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<R15>15歳未満の方は移動してください。

魔法大好き公爵令嬢が自分の実力を試す為執事を連れてダンジョンに行くも何回行っても入口(ふりだし)に戻されるので、騎士を、冒険者を、王子も追加して攻略する

公爵令嬢がダンジョンに行くも、歯が立たず。帰りたがる執事は無視!!

助っ人にまずは騎士、次に冒険者。最後に呼んだ訳でも無いのにやって来た王子とダンジョンに挑むお話。

@短編その6 最近短編を連続で書いている。短編楽しい。

「あー、駄目deathねー、もう諦めたらどうです?」

「うるさいよっ!!この馬鹿執事!!」


フレドール公爵令嬢、アルシュートはまた・・また!!ふりだしというかダンジョン入口に戻された。

何回やっても何回やっても入口に戻されるのだ。


「なんでえ〜〜〜?!」


アルシュートの叫びが森に木霊する・・・



魔法オタクと王都でも噂されるお嬢様の従者を務めるのが、執事のミュート。27歳独身。

ちなみにお嬢様は15歳だが、見かけは20に見える。老けているわけではない。

身長163センチ、Dカップと早熟ボディなのだ。しかし顔は童顔。クルクル縦ロールの髪。

今彼女は『悪の魔術師・ボンテージスタイル』だ。ピタッとした黒の皮、素肌も見えるアレをお召しになっている。一応執事は注意したのだ。その格好はどうか、と。


「悪の魔術師は『こう』でしょ?」


何が『こう』なのかは意味不明だが、お嬢様の矜恃らしい・・・

こんなワクワクドキドキな格好を見ても、執事は全然ときめかない。

小さい頃からお仕えしていたお嬢様は、ファッションセンスが独特なのだ・・


何故こんな格好をする様になったかと言えば、お嬢様が8歳の時だ。

ある事故に巻き込まれ、あわや大惨事!死ぬ!!お嬢様は死を覚悟した。

・・・だがお嬢様は生きていた。

際どい格好の女魔術師に救われたのだ。真っ赤な炎をバックに、魔術師が声を掛ける。


「大丈夫?お嬢ちゃん」


で、お嬢様はドン!!魂を揺さぶられた訳だ。


「かっこいい!!!」



・・・それ以来、黒い皮の服をお召しになる様になってしまったのだ。

でも助けていただいた魔術師様を、『悪の』って言っちゃいます?



