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肉塊転生 〜転生ウルトラサバイバル〜  作者: 藤原ゴンザレス


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24/25

決着

 肉に消化され、よくわからんプロセスでリポップ。

 そしたら神になった俺は……って字面だけでもひどいな。

 とりあえず神である。なんの神かわからんけど神なのである。

 管理権限であらゆる攻撃は念じただけで攻撃の方からそれていく。

 まさに最強……つまりだ。

 光の神をぶん殴れるわけだ。

 俺は光の神の前に進む。


「傲慢で愚かな子どもだ」


 収束された光線が俺を狙い続ける。

 だが俺はその光を次々と曲げていく。

 神殿は焼け、溶けもせずに灰になる。

 そして俺はと言うと……。

 うっわ! これきつい!

 脳みそとろける!

 集中してないと一発で死ぬ!

 と泣き言を脳内で反芻していた。

 いきなり死にゲーやらされたら誰でもそうなると思う。


【ご主人様がんばれ!】


 おうよ! やるぜ! やったるぜー!

 気合だ!


「あははははは! 面白い! 神になったばかりだというのに力を使いこなすか!」


 使いこなせてないでゴザル!

 脳みそフル回転でなんとか食らいついているだけっす!

 さらに次々と光が俺を襲う。

 光を曲げるたびに俺の戦闘形態が剥がれていく。

 その代わりに俺の姿は冬山での獣。

 あの熊を倒した獣の姿に変わっていった。

 素早く、しなやかな姿に。

 狼でありながら狼ではない。

 鹿の足と狼の牙と爪、毒を持つ獣に。

 俺は光を曲げながら神に突撃する。

 頭から最高のスピードで。


「あはははははは!」


 神は笑っていた。

 ぐちゃり。そのニヤけツラに俺は頭をぶち当てた。

 神は飛んで行き、地面に激突しながらバウンドする。

 湿った音が神殿に響いた。

 光の神はピクリとも動かなかった。


 あ、あれ……死んじゃった?


【え、嘘……神が死ぬなんて……】


 だけどそいつは杞憂だった。

 神は「ごふっ」っと咳をし、呼吸を始める。


「は、はははははははは! 死んだか! 私は死んだのか! 久しぶりだ! ああ、数千……いや数万年ぶりに死んだのか!」


 神は……喜んでいた。

 心の底から愉悦していた。

 興奮した声を出す。

 俺はリアクションに……困った。

 神はもう一度咳をした。

 赤い血がびしゃっと口から飛び出した。


「ふ、ふふふふふふ……驚いたか。神は死んでも滅することはない。強制的に復活させられるのだ」


 あー……要するに攻略不可能ってこと?

 なにそのクソゲー。

 発売直後の洋ゲーかよ。


「くっくっくっくっく……安心しろ。お前を我と対等のもの神として認めよう。ようこそ新しき神よ」


 ……あ、わかっちゃった。

 そういうことか!

 人類の絶滅って俺を本気にさせる嘘だったのか!

 俺を追い込んで神にしたんだ!

 こ、この野郎おおおおおおおおおっ!


「それにしても……アデルのやつ。こんなに面白いやつをスカウトするなんて。くくく、ぐわーはっはっは!」


 ぶちり。

 俺の中で何かが切れた。

 俺は獣の姿から戦闘形態になる。

 そして光の神の前に立つ。


「くくく……もういいぞ。楽しかったぞ! あーはっはっは……」


「歯食いしばれ」


「は?」


 俺は拳を握る。

 そして思いっきり神の横っ面にぶちかました。

 たぶん人生最大威力の拳だ。


「げぶっ!」


 光の神は飛んでいく。

 まずは顔がグッチャグチャになり、体のあちこちを破壊しながらパーツをぶちまけた。


「ふう、すっきり!」


 俺は転生してから一番の笑顔を作った。

 爽やかに。なにもかも荷を降ろした顔で。


【この人……光の神様ぶん殴ったよ!】


 うるせえええええええ!

 あのバカは一回殴んないとわからないんだ!

 俺は何一つ悪くない! 悪いのは光の神だ!

 文句言うやつは滅ぼしてくれる!

 オラァッ! 文句あっか!


 すると俺の頭の中に声が響いてくる。


「うむ。見事な拳であった。我も神になったときに殴ったぞ。殴り殺したのはお前くらいだが。なあ地母神」


「そうですね勝利の神よ。私も殴りました。よくやってくれましたラルフ! 軍神、たしかあなたもですよね?」


「うむ。儂も殴ってやった。よくやった小僧!」


 神様からの「俺も殴った」宣言と祝辞が次々と。

 要するに……神になるときの通過儀礼だったのだ。

 光の神との戦いも拳をくれてやるのも。

 そして神々からの祝辞が止まるとアデル様の声がした。


「ラルフ、すぐに神の国に来ますか?」


 えええええええええええ!

 いやねえっすわ。

夜に最終話アップします。

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