オーガについての話
さすがにいきなり鬼との戦闘だって言われたら誰だってビビっちゃうよね
光君は面倒だと思ってるだけでビビらない辺り肝が座ってますね
先程から酷くマーリンの機嫌が悪そうだ、いやまぁ原因は分かってるんだけどね、でもだからと言って道も分からないのに全力疾走で走って行かれるのは困る、元々運動が苦手という訳では無いが小学生の頃から休みの日や放課後はずっと部屋に引きこもっているような軟弱者であるこのペースで走り続けられると後5分持つかどうかだ、まだ10分も走ってないのに
「マーリンさん悪いんだけど少しペースを落として貰えると助かるかな」
途切れ途切れにそう言うとマーリンは機嫌が悪い様子を隠すことも無く止まってくれた、止まらないのかと思って焦ったがやはりいい人なのだろう
「キミねぇこの程度のペースで疲れるなんてそんなんじゃこの先生活できないよ?」
実に耳が痛い
「そう言ってもマーリンさんが早すぎるんだよ、追いつくので精一杯だよ」
「まぁいいよもうすぐ着くしね一旦休憩も兼ねてこれから討伐するオーガについて説明しといた方がいいよね」
大変助かる自分の認識ではオーガって言ったらやっぱり普通の鬼だよな…正直二人とも一切装備をしてない、まぁマーリンはローブの下まで見た訳じゃないから何かしら持ってるかもしれないが…
「オーガって言うのはゴブリンの変異種ね、だからオーガの巣にはゴブリンも沢山いるの、でもゴブリン程度なら簡単に倒す方法があるから戦力に数えなくていいよ」
簡単に言ってくれる、実に頼りになるがそれよりもオーガがゴブリンの変異種?聞いたことないが…
「ゴブリンの変異種がオーガって本当?僕の元いた世界だとゴブリンとオーガじゃ全然違うと思うけど」
「何言ってるの?ゴブリンは小鬼だよ?オーガはゴブリンの変異種特別体がでかくて魔素を沢山持って生まれたのね、ホブゴブリンとはまた別物、ただゴブリンの変異種だけあって知能はそこまで高くないよ、今回はそこに漬け込むつもり」
マーリンの話を要約すると
ゴブリン=小鬼、オーガ=大鬼だろうか、そもそも魔素ってなんだ?ゲームとかでよく使うMP見たいなものだろうか…よく分からないしまた後で必要になったら聞くことにしよう
「今回倒すオーガは単体なの?」
「聞いた話によると2体いるらしいよ、でも1匹は手負いらしいね」
弱ってる相手がいるのか、しかし弱ってるとはいえその相手を2匹最悪ゴブリンも同時に気を引かなければならないとなると厳しいな、いや厳しいどころじゃない普通に死ぬ可能性がある、これなら犯罪者扱いを甘んじてでも着いてくるのを拒むべきだっただろうか?そもそも何故自分がマーリンの手伝いをしてここまで来たのか謎なのだ自分としては極力働かずに楽して生活したいのだが…自分のやりたい事と今行ってる行動が噛み合っていない、しかし事ここまで来ては引き返すのも面倒なような気もする、元々死んだ命だここで死んだならそれまでだろう、やれるだけやるだけだ
「よしオーガについて説明はこんな所でいいだろう、後は実際に見た方が早いだろうそろそろ行こうか」
マーリンの合図で立ち上がり覚悟を決める、転生してから初の仕事がまさかの鬼との戦闘である実に馬鹿げてるこっちは装備ひとつない丸裸と変わらないのだそれで鬼の相手しろとかほんとに理不尽すぎる、でもやるしかない以上引くことは出来ない、まずは今できる限りのことをするだけだ、結果生き残れたらもうこんな事をしない生活を迎えるのだそれを考えれば鬼くらいどうとでもなる…
いよいよ転生後と言うより人生初の戦闘です
光君は囮として動けるんでしょうか…
そもそもマーリンの実力は如何程なんでしょうね