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45:出奔

 足音だけでサザンカが着いてきていることを確認しながら、人が走り回る城内を出口に向かって走る。

 幸いなことに、突然のことで情報が錯綜しているのか、誰も僕たちを気にすることはなかった。

「ね、ねぇ、一体どうなってるの?」

 さすがにこの状況だから起きたのだろう、背負われているランが狼狽したように聞いてきた。

「さあ、僕には父上の考えてることなんて分からないからな。今はここから兎に角逃げよう。そうしないと、フロウにもブルベリにも迷惑がかかる」

「それってどういう」

「説明は後だ。今は城から出てフィオレの外まで行こう」

「うん」

 小さな声だったので聞き取り難かったが、頷いてくれたことは分かった。

 そうこうしているうちに城門までたどり着き、門番に出達するすることを伝えて外に出た。

 更にしばらく走って街の外れの人気のない林の側まできて、そこで立ち止まった。

 僕と騎士の人は息を切らせてはいないが、サザンカは違うようで座り込んでしまった。

 ランは当たり前だが疲れていない。

「大変なことになったわね」

 呼吸を調えたサザンカがこっちを見て言ってきた。

「ああ。シロツメさんもどこか別の所に行ったようだし」

「何なのかしら。色々、偶然が重なってる」

 僕は頷いて、隣に立っている騎士の人を見た。

 この人はブルベリ王から僕たちのことを守るように言われたらしい。

 僕が見ていることに気付いたのか、騎士の人はその重そうな頭装備を脱いで、その整った顔を晒した。

「自己紹介が遅くなった。俺はブルベリ王より貴女方をお守りするよう仰せつかった元ブルベリ国軍総隊長のリュウ・キングスリッドだ。よろしくな」

 手を差し出してきたので握手をすると、横からサザンカが疑問を挟んだ。

「どうして、私たちを守ってくれるの?」

 リュウ・キングスリッドは頭をガシガシと掻きむしると、面倒臭そうに笑いながら言った。

「あー何だ、王に守れって言われちまってよ。だからな、理由はよく知らん」

 嘘を言っているようには見えないが、元とはいえ総隊長だった男だ。

 警戒するに越したことはないだろう。

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