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プロローグ 菅谷さんの荷物

 とある日の午後。野口自工の工場内は、機関車とその部品であふれかえっていた。

「ごめんね。こんなに多くて・・・・・・・・」

 この現象の原因である新入メンバー菅谷智治さんは、頭を掻いてこの様子を見ている。

 菅谷さんは、最近入ってきた高校生の方で、わたしの一つ年上。

「多すぎです!線路とか機関庫は白木城運送に置いてますけど、それでも多いです。」

 わたしは工場内に所狭しと並べられた智治さんの「持参物」を眺める。

 ひときわ目につくのは、ラッキョウみたいな形の煙突を持ったタンク式蒸気機関車。これは、長野県にあった「木曽森林鉄道」で使われていたもので、煙突がラッキョウみたいなのは火の粉が飛び散らないようにするため。アメリカのボールドウィン製だ。

 その後ろには、これまた木曽森林鉄道で使われてた加藤製作所製三トンディーゼル機関車、運材台車、黒部峡谷鉄道のト型貨車が置かれている。

 それのさらに後ろ、真赤なさび止め塗料が塗られて無造作に転がされた三つの円筒形のものと二つの箱型のものにわたしの目が吸い寄せられた。

 智治さんの服の裾をクイクイと引っ張る。

「あれって、SLのボイラーと台枠ですよね?どうしたんですか?」

「あれ?うちの物置にあった。出自は不明だけど、サイズ的に762ミリニブロクだね。」

(智治さん、どうなってるんだろう・・・・・・・)

 わたしが考えてると、後ろから真美の声が聞こえた。

「やーまっと!搬入終わったよ!ってそこにあるのは、ボイラーじゃん!」

 真美が後ろから抱き着く。そして、耳打ちした。

「このボイラー見たら思いついたことがあったの。今日はわたしの家に泊まらない?」

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