第15話「二つのウワサ」
ええーーーーー!?
山崎さんが、福川くんを、す、す、好きーーーー!?
いきなり衝撃の事実が……
私は、福川くんが、見た目で女の子を判断するような人ではないと信じたいけど……
このこと、どう思ってるんだろう。
まさか、山崎さんのこと、好きになったりしないよね?
もしそうなったら、ショックなんですけど……
福川くんはかっこいいし、山崎さんも、性格悪いけど、黙っていれば美人。
お似合いな二人の姿が想像できる。
おそるおそる、福川くんのほうを見ると、
……あれ?
そこに、福川くんの姿はなかった。
いつの間にか、いなくなっていた。
告白は、聞いたのかな?
「ちょっと達也くん、どこにいったか教えなさいよ!」
山崎さんたち、わめいてる。
「愛奈? 愛奈? 聞いてる?」
えっ!?
ああ、真凛か……
気づけば、もう放課後。部活の時間だ。
私、さっきまで真凛としゃべってたんだけど、急に意識が飛んじゃって。
ぼーっとしてたみたい。
「どうしたの? 何か悩み事?」
そう言って私の顔をのぞき込む真凛は、とにかくかわいい。
もともと美形で、ショートカットのヘアが元気って言われていた。
目が大きいし、スラッとしていて、何より身長が170センチはあると思う。
モデルみたいなんだ。
私なんか、154センチなんだけど……
なんか、福川くん、真凛ともつりあいそうかも?
やだ、私、分が悪すぎじゃない?
自分がどんどん嫌な子になっていくような気がするよ。
「いいな、真凛は……」
「え?」
「かわいいし、背も高いし、スタイルもいいし。」
「そんなことないよ。本当にどうしたの?」
「……福川くんに、山崎さんが告白したの。」
「ええーーーーーーー!?山崎さんって、あのリーダー格の?」
「うん。」
「愛奈、悲しそうだね。福川くんが好きなの?」
「!?」
真凛、鋭いっ!
「う、うん。」
「すっごーい!! かっこいいし優しいもんね。がんばりなよ!」
「うん、ありがとう!」
それにしても、福川くん、遅いなあ。
花音ちゃんもまだみたいだし。
すると、部長の唯香が入ってきて、出席を取った。
「あれ、達也と花音ちゃんは?」
「いないよ。」
答えたのは真凛。
「そうなんだ、まあ、あとからくるだろうし、とりあえずはじめようか。」
唯香がそういった。
そしたら、家庭科室のドアがガラッとあいて、そこには福川くんと花音ちゃんが立っていた。
福川くんは怒ったような顔をしていて、花音ちゃんは泣いているようだった。
どうしたんだろう。
二人の間には気まずい空気がただよっていたから、だれもなにがあったのか聞くことはできなかった。
部活の後、真凛が真っ青な顔で言った。
「あのね、さっき、後輩からウワサを二つ聞いたの。」
「どんなウワサ?」
「家庭科室に来る前に、福川くんが花音ちゃんを呼び出して、怒鳴ったんだって。」
「え……」
うそ。
そんなこと、あるはずない……
「この前の活動の時に、花音ちゃん、愛奈に嫌がらせしたでしょ? そのことについて、どういうつもりだ、つぎあんなことしたら退部させるぞって言ったらしいよ。」
つまり、福川くんは私をかばって?
もしかして、もしかして……
福川くんも、私を好き?
「あと、もうひとつは、福川くん、山崎さんと付き合い始めたらしいよ。」
え……
そっちのウワサのほうがショック。
福川くんは私じゃなくて、山崎さんを選んだんだ……




