本目は抜かずに、スライムを拾い上げると頭を撫でて、お礼をいった。

ワタルの言葉がわかるのか、スライムはプルルッと震えて、ワタルの手に体をこすりつけてきた。

ワタルはバックパックの間にスライムを挟んでから背負い、山を下りた。

山の入り口で発振器を回収し、フランフールの町に戻った。


ファンタジー小説で定番のスライムは万能んで、特に登山ガイドに便利なスキルに富んでいるので、早いうちに登場させようと思いました。


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