43:一つの予言
案内された客室は、それだけで家一つが収まってしまう位に広かった。
絵本でしか見たことのないような家具の数々は、ここが天国であると錯覚してしまう程に綺麗だった。
しばらくそれらを眺めて、天蓋付きのベッドに跳び込んだのと、扉が開いたのは同時だった。
「ラン、持ってきたわ」
ベッドに体を沈めたまま扉を見ると、そこには本を一冊手に持ったサザンカがいた。
王との面会の後、サザンカは城内にある図書館に行っていたのだ。
「ここに、ライム王女がランの術の事で驚いた理由と、ケルプの噂の理由が書いてあったの」
「ホント!」
カバッと跳ね起きて、サザンカに駆け寄る。
「ええ」
そう言ったサザンカは、本を開いてある一文を指し示した。
『魔女現れる時、この世に厄災降り、また其は魔女に因り鎮められ、世は再び平静と成る』
夢で見た事とこの文が被る。
ラベンダとの出会いから始まったこの旅の先に待つものを垣間見て、私は言葉を失った。
「つまり、ランは過去にフィオレで予言されていた人っていう事で、ケルプで噂されていたのは本当はラン自身の事だったんじゃあないかな」
サザンカの言葉は耳には入るものの、理解ができない。
「別の本には、そろそろ魔女が現れるって書いてあったから、それで噂が発生したのね」
「何で」
私は
「皆を巻き込むの? ねえ、何で?」
サザンカの苦笑が私を苛立たせる。
「私が」
あの男の言うように
「魔女だから?」
ただ首を振るサザンカ。
「じゃあ、私が怪物だから? 異形だから?」
「違うよ、ラン」
そう言って抱きとめられた私は、サザンカの胸でしばらく泣いた。




