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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

礫石

作者: 狭山千夜

ビシッ!

…カラン。コロロン…

(あぁ…今日も投げつけられた)

男は心に投げつけられた礫石の痛みに顔を歪めた。

どれ位投げつけられただろうか…

男の心の中には礫石の山が出来上がっていた。


ビシッ!

…カラン。コロロン…

(…………)

男は顔を歪めなかった。

礫石の山は心が埋め尽くされそうなほど積み上がっていた。

沢山の礫石で埋められた男の心はもはや痛みを感じなくなっていたのだ。

男の眼は虚ろだった。


ビシッ!

…ゴトリ。

礫石は転がらなかった。

もはや心は礫石で埋め尽くされ転がらないのだ。

男の眼には何も映っていなかった。



ある日、心の中の礫石ははち切れんばかりになり突然爆発した。

全ての礫石は勢いよく外へ飛び出していった。

………男は沢山の人の声に気がついた。

泣き声、叫び声、うめき声…

男の眼に、己が握りしめた血濡れのナイフが映っていた。

男はそれをジッと見つめただ立ち尽くしていた。

男の心は空っぽだった。


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