39:仮説
丁度菫さんも帰ってきて、七人が集まった。
全員がシロツメさんだこれから話すことに耳を傾ける。
「まずこれが仕組まれた事ではないか、と始めに疑問に感じたのは、海の側のログハウスでラベンダと話した時でした。あの時ラベンダは、王宮に魔法使いの噂が流れていると言いました。ですが、そのこと自体がおかしいのです。もし、王宮にまで流れる噂があるとすれば、ボタンからこのケルプまでの間にその噂を聞いてもおかしくは無かったはず。というより、どこかで聞いていたはずです。ところが噂は広がっていなかった。つまり、魔法使いの噂は王宮の内部しか広まっていなかった事になります」
「ちょっとまって。それだと、まるでわざとラベンダをランに近づけた事になるんじゃ」
「確かにそういう風に捉える事が出来ますね。まあそれは憶測です。疑問に感じたもう一つの理由が、そこにいるライム王女の存在。私たち“四人”は、このライム王女に会うように仕組まれていたとすれば、まあある程度は納得が出来ます。菫さんと大犬さんが王宮から雇われているとすれば」
「ちょっといいかい。まあ、確かにあたい達は王宮から雇われてラベンダ王子と一緒にいたが、それは別の理由だ。あたい達は王子の婚約者探しを手伝ってほしい、って頼まれたんだ。別にわざとここに連れてきた訳じゃあない」
「それならば、可能性が二つある。一つはライム王女との結婚。もう一つはランとの結婚。ただ、後者の方が有り得るだろう」
「「ちょっと、結婚って何で」」
ランとラベンダの声がかぶるが、シロツメさんは続ける。
「これはあくまで動機を無視した上での仮説です。ですので私には分かりません。ところで菫さん、商会の方はどうでしたか」
菫さんは無言で首を振る。
「そうでしたか」
「ちょっと、私を無視しないで話を進めないでよ」
ライムがそう叫ぶ。
「そうでした。仮にも一国の王女様。なぜこんな所に?」
「ふん、聞くのが遅いわよ。でもまあ、答えてあげるわ。それは」
そこで急に口が動かなくなるライム。
「それは?」
ランは堪らなくなり聞く。
「それは、えっとね」
さっきまでの威勢のよさはどこへやら、今は歯切れが悪く口篭もっている。
「家出、だろ」
ラベンダがそう言うのに対し、ライムは顔を真っ赤に染めている。
「ライムは年に数回は家出をするらしい。ローズ女王が嘆いていらっしゃったのを聞いた事があるから、もしかしたら、と思ってね」
ライムは一層俯き、だが反対に口は膨らませて、内心ではラベンダに八つ当たりをしていた。




