第7話「お弁当事件」
「まあ、な。」
福川くんは顔を赤らめ、照れくさそうにした。
このまま時間が過ぎ去るように感じたから、私はあわてて言った。
なんか恥ずかしさもあったしね。
原因は分からないけど。
「早くもどろうよ。」
すると、福川くんはさっき助けてくれたときみたいに、うでを引っ張って教室まで連れていってくれた。
私は何だかドキッとしたけど、そのままついていった。
私は教室の前につくと、ドアをそっと開けた。
みんなまだ私の事を笑ったりしていたけど、さっきよりかは静かだった。
そっと一歩一歩歩いて、席に戻った。
みんな自習をしているみたいで、机の上に教科書やノートが置いてあった。
私も同じように、取り出した。
時間はすぐに過ぎて、もうお昼の時間だった。
私のクラスでは、席が近くの人と基本的には食べる。
今日も近くの人を誰か誘おう。
あっ、いた。
隣の席の子がいる。
他の人とも食べるみたいだけど、あのなかに交じれば……
よし!
「あの、今日一緒に食べない?」
私が誘っても、その子は返事をしないばかりか、顔をそむけて言ってしまった。
でも、明らかに私の声が聞こえなかったようには思えなかった。
私は隣の子に無視されたショックで、もうだれも誘う気にはなれなかった。
しょうがない、一人で食べるか。
それで私が席につくと、机に張り紙がしてあった。
「三七愛奈と一緒に食べるな」
え、誰が張ったの⁉
答えを求めて私がみんなを見ても、みんなは顔をそむけるだけだった。
だから隣の子も無視したんだ。
わたしは一層孤独になるばかり。
クラスで権力がある人たちのひそひそ声も、聞こえた。
「みてよ、あのばか面。」
「ぶりっことなんて、食べられないに決まってるのにねえ。」
「ほーんとにねぇ。」
私は思わず下を向いた。
我慢できなかったから。
すると、私の頭の上からやさしい声がふってきた。
「三七、だっけ?良かったら俺らと食べようよ。」
振り向くとそれは、福川くんだった。
「福川くん……」
男の子たちも勢いに押されて、「賛成賛成!」と言い出した。
やったあ!
ありがとうね、福川くん。