執事の溜息を無視し、お嬢様は立ち上がった。


「さあ!もう一度行くわよ!!」

「えーー・・これで最後ですよーーー」


二人はダンジョンに潜って行く・・・・


このダンジョンは王都から馬に乗って約1時間程度の距離にある。

でもこの地は王族や高位貴族以外は進入出来ないので、平民や冒険者と接触しないで探検出来る、お貴族様専用ダンジョンなのだ。

地下10階程度で、地下7階まではCランクになりたての冒険者レベル。

地下8階から突然Aランクでも厳しくなる。ましてやシングルなんて無理。

だがお嬢様はこの地下8階に挑み、階段を下りたところで『ふりだし』に戻される。

これがずーーーっと続いている訳だ。




「さあ〜〜・・地下7階よぉ〜〜」

「もう飽きました。お嬢様もう実力は分かったでしょう?シングルで余裕のCランクですって」

「行くの!黙ってついてらっしゃい!!」

「勘弁してくださいよぅ〜〜」


二人は地下8階の階段を、一歩・・・・


「あ」

「ほーら、戻ったーーー。はい!終了終了ーーー!!帰りますよ!」

「なんでえぇーーーーーー!!!」


何度目かのお嬢様の絶叫が、森に木霊したとさ。




「どうして行けないのかしら」


お嬢様、しつこいです。

でも他の貴族の子息達は、無理して地下8階まで行きません。

ここの地下7階をクリアしたら、みんな卒業とばかり、外のダンジョンに行ってしまうのです。

地下8階はAクラス以上の強さがいる。

みんなわかっているので、無理して行かないのだ。



「でもわたくしは、行くわ!見てらっしゃい!!」

「お嬢様ー、熱血されるのもいいんですけどーー・・公爵令嬢としていただけない感じですーー」

「ちょっと!格好よく決めているところで!!」

「そういうの、公爵令嬢には望んでいないと思うんですぅ〜、誰も〜」

「わたくしがかっこいいと思えばいいのですわ!黙らっしゃい!」


そして再びダンジョンに向かう・・・・


2時間後・・・ぺいっ!ダンジョン入り口から吐き出された。


「だんだん追い出されるのが雑な扱いになってきてますよね。きっとしつこいって思われてるんですよ」

「うるさーーい!!なんでよぉ〜〜〜!!」

「多分・・・お嬢様がAクラスの実力が無いからでは?」

「う」

「さあ、他のダンジョンで実力蓄えてから来ましょう」

「・・・やだもん」

「お嬢様?」

「やだもんーーーー!!」

「どうしてですか?」

「みんなわたくしの格好をじろじろ見るんだもの・・」

「そりゃ見ますよ。私は慣れましたが、はっきり言ってその格好は下着よりも恥ずかしいと思います」

「でも、悪の女魔術師はこの格好だったわよ!」

「悪ではないですったら・・失礼にも程がありますね。命の恩人に」


確かに彼女は服装はアレだったけど、美人だった・・私的にもう一度会いたいです。

執事はこっそりと思っていたりする。


「そうだ!!強い人と一緒に入ればいいのよ!」

「え」

「お父様に相談してくる!!」


お嬢様は馬に乗り、城まで跳ばして行ってしまった。


「お嬢様ーーーー!!その格好で行ってはいけませーーーん!!」


執事も大慌てで馬に乗り、後を追う。




ちゃらら〜〜ん。

王国の近衛騎士が仲間になった!!

彼は父(宰相)の護衛をしてくれている、近衛騎士のセドリィズだ。

彼女の格好を何度も見ている。そして呆れている。恋愛対象からは大きく外されている。


「お嬢さん。ここの最奥はAクラス以上じゃないと」

「セド(強引に呼んでいる)、あなたAクラスでしょ?じゃ行けるわ!」

「・・・確か全員がAクラスでないと」


こそっと執事が耳打ちをする。

(言い出したら聞きませんから。納得させるためにも、一度行きましょう)

騎士はやれやれと軽く首を振る。


そうしてしゅっぱーつ!!お嬢様が発して、3人はダンジョンに・・・


1時間半・・・どさっ!!

3人はふりだしに戻っていた。


「ハハハ!!雑になって来たーーー!!放り出されましたよ!!そのうちぶん投げられますよ!まだ行きますか?お嬢様!!あなたが地道にAまで上げて行けば良いんです!!」

「だってー、この格好で外のダンジョンは」

「おや・・お嬢さん、恥ずかしいなんて考えあったんですね」

「セドやミュートは見られたって恥ずかしくないもーん」


なんと。彼女を恋愛対象には見ていない二人ですが、お嬢様からも男扱いされてないとは。


「これはこれで腹立つな・・」

「私たちが悪辣な男だったら●●●されてもおかしくないですよね」

「ん?何こそこそ話してるのよ」

「いいえ、なんでもありません」

「お気になさらず」

「むかーー」


すくっとお嬢様は立ち上がると・・・


「もう一人追加したら行けるかも!!」


ぽかーーーん・・・

二人の男は呆気にとられる。ハンサム顔が間抜け顔に変身だ。3秒だけのレアな顔でした。


「お嬢様!!もう良い加減に納得しなさい!!」


ツッコミの手振りを決め、二人はツッコんだ!

でも主は聞いちゃいない!!


