表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/53

1:道中にて

本編に入りますが、単位が分かりにくいと思いますので一部まとめました。 1ピンチ=7メートル 1ビーク=1.3グラム 1ロート=約450円

 ある程度舗装された道を、四人は歩いていた。

 緑色をした髪と瞳を持つ四人の中では一番小さい少女が先頭を行き、その隣に黒髪のポニーテイルを下げた長身の青年が歩く。少女の結ばれていない髪は腰の辺りまで伸び、歩く都度に右に左にゆさゆさと揺れている。一歩後ろには、青い瞳を持つ茶髪の美少年が、少し後ろを歩きながら必死に絵を描いている美少女に何か話し掛けている。

 ここで注意していただきたいが、先頭を歩く少女に美を付けなかったのは、もう一人の少女の方がより美人なだけだからである。


「ねえ、シロツメさん、これからどこに行くの」

「さあ。このまま行くと、明日の正午にはカタバミに着くはずですが」

「そうじゃなくて、もっと先のこと」

「ずっと先の事は、私にも分かりませんよ」

「ランが行きたい所に行けばいいのよ」

 後ろからサザンカが声を挟む。

「私の?」

「そうです。ランの旅なのですよ」

 そうシロツメは言った。

「そう言われても」

「適当に行けばいいんだよ。別に僕はどこに行こうが構わないけど」

 投げ遣りにそう言うラベンダに対して、ランは疑問を投げかける。

「さっきから気になってたけど、何で王子が付いてくるわけ」

「別にいいと思うんだけど、僕が付いてきても。これでも剣術の腕は確かだから」

「そうじゃなくて。何でわざわざ首都からここまで来た上に、私なんかに付いてくるのか、ってこと」

「ただの好奇心だよ。魔法使いに」

「違う」

 魔法という単語に敏感に反応するランに、ラベンダは驚きつつもすぐに謝る。

「ごめんごめん。君のその術に、興味を持ったんだ。ただそれだけだ。それと、王子って呼ばなくていいよ。ラベンダって呼んでくれないかな」

「それくらいは、別に、良いわよ」

 なにか納得のいかない事があったのか、声が小さくなっていったランであった。

 四人は話す事が無くなったようだ。

 沈黙の合間を涼しい風が通り抜け、四人の髪をさらさらと揺らす。

 歩いているのは青い空の下、土を固めただけの道だ。道を外れると、すぐに高い木の森であるので、上を見上げると空を川が流れているような錯覚に陥るだろう。その木々も風に揺れている。

「できた」

 サザンカがそう言うと、近くを歩いていたラベンダが覗き込む。

「それ、僕達?」

「うん。なかなか上手いでしょ」

 四人は足を止めてその絵を見た。

 粗い紙に書かれたその絵は、三人を後ろから書いた絵だった。黒炭だけで書かれているはずなのに、色が見えてくるようなほど正確に描かれている。

「ほう、なかなかのものですね。さすがはサザンカです。色を付けられるものを探してみるのも良いかもしれませんね」

 シロツメの提案に皆乗り気になった。

「葉っぱとかから、緑色。花から赤や黄色。花や葉っぱを乾燥させれば茶色もできる。石を砕けば青や紫が作れるし。後は、紙ね」

 サザンカがざっと色の出そうなものを言っていった。

 そして、最後に言った紙はこの世界ではとても貴重なものなのだ。絵を描くのには無くてはならないが、サザンカはお金にほとんど余裕が無かったのだ。今までは石や黒板に書くことが多かったが、今日は友達から貰った紙に何かを描こうと思ったのだ。

「あ、それなら問題ない。僕がお金を払うよ」

 ラベンダはちょっと自慢気にそう言うと、懐から袋を取り出した。

「ここに大体500ロート――1ロートは約450円――ある」

 ロートとはこの辺りの地域で使われる通貨で、これだけあれば十年は普通に生活できるお金である。

 続けてラベンダが爆弾発言をした。

「国庫から盗んできました」

 唖然とする三人と微笑むラベンダに一陣の強い風が当たり、髪が流されていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