始まりは裏切りと共に
1 序説
勇者のパーティーが復活した魔王を討伐した。
とりあえず、魔族の残党と魔物は残っているものの、人類を支配し、隷属させようと考える勢力がなくなtったことで、一応世界に平穏が訪れたといってよだろう。
勇者クリス、聖女マリア、賢者リディアの一行は、国民の盛大な歓声に迎えられて王都に外線した。
そしてその中にパーティーメンバーの一人で、アドベンチャーガイドのワタルも落ち着かない様子で加わっていた。
この世界では何百年に一度魔王の復活により世界に危機がもたらされるが、その都度勇者が誕生し、魔王と激闘を繰り広げ、最後にはなんだかんだ言っても勇者が勝つので、今のところ人類が滅びたことはない。
勇者のパーティーは4人である。なぜかはわからないが歴史的に必ず4人で構成される。
歴史学者も長年その課題に取り組んでいるが、4人でなければならない理由はないはずであるが、なぜかずっと4人で来てしまっているため、それが暗黙の了解となってしまったのではないか、ということでその問題は解決したことになっている。
その勇者のパーティーはこれもなぜかといわれると説明できないのだが、勇者、聖女、賢者を不可欠の要素としてのパーティーメンバーとする一方4人目だけは固定メンバーではなく、時に弓士であり、時に盗賊であり、時に暗殺者などというマイナー職種に日の目が当たることもあある。
それでもまあ、統計的には剣聖と呼ばれる剣の達人がメンバーになることがまだ多いのだが、どうしても聖剣の担い手である勇者とキャラがかぶってしまうため、目立ちにくい。そんなこともあって個性的な技能スキルを持つ職業のメンバーがいると新鮮な感じがするのではないか、なんとなく歴史的考察による結論としてそんな話に落ち着いている。
当世の勇者は記録が残る限りにおいては初代から数えて8代目である。
ところが、この8世の勇者パーティーの4人目のメンバーの職業は剣聖でもなければ弓士でエルフだったりもしない、かといって最近個性的キャラとして最近人気を博しているテイマーでもなく、アドベンチャーガイドだった。
その職業は危険な地に赴くパーティーの安全を確保するための総合職ともいうべき内容であって、没個性であるがゆえに個性手系という職種であった。
この異色の職業アドベンチャーガイドとして勇者パーティーに参加したワタルがこの物語の主人公である。