「もう一人、追加してもらってくるーーー!!」


そして馬に乗り、城に駆けて行く。


「戻って来るのを待ちましょう」


もうついて行かない。執事は無表情で水筒のお茶を注いだ。


「どうぞ、セドリィズ様」

「どうも」


お茶を飲んでほっこり・・・



30分後。


「ミューーートォオオ!!」


パカラッパカラッパカラッ

馬が猛スピードでこちらに駆けて来る・・・


「何を休んでいるのーーー!!ついて来なさいよーーー!!」


だが執事はしれっとした顔です。


「ああ、お嬢様帰って来ましたね・・どっこいしょ」

「大変だな、お前。さあて、やるか」


二人はノロノロと立ち上がる。

彼女の後ろに、馬に乗る誰か・・・あの方は・・・


「うわ!!若様!!」

「え?本当だ!!お嬢さん!!あんた自分の兄上を連れて来たのですか!!」


公爵家長兄で後継、ギルロッシェ様が来ました。

今はまだ学生で、ギルドに加入の冒険者、もうすぐSランクと言われる実力者だ。

学園でも主席と優秀な長兄だ。お嫁さんになりたい殿方ランキング堂々1位を3年連続取っている。


「お前達すまぬ!!妹が我儘を言ったな!」

「い、いえ!!若様まで駆り出すとは・・恐ろしい子・・」

「どういう育て方をしたら、こんなに差が出るんだ?」

「うるさーーい!!兄様、行きますわよ!」


ごちん。

兄が妹に拳骨を落とす。


「いたーーーい!!」

「お前、父上もちょっと怒っていたぞ。これで終わりにするんだぞ。もう分かっているだろうが、意地になってるんだな?ここは『全員』がAランクでないと解放されないんだ。ちょっと待ってろ」


そして兄がダンジョンに向かう。


「お前達!妹をそこに留めておけ!!」

「はい!!」


二人は片腕・・右を執事、左を騎士が掴んだ。


「お兄様ーー!!狡ーーい!!」



40分後。


「ほれ、10階ボスを倒したぞ。こういう魔物がいる。お前では無理だ」


右腕にはジャバウォックの頭をぶら下げていた。


「さ、さすが若様!!おひとりで最下層まで?しかもボスを!!」

「信じられない・・・さすがはギルロッシェ様だ・・・」


執事と騎士は感嘆・・・これで公爵家も安泰だ!そう思った二人だ。


「分かったか?アルシュート。これはSランク、もしくはSランク寄りのAランク冒険者でないと倒せない魔物だ。あの階段にはランクセンサーがついていて、力量の無い者を脱出させる。行っても無駄だからな」


じーーと魔物の頭を妹は見つめて・・・


「お兄様の馬鹿ーーー!!自分で見たかったのに!!」

「そういうと思った」

「楽しみにしてたのにーーー!!」

「実力が無い自分を恨め。その格好をやめて、普通のダンジョンで実力をつけろ。まあ、ここの地下7階までを何度も続けるのも良いが、時間が掛かる。ギルド指定ダンジョンなら、ここよりももう少しレベルの高い所もある。だが!自分が強くならないくせに人に頼るとは言語道断!!反省しろ」

「お兄様のバカァ・・グスグス」

「馬鹿はお前だ、馬鹿」

「ウェエーーン・・」


若様・・・もしかして・・・サド系?

でもこれくらいしないと、お嬢様いうこと聞かないもんね。

執事と騎士は動向を見守る事しか出来なかった。


「おーーい!ギルーーー!!」

「!!」


ちょっと間抜けた声が聞こえた。

若様ギルロッシェは『うわー』な顔をしているが、ハンサムがしてもやっぱりハンサム。


執事と騎士も『うわー』な顔。

そして声の主が馬に乗って登場。

この国の第一王子、そして嫡男、フレイバード王子だ。ギルロッシェと同い年で御学友。

だが声のトーンで分かる様に、国民や臣下その他大勢から『うつけ王子』と言われている。


「途中で出ていくから、どうしたのかな〜と思って〜」

「殿下・・ちょっと行って来るから待ってろって言っただろうに・・・はぁ・・」

「だって!ギルがいなかったら寂しいじゃん!」


じゃん・・・て。

この人、王子だよね?

