2章
『はぁ…、長くね?道。』
「蒼は今剣でしょ…」
『疲れたとは行ってねぇぞ?』
「クソ野郎…」
『お前姫なんだろ。そんな汚い言葉使うなや。』
「薔☆薇☆伐☆採」
『なんじゃそりゃ…。でさ、退屈なんだけど。』
「知らんがな。」
『あとどれくらいかかるん?』
「まだ城出て1日しか経ってないよ…」
『えー、でも、もう日も傾いてるし…』
「ホントだ、そろそろキャンプ地を探さないと。」
『今どこなん?』
「えっと、城門から続いてたエレグリム通りは抜けて、今はラルミドル道を通ってる。もうすぐディオルカダ地域の入口だね。」
『なんと言うかこう、the入口、みたいなのがあるんか?』
「あの地域は巨大なカルデラになってて、どこから入ろうにも外輪山を登るか洞窟を抜けないとダメだからね。」
『なるほどねぇ。んで、今回はどっちを通るんだ?』
「このラルミドル道はこのままディオルカダ地域入口の洞窟まで続いてるから、そのままその洞窟を通るつもりだよ。」
『洞窟か…、どんなとこだったかな…』
「あ、丁度あそこに焚き火地があるから、あれをキャンプ地にしようか。」
『おぉ、やっと2回目のキャンプか。歩きっぱなしだと疲れるな。』
「蒼はずっと剣でしょ…」
『まぁまぁ、ご苦労さん。』
「たまーにイラッとくるんだよね…」
~日は暮れて~
はぁ…、キャンプか…。
なんだか昔もこんな事したような気がするな。
道の両端は林が広がってんな。切り開いて作った道なのか?
そうか、丁度ここから見ると東西に道が伸びてんのか。
綺麗に道に日が沈んでいってるな…。
━━━━━っ!?
『ブルー、お前も物思いにふける事があるんだな。』
『まぁ、たまにはね。』
『にしても、あの姫様、頑張りすぎだよな。』
『あぁ、僕も思ってたよ。全部…、1人で気負い過ぎだよ…』
『そりゃ、国が滅亡の危機に晒されてるんだ、多少は不安を感じるだろう。』
『僕らが…居るのに…』
『………ブルー。』
『何?』
『お前は…、いざって時…』
『…』
『味方を…、仲間を、………守れるか?』
「……ぶ………丈夫…?」
ん、うぐっ…。
「大丈夫!?」
んな?何だ?寝てた?
………いや、気を失ってたのか…。
「大丈夫?いきなり倒れたから…」
「あ、あぁ。悪ぃな…」
なんだったんだ…、今のは…。
何か………、何か思い出せそうなんだが…。
「どうしたの、急に?」
「いや、わからん。景色を見てたら急にな。」
ん?
「お前、もしかして俺が目ぇ覚めるまで膝枕してたんか?」
「…?そうだけど?」
…しれっとこのまま寝るか。
「こら、寝るならちゃんとテントの中で寝てよ。」
「うっ、バレたか。」
「っもう。」
………。
「………ここ、星が綺麗だな。」
「そうだね。丁度そこの枝の間から見えてとても落ち着くね。」
「なぁ、音々。」
「え、何?」
「お前は………、守りたいものってあるか?」
「…。守りたいもの、ねぇ。…なんで急に?」
「………さぁ?」
「…」
~翌朝~
「ふわぁあ~…。霧が出てたのかなぁ。しっとりしてるねぇ。」
ぅぐぁ…。ぐすぅ…。
「ほら、もうっ。朝だよ。もうそろそろ行くよ?」
「ぅあ?んぐぅ…」
「もうっ。おーきーてー!日が昇りきる前に洞窟に行こ?ね?涼しいうちに向こう行こ?」
「ぅぁぁあ…。ふぁあ。ん、あぁ、おっはぁ~…。」
「ふぅ、やっと起きた…。蒼、あんた寝覚め悪いのね…」
「うーん…、いつもは昼まで寝てるし、なんなら夕方まで寝てるしなぁ。」
「そういえば私の鞘に収まってる時はしょっちゅう寝てたね…」
相変わらず朝は眠いわ。
「ほら、ご飯作ってるから、食べて。」
「おぉ、お前料理できたんか。どれどれ…、おぉ、結構…、てかめっちゃ美味いやん。」
「まぁ、国王から教養はしっかりとさせられてますから。」
「あぁ、そういや姫なんだったな。確かに王族といえばそういうの厳しそうなイメージはあるな。」
「ほら、早く食べて。もうすぐ出るから。」
