41:フィオレの王宮
馬車に揺られる事、三日。
海岸線を横目に見ながら移動した一行は、無事王都フィオレに到着した。
菫さんと大犬さんとはここでお別れということだった。王宮には入らないで街でしばらく商売をして、五日後には予定通りヒナンガバ国に向けて出発するそうだ。
私達五人を乗せた馬車はそのまま街を進み、ついに王宮の入り口に到着した。
今は城壁に遮られて見えない王宮は、遠くから見た限りではとても大きくて立派だった。
そして馬車から降りた私達の前に立ち塞がる鉄の扉が、今ゆっくりと開かれていく。
そこから見える景色は言いようのない、ナデシ国のおとぎ話に出てくる竜宮城を再現したかのような、美しいものだった。
正面の真っ白なお城を中心に左右対称に植えられた色とりどりの花々は水々しく輝き、遠近法を駆使した庭園は只でさえ広い空間をより広く見せている。
所々に植えられた樹木は丁寧に剪定され、美しい女体や聖書の一場面を模しているようだった。
そして正面にそびえるお城は、白い石を基調として所々に赤や青、緑の石が填めこんであり、どこか遊び心が感じられる。
あんな城壁で囲ってしまうのは勿体無いと思った。それと、門からお城までが遠いとも。何で馬車で中に入らなかったのだろう。
それをサザンカに聞いてみると、首を傾げるサザンカに代わってライム王女が答えてくれた。
「私のお父様は、小心者なのよ。こんな綺麗な庭を作って国民の疲れを癒したい、なんて言っておいて、門の中に誰も入れようとしないの。馬車で中に入れないのもそのためよ。聞いた話だけど、先代は誰でも受け入れたせいで闇討ちにあったそうよ」
呆れ気味のライム王女。
王女様も大変なんだな。でも、私達を連れて何をするつもりなのだろう。わざわざ家出を止めてまでやるべき事なんだから、大事な事なのだろうか。
そう呑気に考えながら、私達はお城に入っていった。
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