お嬢様、執事、騎士の3人は『むう・・』と黙ってしまいました。

このお方、お嬢様よりも残念な様です。お嬢様はまだ15歳ですが、彼はもうすぐ18歳です。

結婚も出来る年齢も間もなくです。

でもうつけ王子と言われて、その所為か未だ婚約者が決まりません。

困った、彼が次期王です。こうなったら、ギルロッシェ様に頑張ってもらわねば!

全員の意見が初めて一致した瞬間でした。


ふい、と王子の視線がアルシュートを捉えます。


「ブッフォ!」

「?!」


王子、鼻血吹き出しました。


「なあ!ギルロッシェ!お前、姉がいたのか?」

「いや。これは不肖の妹、アルシュートです」

「妹?お前よりも年下?でもボインボイン・・いくつ?」

「発育が良いだけです。15ですよ。なんですか、殿下はこういう感じが好みだと」

「うん!好み!!・・あ。顔は可愛いね。顔は年相応だね〜」


殿下『胸からチェック』派の様です。


「ねえ!婚約者に良い?」

「殿下のだだ漏れの欲望と性癖を聞いた後では、兄としてなんか頷き辛いですね・・・父上と陛下と話をしてください」

「性癖とか!言うに事欠いて言ってくれるじゃん、ギル」

「ちゃんと妹の意見も聞いてくださいね?」

「やたっ!!アルシュートちゃん、よろしくね!」

「お兄様ーー・・」


お嬢様は、ギルロッシェ様の後ろに隠れてしまいました。そりゃそうですよね。

あ。王子シューンとしちゃいましたよ。結構ヘタレですね。


「・・で。ギル何してんだっけ?」

「ダンジョン攻略」

「そっかー。私も行くよ!」

「げ!殿下はまだBランクでは無いですか!弾かれますよ!」

「ふふふ。大丈夫!私は王子だよ?ランクセンサーなんか弾いちゃえるんだよ〜」

「ただ危ないだけでは無いですか!!あーーもう!!止めろお前達!!」

「はっ!!」


執事と騎士、そしてギルロッシェが王子を取り囲んだ。


「こら!!もーー・・・うるさーーい!!!」


ビカーー!!

眩しい光が王子から発せられ、3人は数歩下がってしまう。


「アルちゃん、階下に行きたいんだっけ?じゃあ、私と行こう。行ってみたいんでしょ?」

「う、うん!!」

「よーし!ちょっと待ってて。武器出すから・・・天叢雲剣!」


王子の足元に直径30センチの不思議な魔法陣が輝いて、一振りの刀がしゅるんと飛び出した。


「よっ、と。じゃあ行こう!みんなも行くよ〜」


王子はアルシュートの手を取り、お手手繋いでブンブン振って先を行く。


「全く・・王子はお戯れが過ぎますね」


ギルロッシェ、そして執事と騎士も後に続く。




地下8階から壁には光苔がほんのりと青白く発光して、夜光虫もフワフワと揺らめいて・・

幻想的な光景に、アルシュートは歓喜した。

そして『うつけ王子』がものすごく強いことも驚きだった。


ジャバウォックも出て来たが、グネグネと気持ち悪い動きでアルシュートが怖がったのを見て、王子の瞳の色が変化して・・


「アルちゃんを怖がらせましたね?」


スパッ

あっという間に倒してしまいました。




そんな訳で!王子を見直したアルシュートは、あっさり王子と婚約しました。


吊り橋効果というヤツでしょうかね?

まあ妹が王家に嫁ぐのは、公爵家にとって喜ばしい事でもあります。



「その格好は、私と二人だけの時にしましょうね〜」



という訳で・・

王子は婚約者を手に入れ、執事と騎士は肩の荷を下せて、公爵家は栄えて・・

みんな幸せになりましたとさ。


なんてやさしい世界・・・



ほぼ毎日短編を1つ書いてます。随時加筆修正もします。

どの短編も割と良い感じの話に仕上げてますので、短編、色々読んでみてちょ。


pixivでも変な絵を描いたり話を書いておるのじゃ。

https://www.pixiv.net/users/476191

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