表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
~わたしは異世界で竹刀を振う~  作者: ばおりん!
1/1

01 笑華異世界へ旅立つ

 

 01 笑華異世界へ旅立つ


 負けたくなかった。けど負けちゃった。私は涙で潤んだ目で相手を見つめながら道場の床に倒れ込んだ。高校生最後の大会は地区大会の一回線負けという無様な結果で幕を閉じた。練習は欠かさなかった。努力はしてきたでも上には上がいたしかもこんな近くに対戦相手の子が私の耳元でこっそり言った。

 『あなた面白い剣道するね、だけど私には一生勝てないよ。だってあなた弱いもん。』



 こう言われた時私の中で何かが崩れさった。そして立ち上がる気力‥いや生きる気力さえ失ってしまったのかもしれない。



 それからなんとなく時間が過ぎた。私はまだ空っぽのままだ。何をすればいいのもわからないし、物事を行う気力さえなかった。


 ぼっとしながらいつもの通学路を帰っていると5歳くらいだろうか女の子が猫を追いかけて道に飛び出してきた。そこに一台の車がきた。危ないと思い女の子を突き飛ばした。その瞬間私の体は宙を舞い、ドンッという衝撃を受けた。意識がだんだんなくなっていくのがわかった。最後に誰かの役に立てて良かった。そう思ったのを最後に私の意識は消えた。


 「ねぇ、ねぇってば気づいた。」

 私はよくわからない場所にいた。そして目の前にはちっちゃくて薄い緑色の髪をした女の子がいた。

 「ようやく目が覚めたようね。あなた自分がどんな状況か理解してる?」



 そう言われて私は自分が車に轢かれたことを思い出した。そうか私は死んだのか。これは死後の世界でその場所に案内するのがこの女の子なのか私は悟った。せめて地獄には行きたくないなって伝えなきゃ。


 「あなたなに考えてるかわからないけどまだ死んでないわよ?ほら今のあなた見えるでしょう?」


 体を乗り出して覗いてみると、そこにはもうすぐ手術を受けそうな私がいた。ボロボロだ。でもまだ生きている。じゃあもうすぐ死ぬんだね。私はそう呟いた。

 

 「あなたは死なない。まぁ1週間は目を覚さないんだけどね。あなたがまた目を覚ます為にはあなたの意識をどこかへ預けておかないといけないの。そうしないと目覚めなくなっちゃうの。つまり死んじゃうところを助けてあげたって訳わかる?」


 まだ生きてるのか私は驚いた。それと同時に目の前にいる女の子に対して疑問を抱いた。あなたは誰なの?何が目的?

 

 「我が名はりんりん。とっても美しい女神様よ。この世界ともう一つの世界の神様にあたるわね。目的はあなたを異世界に行かせる。時間の心配はいらないし別に魔王とかがいる世界でもないからそこは安心していいわ。」

 

 自分のことを美しいなんていう人間は変なやつしかない。よってこの神様も変な人だ。間違えない「じゃあなんで私がその世界に行くの?」


 「あなたが地区大会で負けた女の子いたでしょ?あの子全国大会で優勝して、大学でいっぱい勝ってプロになるわ。」私には関係ないことだ。そうパンダみたい名前の女神様の話を聞いていた。

 「あなたの剣って面白いのよ。見たことがない真っ直ぐで綺麗、人を生かす剣。あなたはあの子のライバルになるってまだ弱いけどね。」

 変なこと思い出させてくれるな女神様。私にとっては忘れたいことなんだ。

「思い出させるな?忘れたい?だってあなたそのことを忘れたことなかったじゃない?悔しくて、悔しくてしょうがないでももう2度と戦えないそう思って絶望してた。そんなかわいそうなあなたに稽古をつけてあげるって言ってるのよ。」


 稽古って異世界でやる必要はないと思うけど、治ってからでも遅くはないでしょ。


 「せっかくの機会だからいいじゃない。これを乗り越えればあなたは強くなる。ついでに解決して欲しい問題もあるにはあるんだけどそれはあまり気にしないでいいからね。」


 やっぱり何かあるんだ。


 「あなたみたいな自分の身を差し出して人を助ける子ならなにも言わなくてもやると思うけどね。あなたのすることは竹刀をふることそれだけよ。それを続けていれば自ずと目的は達成される。だから気軽に行ってきてちょうだい。時間のことなら大丈夫それが終わったら自動的にあなたが目覚める瞬間よみんな泣いて喜んでくれるわ。」

 

 ふーんまぁいいや私に選択肢なんてないんでしょう。やってやるわ。強くなる為にね。


 「それでいいわ。目に光が戻ったじゃない。あなたその顔が一番可愛いわよ」


 可愛いなんて久しぶりに言われた。ちょっと嬉しいよパンダみたいな名前の女神様。

 「あなたっあなたって私の名前を名乗っていなかったわね。私は笑華。尾河笑華。よーく覚えておいて女神様。」


 「あらごめんなさい。笑華あなたの冒険がはじまるわ夢と希望それに不安もあるでしょう。それでは行っておいで別の世界に異世界にたくさんの仲間があなたを待っているから。」


 その瞬間私は光につつまれ。まだ生きているんだけどこれって異世界転生なのかなという疑問を持ちつつ新たな世界への第一歩を踏み出す。すべてはあの子を超えるために。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