「あいよ。」
・・・
「さて、飯も食ったし、そろそろ行こか。」
「うん。この道沿いを東に行けば洞窟に着くから。」
「ほな今日はその洞窟抜けるくらいが目標か?」
「そうだね。それじゃ、行こうか。」
『俺はお前の鞘に収まらせて貰うぜっ。』
「もう…」
~ラルミドル道中~
『お、誰か居んな。』
「旅商人の方かな?」
『紅き槍についてなんか知ってねぇか聞いてみな。』
「わかった。…あの、すみません。」
「なんだい、お嬢ちゃん?この辺じゃ見ねぇ顔だな。」
「どうも初めまして。私、今探し物をしてまして。」
「ほう、探し物か。一体何を探してるってんだい。」
「紅き槍っていうものを探しているんです。」
「何、紅き槍?ガッハッハ!お嬢ちゃん、そんな伝説を信じてるってのかい!面白い子だな!」
「伝説、ですか?」
「あぁ、そうさ。ディオルカダじゃ有名な伝説だ。お嬢ちゃん、知らないのかい?」
「えぇ。ほとんど名前しか知らないんです。」
「ほう、そうか。じゃあ教えてやろう。お嬢ちゃん、可愛いしな!ガッハッハ!」
「是非教えて下さい!」
「こりゃあディオルカダの全域で語られる伝説よ。『昔々、ある村に豪腕の男が居たという。その男は道を塞ぐ身の丈の数倍もある大岩を投げ飛ばし、病にかかった大木を引き抜き、大地に拳で湖を作ったという。そしてその男は、紅き槍を持っていた。紅き槍は火の山から採れた消えぬ焔の鉱から造られた、その男の自慢の槍であった。』」
消えぬ焔の鉱か…。何か手掛かりになりそうだな。
「『その槍は聖なる力を宿し、あらゆる災いをも貫いた。ある時男は、突然槍を持って村を出た。村の者は皆、訳も分からず様々に噂した。』」
『あらゆる災いねぇ…』
「『答えの見えぬまま、数年が過ぎた時だった。村を、山を、国を、鬼が襲った。山は怒り狂い、川は泣きわめいた。全くこれが世の終わりかと思われた時、3人の勇者が現れたのだ。』」
鬼…、3人…?なんだ、何か…知っているような…
「『その中に、かの男も居たのだ!それも、紅き槍を持って!3人の勇者は鬼と戦い、彼奴を封じた!そして男は、山の怒りを封じるため、山に、紅き槍を突き刺したという。そうして村は救われ、彼を讃えて村の最も大きな木の麓に碑を建てた。』という話さ。」
「あ、ありがとうございます…。」
『なるほど、碑が建てられた大木を探せば何か手掛かりが掴めそうだな。』
「ご協力ありがとうございます!あの、失礼ですが、お名前は?」
「おう、俺か?俺はフーライ。この辺で商人やってるモンだ!ディオルカダの事ならなんでもござれよ!ガッハッハ!」
「ありがとうございます!」
「もしなんかあったら俺んとこに来な!城下町にある【クロック】って酒場に聞きゃ俺がどこにいるかわかるだろうさ!ガッハッハ!」
「わかりました!私は音々と言います!またお会いした時はよろしくお願いしますね!」
「ん?音々?どっかで聞いた事ある名だな…、よし、じゃあ折角だ!この火打石をプレゼントしてやろう!大サービスだ!ガッハッハ!」
「ありがとうございます!では、お元気で!」
『…。活気のいいオッサンだったな。』
「すんごい山盛りのリュック背負ってたね…」
『あんだけありゃ歩くの大変そうなもんだがな。』
「ささ、手掛かりも見つかったし、私達もディオルカダに進まなきゃ。」
『歩くのはお前だけどな。』
「もうっ…」
この作品を読んで頂き、ありがとうございます。
なんとか10月分、更新できました。
自然の描写が消滅して会話メインの執筆スタイルになってますが、読者の皆さん的にはどうなんですかね?
私の頭の中では動画のような感覚で書き進めています。
やっぱりテンプレの王道RPGのストーリー軸は書くのが楽ですね…
この1ヶ月は、沢山の設定を考えてました。
できるだけ後々の執筆が楽になりますように…なんて思いながら(笑)
ここまで読んで頂き誠にありがとうございました!